好スタートから直線突き放す
JBC連覇へ改めて能力見せる
桜が満開に咲き誇り、まさに春爛漫の大井競馬場。この日の入場者数は8000人を超え、メインの東京スプリントJpnⅢの売上げもレコードを更新するなど、大盛況の1日となった。注目のひとつは、同じ舞台だった2015年JBCスプリントJpnⅠの1、2着馬、コーリンベリーとダノンレジェンドの再戦だ。人気の面では、前走の黒船賞JpnⅢを快勝したダノンレジェンドが単勝1.4倍と断然の支持を集めた。一方で、ここ2戦結果が出ていないコーリンベリーは3番人気で6.8倍。そして、その2頭の間に割って入る2番人気(3.1倍)に推されたのが4歳のブルドッグボスだ。デビューから3着内を外したのは一度だけ、まだ底を見せていないこの馬への期待が伺えた。
ゲートが開くと場内がどよめいた。その理由はダノンレジェンドの出遅れ。後方からのレースとなった。好スタートを切ったコーリンベリーは12番枠からスムーズに先手を取った。その外2番手にルックスザットキル、直後にグレープブランデー、ブルドッグボスが続き、盛り返すことのできなかったダノンレジェンドは馬群の中。3~4コーナーでは、前の2頭が後続を少し離して直線へと向かった。
ルックスザットキルを振り切り、うしろをちらりと確認したコーリンベリーの松山弘平騎手。「強い馬がいるので最後まで気は抜けなかったが、直線も脚はたまっていたし、追ってからの反応も力強かったです」。そのまま後続を突き放し、2着に2馬身半の差をつけて逃げ切り快勝。ゴール後、パートナーの首をポンと叩いた松山騎手は、直後に左手の拳を強く握りしめた。
2着には8歳のグレープブランデーが入り、古豪の底力を示した。そしてダノンレジェンドは、直線半ばでようやく外に出し強烈な末脚で追い込んだが3着まで。「スタートがダメでした。砂をかぶり前に進んでいきませんでした」とミルコ・デムーロ騎手は残念そうな表情。注目のブルドッグボスは、初めてのナイターを気にしたこともあってか、4着という結果だった。
昨年のJBCスプリントJpnⅠ優勝後、チャンピオンズカップGⅠ・13着、フェブラリーステークスGⅠ・15着と、一線級の牡馬相手に二桁着順が続いていたコーリンベリーだが、「ここ2戦は距離が長かったし、厳しい形の競馬だったので」と松山騎手が話すように、敗戦の理由は明確。得意の距離に戻り、そのスピードを活かす競馬ができれば、トップクラスの力があるということを証明して見せた。次走は、6月1日に浦和競馬場で行われるさきたま杯JpnⅡを予定しているとのこと。「今年のJBCスプリントは川崎の1400なので、距離に対応できるように馬を作っていきたい」と小野次郎調教師。JBCスプリント連覇に向けて、コーリンベリーの準備は始まっている。
地方馬全頭が、単勝200倍以上という評価の中、4歳のルックスザットキルが見せ場を作り5着に粘った。「コーリンベリーの外につけて理想的な競馬ができました。一瞬、これはと思いましたね。今日はマイナス19キロでしたが、これくらいの馬体重が良いと思います。まだ良くなりますよ」と早田功駿騎手。大井生え抜きで、早くからその素質が注目されていた馬だけに、今後のさらなる成長、そして活躍に期待したい。
松山弘平騎手
ハナには拘らず自分のリズムで競馬をしようと思っていました。スタートが良く、外枠だったので周りを見ながらすんなりハナを取る形になりました。前半で楽ができた分、最後突き放してくれましたね。この舞台はぴったり。まだ5歳ですし伸びしろはありますしスピードではこの馬が一番だと思っています。
小野次郎調教師
JBCの時とは馬場状態も違うし、斤量も2キロ増だし、厳しい競馬になると思っていましたが、思いのほか楽に勝てて、改めてこの馬の凄さを感じました。持って生まれたスピード能力ですね。ここ2戦は、使いたい距離がなかったのと可能性を試してのこと。この馬は本当に手のかからない女の子なんですよ。