マイスターチャレンジ |
ヴィクトリーチャレンジ |
---|
繁田健一騎手が堂々3度目の優勝
初出場の下原理騎手が2位に健闘
一方、“常連”といえる騎手は、繁田健一騎手(浦和)、赤岡修次騎手(高知)、山口勲騎手(佐賀)で、いずれも11回目の出場。戸崎圭太騎手(JRA)は、大井所属時からの通算で9回目となった。厳しい生存競争のなか、それだけの出場歴を重ねていることもまた、すばらしいことといえる。
そういう名手たちによる戦いではあるが、遠征騎手には“左回り”という、克服しなければならない課題がある。第1戦・マイスターチャレンジの終了後にそのあたりを聞いてみると「アブミの長さを左右で変えましたが、いつもと逆で違和感がありましたね」(丸野騎手)、「久しぶりだから、ちょっとね」(山口騎手)などと、首をかしげている様子。川崎競馬での騎乗経験が豊富なはずの佐藤騎手でさえ「何回やってもイマイチですね」と苦笑いしていた。日ごろから身にしみついている右回りの生活は、いかに名手といえども急に対応するのはむずかしいことなのだろう。
そのせいなのか、過去14回の優勝騎手のうち、第2回の鮫島克也騎手(佐賀)を除く延べ13名は、左回りで騎乗することが多い環境にいる騎手。2位と3位には右回りの競馬場から出場した騎手も多く入っているのだが、左回りでの経験や慣れの差が、最後のひと押しに影響してくるのかもしれない。
第1戦の勝負どころでは、そのあたりが垣間見えた。
14頭立てながら単勝万馬券の馬が1頭もいない混戦のなか、1着となったのは3番ゲートからスタートして、道中もインコースをキープした繁田騎手。逆に2着の下原騎手は、4コーナーで外に大きく膨らむ形になってしまった。「直線の入口で内か外か迷ったんですが、内はゴチャつきそうだったので外を選んだら、予想以上に外に行ってしまって」と、反省。3着に入った森泰斗騎手(船橋)とはクビ差だった。
このシリーズは2戦の合計ポイントによって表彰者が決まる。しかしながら各騎手はポイント争いよりも「ひとつでも上の着順を」と考えている様子。このあたりは4戦の合計ポイントで争うスーパージョッキーズトライアルとは違う空気が感じられた。
第2戦ヴィクトリーチャレンジは2100メートル戦で、B3級とC1級の混合戦。ファンにとっては格下でも長距離を目指してきた馬か、それとも格付的に上位の馬か、そこに全馬乗替りという点が加わって、悩ましさに輪をかける一戦といえた。
そのなかで単勝1番人気に支持されたのは、山本騎手で臨むC1級のアズナヴァル。2番人気には3走前にC1級の2000メートル戦を制している山崎誠士騎手(川崎)のスーパーノヴァが推されたが、単勝万馬券の馬が4頭と、第1戦よりは人気の差が広がっていた。
2コーナーからのスタートで、その人気2頭がやや後手を踏んだ。多くの騎手は砂埃が舞いあがる馬場コンディションを考慮してか、先を争う馬が多く縦長の展開になった。
そうなると前に行った馬たちにとっては厳しくなったようで、レースを引っ張った3番手までの馬は最後に失速。その後ろの4番手からレースを進めた中野騎手が4コーナーで先頭に立って押し切りを図った。しかし最後の直線で伸び脚を発揮した山崎騎手のスーパーノヴァが差し切り勝ち。3着には、ここでもインコースを立ち回った繁田騎手が入った。
佐々木竹見カップでは繁田騎手と山崎騎手がこれまで2回優勝しているが、今年はその2名が表彰台に上がることになったのは、偶然ではないのかもしれない。優勝は、第1戦を勝ち、第2戦で3着に入った繁田騎手。第2位には下原騎手が食い込み、第3位は山崎騎手。実績のある2名の間に入った下原騎手は「リーディングになったことで、とてもいい経験をさせてもらっています」と笑顔を見せていた。
繁田健一騎手
(浦和)
下原理騎手
(兵庫)
山崎誠士騎手
(川崎)