末脚生かす展開で連覇達成
地方の期待馬は惜しくも2着
かしわ記念JpnⅠ・2着、さきたま杯JpnⅡ優勝と、南関東限定重賞からダートグレードへと活躍の場を広げているソルテが、秋はこのオーバルスプリントJpnⅢから始動。大目標のJBCスプリントJpnⅠに向けて、どんな走りをするのか注目が集まっていた。今回のソルテは、休み明け、中央馬より2~3キロ重い斤量、同じ先行タイプも何頭かいて、これまで以上にマークがきつくなる厳しい競馬になることも考えられていたが、それでも1番人気に推されたのは期待の表れでもあるだろう。今や、南関東を飛び越えて地方競馬全体の大きな存在だ。
しかし、そこに立ちはだかったのが、戸崎圭太騎手が手綱を取った昨年の覇者レーザーバレット。5番人気と中央勢の中ではもっとも低評価だったが、自慢の切れ味を炸裂させ、ソルテらを撃破した。
「競馬もうまくて浦和コースも合っていますね。今日は先に行く馬が何頭かいたので、それを見る形で行ければいいなという感じでした」(戸崎騎手)
レースは、ソルテとレガルスイが抜群のスタートと二の脚で先手を取り、競り合う形になった。レーザーバレットは中団外目を追走。向正面から徐々に進出していき、3コーナー手前では4番手まで進出。戸崎騎手がステッキを入れながら、最後の直線では前を射程圏に入れた。
「道中リズムよく走ることができれば、最後はいい脚を使ってくれると信じていました。前にいる馬も強いので、どうかなという感じでしたが、エンジンがかかってからは伸び脚が違うので、(ソルテに)並ぶちょっと前にはゴールまで距離があったので交わせるなと」(戸崎騎手)
前にいたレガルスイを交わし、最後はソルテも抜き去り、半馬身差をつけてのゴール。勝ちタイムの1分25秒8(重)は、オーバルスプリントが中央との交流となって以降の過去5年でもっとも速いタイムでの決着。差し馬にはおあつらえ向きの展開になり、浦和コースを知り尽くしている戸崎騎手の好騎乗も光った。古豪の復活、この馬の最後の決め手は今後も怖い存在だ。
一方、大きな期待を背負って挑んだソルテだったが惜しくも2着に敗れた。しかし、今回は様々なハンデも多かっただけに、負けてなお強しだったと言えるだろう。
「(前に)行った方が自分のペースを作れると思ったんですが、考えてたいた以上にこられたので、これも競馬ですね。かなり厳しい展開でしたが、それが次に生きてくれたらいいですし、今日はいろんな要素も重なったので、悲観する内容ではなかったです。今年はGⅠ/JpnⅠを獲るのが目標で、ソルテはそのくらいの力のある馬なので堂々といきたいですね」(吉原寛人騎手)
ここを勝って次の大一番に向かう形がもちろんベストではあっただろうが、「次に切り替えよう」と、寺田新太郎調教師をはじめ川合広和厩務員、調教パートナーの上田健人騎手も、レース後は次に向かっていた。JBCスプリントJpnⅠへの戦いはすでに始まっている。
戸崎圭太騎手
馬も浦和競馬場が大好きなようで、いい走りをしてくれました。先生から、今日はこの1年で一番いい状態と聞いていたので、自信を持って乗りました。最後の伸び脚もよかったですね。人気は少し落ちていましたが、まだまだ若さあふれる走りをしてくれるので、これからもいい走りをしてくれるでしょう。
萩原清調教師
8歳という年齢も感じさせないで走ってくれましたね。去年に続いてこのレースを勝たせてもらいましたが、浦和競馬場との相性だけではなく、まだ馬も若いし、状態もよかったからだと思います。この後は、あくまでもレース後の様子を見てからですが、JBCスプリントも視野に入れていきたいです。