後方待機から鮮やかに直線一気
人馬ともに久々の重賞タイトル
JBCに向けた戦い『Road to JBC』第2弾は、スプリンターたちの一戦、東京盃JpnⅡ。朝から降り続いた雨の影響で水の浮いた不良馬場で行われた。人気は、重賞8勝の実績を誇るダノンレジェンドが単勝1.8倍と支持を集めた。2番人気は、今年春から重賞2勝を挙げ、勢いのある4歳馬ノボバカラで2.8倍。3番人気は、昨年のJBCスプリントJpnⅠの覇者、5歳牝馬のコーリンベリーで5.0倍と、三つ巴の様相。この3頭の組み合わせの3連複のオッズは2.2倍を示していた。
ゲートが開くと、予想通りコーリンベリーが先手を主張する構えを見せたが、少し出が悪かったダノンレジェンドが二の脚を使って内から競りかけ激しい先行争いとなり、2頭併走でレースが進んだ。ゴーディーが3番手につけ、外にルックスザットキル。さらにプラチナグロースや、ノボバカラも好位を追走した。
4コーナーでは、プラチナグロース、ダノンレジェンド、コーリンベリーが並んで直線へ。そして、3頭が追い比べを演じているところに大外から一気に伸びてきたのが、道中後方を追走していたドリームバレンチノだ。残り100メートルあたりで前の馬たちを交わすと、豪快な末脚で2馬身突き放し快勝となった。2着争いはコーリンベリーが制し、アタマ差の3着に川崎のプラチナグロースが入った。
ドリームバレンチノにとっては、2014年のJBCスプリントJpnⅠ以来、1年10カ月ぶりの勝利。「馬自身もびっくりしているのではないでしょうか」(岩田康誠騎手)。「驚きました、その一言です」(加用正調教師)。陣営もそう口にしたほどだ。メンバー中、最年長の9歳、斤量は一番重い58キロを背負っての激走だった。
「今日のレースを見ていて外が伸びるなと感じていた。前が速くなるのは分かっていたし、道中じっくり乗ればこの馬の末脚が生きると思っていました」と岩田騎手が語ったように、天気と馬場を味方につけた勝利ともいえるだろう。
加用調教師は「キャリア豊富なレジェンドですからね。また大きな舞台でがんばってくれると期待しています」と満面の笑顔。JBCでは9歳ながら再び有力視されることだろう。
2着のコーリンベリーは、前走からプラス17キロの510キロとこれまでで一番重い馬体重だった。松山弘平騎手は、「状態は悪くなかったけど休み明けの分ですね。川崎1400メートルになるとコーナーが4つですから課題になると思います」と次走に向けてもコメントを残した。
JRAの実績馬が揃うなか、健闘したのは3着のプラチナグロース。「状態がとても良かったけど、まさかここまで走ってくれるとは。競馬が上手になっています」と明るい表情の真島大輔騎手。着実に力をつけている6歳馬で、地方代表として今後が期待される1頭だ。
そして、1番人気のダノンレジェンドは5着に敗れた。ミルコ・デムーロ騎手は「ずっと横からプレッシャーがあって気にしていました。最後は力が残っていませんでした。1400メートルは大丈夫だと思いますが、JBCでも枠順や展開次第ですね」と語った。
今年のJBCスプリントJpnⅠの舞台は川崎1400メートル。有力馬たちのほとんどが初めての条件なだけに、枠順はもちろん、距離や小回りコースなど、様々なポイントが勝敗の鍵となりそうだ。
岩田康誠騎手
夏負けせずフレッシュな状態で戻ってきて、返し馬も元気いっぱいで、前走より走れると思っていました。9歳ですから落ち着きがあって、精一杯走ってくれてこれだけのパフォーマンスですから頭が下がります。まだまだ走ってくれると思います。自分自身も久しぶりの重賞勝利ですごく嬉しいです。
加用正調教師
9歳ですからすごく良くなるというのはないですが、前走後はここを目標に放牧に出したので英気を養って良い状態で臨めました。こちらが想像する以上の走りで、騎手も調教師も舞いあがってしまいました。次走はJBC。この馬は左回りも実績がありますし、良い結果がでるように仕上げていきたいです。