マークしたライバルを競り落とす
アタマ差でJBCへの挑戦権を獲得
11月3日(祝・木)に川崎競馬場で行われるJBC。そこに向けたRoad to JBC日本テレビ盃JpnⅡが船橋競馬場で行われた。1着馬にはJBCクラシックJpnⅠへの優先出走権が与えられる。川崎競馬場のマスコットキャラクター・カツマルくんもPRで来場し、JBCにちなんだイベントも盛りだくさんで、すでにJBC色たっぷりだ。勝ったのは、武豊騎手がエスコートした上がり馬アウォーディー。芝では4勝を挙げているが、昨年の秋からダートに転向。重賞初挑戦となったシリウスステークスGⅢを完勝すると、名古屋大賞典JpnⅢ、アンタレスステークスGⅢと重賞3連勝中。この日本テレビ盃JpnⅡでも単勝1.8倍と断然の人気を集め、ダート界の新星がどんな走りをするのか注目を集めていた。
レースは、フェブラリーステークスGⅠの覇者モーニンが戸崎圭太騎手を背に逃げ、アウォーディーはピタリとマークする形で2番手を追走。「スタートはあまりよくなかったですが取りたいポジションにはつけられたので、あとは追い出しのタイミングを間違えないように気をつけました」(武騎手)。
タイムズアローやアンコイルド、ハッピースプリントなど地方馬たちもその後ろにつけていたが、前を行く2頭が勝負どころから後続馬たちとの差を広げていった。
「4コーナーを回るときもすごくいい手応えだったので、その時点でほぼ勝てるんじゃないかと思ったんですが、相手(モーニン)もGⅠホースだし、戸崎圭太だし(笑)、渋太かったですね」(武騎手)。
4コーナーではモーニンの戸崎騎手の手が動き、アウォーディーの武騎手の手綱は持ったままだったのだが、モーニンも驚異的な粘りを見せ、アウォーディーが並びかけようとするもなかなか交わせず。最後は首の上げ下げの決着で、アウォーディーがアタマ差出たところがゴール。昨年の覇者サウンドトゥルーは5馬身離されての3着だった。
「JBCクラシックの権利を獲るために、何としても勝たなきゃいけないと思ってここに来たので本当によかったです」と武騎手は胸をなで下ろし、「次は川崎でアウォーディー。お後がよろしいようで」と続けて、報道陣をわかせた。
アウォーディーは、管理する松永幹夫調教師が、母ヘヴンリーロマンスの現役時に主戦騎手だったというゆかりの血統。半妹にはアムールブリエ、半弟にはラニがいる。ダートで負けなしというのは何よりも魅力だ。
惜しくも敗れたモーニンだが、アウォーディーよりも2キロ重い斤量を背負いながらもさすがの走りだった。「スピードはあるので特に行く馬もいなかったので逃げました。以前よりもピリピリしたところが抜けて上手に走れていたし、このくらいの距離もやれる手応えはつかめたので収穫はありました」(戸崎騎手)。
なお、地方馬の最先着は5着に入ったタイムズアロー、ハッピースプリントは6着だった。この路線は中央勢の高い牙城に阻まれている。地方勢にも一矢報いて欲しいところだが……。
武豊騎手
ダート適性の高さを感じますね。5カ月半ぶりだったんですがコンディションはよかったです。枠順も欲しかった外目の枠。いい感じでレースを迎えることができて、乗りやすい馬なので自信を持って臨みました。乗った感じでは左回りもスムーズなので、川崎2100メートルは条件がすごくいいと思います。
松永幹夫調教師
道中はいいリズムで走っていたんですが、この馬は気の悪いところがあるので、最後にやめるような仕草も見せていたので心配していましたが、勝ててホッとしました。今日のようにやめなければかなりやってくれると思います。兄弟はみんな活躍しているので他の馬に負けないように頑張って欲しいです。