佐賀を熟知する川田騎手の好騎乗
好位から直線抜け出し重賞初制覇
佐賀記念JpnⅢは、川崎記念JpnⅠとフェブラリーステークスGⅠの狭間の日程で行われることもあり、GⅠ/JpnⅠ戦線の常連といえる馬の登録は例年あまりない。今年はJRAの選定馬5頭のうち、14年の川崎記念JpnⅠ・3着があるトウショウフリークが補欠繰り上がり期限後に回避。残る4頭にGⅡ/JpnⅡ以上で3着以内の実績がある馬は不在となった。単勝人気上位はJRAの4頭が独占したものの、この相手なら名古屋のカツゲキキトキトにもダートグレード初制覇のチャンスとあって、JRA勢とさほど差のない5番人気の評価を受けていた。レース前日、当日と天候は回復していたものの、馬場状態は日曜日の雨の影響から回復せず、メインの佐賀記念JpnⅢも不良馬場での実施となった。スタート直後はカツゲキキトキトが先頭だったが、積極的にハナを奪いに行こうとはせずに、内から上がってきたリッカルドが先頭へ。その直後に1番人気に推されたロンドンタウンが付けると隊列は落ち着き、先頭から最後方までさほど大きな差はつかない流れでレース前半は進んでいった。
しかし向正面に入ると、逃げるリッカルドにロンドンタウン、タムロミラクル、カツゲキキトキトと4頭の先行集団が後続との差を広げて行った。
優勝争いは先行4頭に絞られる形となり、2番手につけていたロンドンタウンが4コーナーでリッカルドを交わして直線に入ると、楽々と後続との差を広げ、タムロミラクルに4馬身の差をつけての完勝となった。以下、3着にストロングサウザーが入り、地方期待のカツゲキキトキトは4着。また、5着には佐賀のキョウワカイザーが入り、佐賀勢としては08年のザオリンポスマン(4着)以来となる佐賀記念JpnⅢの掲示板内確保となった。
ロンドンタウンは昨年秋にオープン入りした後は、武蔵野ステークスGⅢ、東海ステークスGⅡと重賞を2戦し、勝ち馬との差は1秒以内と健闘。地方初出走での重賞初制覇となった。
鞍上の川田将雅騎手はこれで佐賀記念JpnⅢ・2勝、サマーチャンピオンJpnⅢ・3勝と、佐賀でのダートグレードは5勝目。「佐賀のコース特性を考慮しての位置取りでした。徐々に成長している最中で、いい内容でレースができたので、すごく収穫のあるいい経験ができたと思います」と、今後への期待を滲ませて語っていた。
JRAの出走馬選定に、過去1年間の成績が重視される枠ができて今年で3年目となるが、佐賀記念JpnⅢの勝ち馬は一昨年のマイネルクロップ、昨年のストロングサウザーに続き、3年連続でその枠から出走してきた馬が重賞初制覇を果たした。過去2年の勝ち馬はともに、その後に重賞勝ちを上積みし、翌年の佐賀記念JpnⅢに出走して上位を確保している。ロンドンタウンも今回の賞金加算を活かして、重賞戦線を賑わしていきそうだ。
川田将雅騎手
リッカルドが行くと思っていたので、いい位置が取れました。前のリッカルドをかわいがりながら、いつ捕まえて抜け出そうかと思ってたので、後ろから来る馬は気にならなかったです。手ごたえも良かったし、そのまま勝てると思いました。
牧田和弥調教師
重賞を2戦してそれほど差がない競馬ができていたし、前走も流れが向けばもうちょっと上位に来れたなと思っていたので、手ごたえはありました。今後は馬の様子を見ながらですが、中距離の交流重賞を使って行きたいです。