dirt
2016年11月3日(祝・木) 川崎競馬場 1600m

好位から直線先頭で突き放す
得意のコースを味方に連覇達成

 今年で6回目を迎えたJBCレディスクラシックJpnⅠ。レディスプレリュードJpnⅡで2着同着だったトーコーヴィーナスを除く上位入線馬がエントリーしたが、そこで4着に入っていたララベルが右後肢臀筋炎のため、レース前日に競走除外。単勝5番人気までJRA所属馬が独占した。
 JBCレディスクラシックJpnⅠのパドックに出走馬が姿を現した時点で、川崎競馬場の入場者数は2万人をオーバー。注目のなか、1番人気にはホワイトフーガが支持された。ホワイトフーガは前走後に“ノド鳴り”があるという高木登調教師の発言が報道されていたのだが、その心配をよそにパドックでは威風堂々とした歩き。昨年の覇者、そして川崎コースで2戦2勝というところも、支持を後押ししたのだろう。
 2番人気はトロワボヌール。大井競馬場で行われた昨年は3着だったが、良績のほとんどが左回りというこの馬にとっては巡りあわせが悪かった。しかし川崎が舞台なら大きなチャンス。パドックでは隊列のいちばんうしろをマイペースで歩いていた。
 アムールブリエもタマノブリュネットも気配は良好。そういったダート実績がある面々に、初ダートとなるレッツゴードンキが挑戦してきた。もともとはJRA桜花賞GⅠを逃げ切った快速馬。しかし場内から聞こえてくる会話からは、予想を悩ましくさせる存在になっていたようだった。
 そのレッツゴードンキは大外枠。それでも鞍上の岩田康誠騎手は先手を取ったブルーチッパーの直後へと導き、ホワイトフーガが3番手を追走する展開になった。
 先行した3頭が3コーナー手前に達したとき、向正面にある“川崎ドリームビジョン”に、ホワイトフーガ鞍上の蛯名正義騎手が持つ手綱が短く、そして張り詰めた状態になっている様子が大きく映しだされた。
 その溜めた力が解放されたのが最後の直線。3コーナー過ぎで失速したブルーチッパーに代わってレッツゴードンキが先頭に立ったが、2頭の馬体が並んだ時間は短かった。ホワイトフーガが力強い伸び脚を披露して、昨年に続いての女王に輝いた。
 レッツゴードンキは1馬身半差で2着。梅田智之調教師は「2着では正直喜べないですね」と、納得がいかぬという表情をしていた。それでもこの結果ならば、今後も芝・ダートを問わない活躍が期待できることだろう。
 4着タマノブリュネット鞍上の田邊裕信騎手が「1600メートルは忙しかったですよ」とコメントを残した。9着だったアムールブリエとともに、今年のJBCが川崎で行われたことがマイナスになったようだった。
 それらJRA勢を相手に3着に食い込んだのが、浦和のトーセンセラヴィ。父ディープインパクト、母がダートグレードで6勝を挙げたトーセンジョウオーという良血ではあるが、レース当日はまだA2クラスで、さらに今回が重賞初出走。しかしながら昨年12月に移籍初戦を迎えてからの上昇ぶりには目を瞠るだけのものがある。南関東リーディングを独走する小久保智厩舎が送り出すこの馬の今後に、大きな期待がふくらむ一戦でもあった。
蛯名正義騎手
返し馬のときから状態のよさを感じていました。枠順がよかったので、ペースが速ければ引くし、遅ければ前に行こうと思っていましたが、速くはなかったので3番手。いいところに付けられました。道中はすこし行きたがっていましたが、以前ほどではなかったですし、手ごたえもよかったです。
高木登調教師
勝ててホッとしました。この中間はノドの状態が気になっていましたが、それでもいい状態に仕上げられましたし、パドックでも落ち着いていました。レースではいいポジションが取れましたね。3コーナーあたりでジョッキーがうまく外に出してくれたところで、大丈夫だろうと思いました。

浦和のトーセンセラヴィが3着で地方最先着。
取材・文:浅野靖典
写真:いちかんぽ(岡田友貴、国分智)