本年11月29日および30日にJRA東京競馬場で実施される第28回ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)には、地方競馬から代表騎手1名が参加しますが、この出場権を地方競馬トップジョッキーが競う「ワールドスーパージョッキーズシリーズ地方競馬代表騎手選定競走」の呼称です。下記に示しました、SJT本戦(第1ステージ、第2ステージ)の4レースにおける着順に応じた得点の合計により、WSJSの(※)地方競馬代表騎手(第2位の者が補欠騎手)が選ばれます。
また、SJT本戦に先がけて、各地方競馬場リーディング2位(南関東地区は5位)の騎手等による、本戦への出場を懸けた『SJTワイルドカード』が実施されます。
また、SJT本戦に先がけて、各地方競馬場リーディング2位(南関東地区は5位)の騎手等による、本戦への出場を懸けた『SJTワイルドカード』が実施されます。
※ 地方競馬代表騎手については、地方競馬全国協会から代表騎手1名、補欠騎手1名を日本中央競馬会に推薦し、同会が決定します。
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4戦とも5着以内で最終戦を勝利
赤岡騎手が7年ぶり2度目の優勝
2007年、2011年に続いて名古屋競馬場で行われた、スーパージョッキーズトライアル第2ステージ。前日までの雨が上がった名古屋競馬場の正門を入った瞬間、ファンの姿が通常の平日よりも多いことに驚いた。好天に恵まれたのはもちろんだが、名手たちが顔をそろえることをファンが楽しみにしていると思える雰囲気だった。
ただ、岩手代表の村上忍騎手が10月18日の落馬負傷の影響で出場を辞退。今年は11名のトップジョッキーが、1枚しかない世界への切符に挑むことになった。
しかしながら、第1ステージで1着を得た2名の騎手が、もうひとつのレースで最下位と競走除外だった影響で、繰り越されてきたポイントからは全員にチャンスがある状況。第1ステージ開始前には気さくに意気込みなどを話してくれた各騎手が、名古屋ではピリピリとした空気を発しているように感じられたのは、やはり“優勝”という文字を意識できる状況だったからなのかもしれない。
さらに、第3戦のシルバーブーツ賞も第4戦のシルバーホイップ賞も、地元の角田輝也調教師が「どうやってこんなに実力拮抗の馬を集めたのかというくらい、むずかしい」というほどのメンバー構成。各レースの出走馬は近走の成績などを参考に「A」「B」2つのグループに分け、出場騎手はそれぞれに1回ずつ騎乗することになっているが、専門紙上の印の重さは、それとは一致していない感もあった。
ただ第3戦のオッズ的には、吉原寛人騎手(金沢)のマヤノフォルゴーレが単勝1.5倍と抜けた人気。レースは、ゲートが開いたと同時に先頭に立った鮫島克也騎手(佐賀)が、騎乗するエクセルギーをインコースから3頭分ほど空けた場所に誘導して逃げの手を打った。
「内から3~4頭あたりのところが軽そうだったんで」と読んだ作戦は、後に続く10頭に、外を回らせることにつながった。そのアドバンテージを最後までいかして逃げ切り勝ち。2着には木村健騎手(兵庫)が4コーナーでインコースを突いて浮上し、3着には好位から流れ込んできた御神本訓史騎手(大井)が入った。
この結果、第1ステージ終了時点で9位だった鮫島騎手は、20ポイント加算で32ポイントとなって一気に首位に。4着だった赤岡修次騎手(高知)が同じポイントで並び、木村騎手も第1ステージの7位からトップに3ポイント差の3位に上昇と、勢力図が一変することになった。
2011年に同じ名古屋で首位と1ポイント差の2位に泣いた木村騎手は、「次が勝負やね」と、気を引き締め直して装鞍所に。第3戦で勝利をおさめた鮫島騎手は、最終戦を前にしてトップであることを確認してから次の騎乗へと向かい、トップタイの赤岡騎手は「前回、名古屋で優勝したときは未勝利でしたから、今回は勝ちたいですよね」と力を込めた。そう、今回のメンバーには「名古屋とは好相性」を自認する騎手がほかにもいる。2011年にこの地で優勝を決めた吉原寛人騎手(金沢)、今年3月の『東西対抗ジョッキー名人戦』で2戦2勝の成績を残した的場文男騎手(大井)。この2名もまた、優勝を狙えるポイントになっていた。となると、第4戦は多くの騎手が“勝ちにいく”競馬をすることになるのだろうか。
丸野勝虎騎手(愛知)のピースフルリバティが単勝1.5倍となった第4戦は、最内枠を引いた御神本騎手と大外枠の木村騎手が先手を主張。木村騎手はレース後に「勝ちに行く競馬をしましたよ。でもちょっと距離が長かったのかな……」と振り返ったが、レースの流れもまた、厳しかったのかもしれない。
その最終戦を制したのは、好位のインで脚を溜め、最後もインコースから伸びた赤岡騎手。2周目の3コーナーで進路を外に切り替えた鮫島騎手は、クビ差届かず2着となった。そして3着には的場騎手が最後方から差を詰めて入線と、第3戦終了時の上位4名のうち3名が1着から3着までを独占するという、珍しい結果になった。
それがそのまま最終的な順位になり、赤岡修次騎手が7年ぶり2回目の優勝。ワールドスーパージョッキーズシリーズの地方競馬代表騎手の選定方法が現在のシステムになってから初めての、複数回優勝騎手となった。
赤岡騎手は11月29日と30日に世界の名手を相手に躍動する。「東京競馬場で乗ったのは、南部杯(2011年)の日だけ」とのことだが、前回のワールドスーパージョッキーズシリーズのときから遠ざかっているJRAでの勝利に、大いに期待したいものだ。
ただ、岩手代表の村上忍騎手が10月18日の落馬負傷の影響で出場を辞退。今年は11名のトップジョッキーが、1枚しかない世界への切符に挑むことになった。
しかしながら、第1ステージで1着を得た2名の騎手が、もうひとつのレースで最下位と競走除外だった影響で、繰り越されてきたポイントからは全員にチャンスがある状況。第1ステージ開始前には気さくに意気込みなどを話してくれた各騎手が、名古屋ではピリピリとした空気を発しているように感じられたのは、やはり“優勝”という文字を意識できる状況だったからなのかもしれない。
さらに、第3戦のシルバーブーツ賞も第4戦のシルバーホイップ賞も、地元の角田輝也調教師が「どうやってこんなに実力拮抗の馬を集めたのかというくらい、むずかしい」というほどのメンバー構成。各レースの出走馬は近走の成績などを参考に「A」「B」2つのグループに分け、出場騎手はそれぞれに1回ずつ騎乗することになっているが、専門紙上の印の重さは、それとは一致していない感もあった。
ただ第3戦のオッズ的には、吉原寛人騎手(金沢)のマヤノフォルゴーレが単勝1.5倍と抜けた人気。レースは、ゲートが開いたと同時に先頭に立った鮫島克也騎手(佐賀)が、騎乗するエクセルギーをインコースから3頭分ほど空けた場所に誘導して逃げの手を打った。
「内から3~4頭あたりのところが軽そうだったんで」と読んだ作戦は、後に続く10頭に、外を回らせることにつながった。そのアドバンテージを最後までいかして逃げ切り勝ち。2着には木村健騎手(兵庫)が4コーナーでインコースを突いて浮上し、3着には好位から流れ込んできた御神本訓史騎手(大井)が入った。
この結果、第1ステージ終了時点で9位だった鮫島騎手は、20ポイント加算で32ポイントとなって一気に首位に。4着だった赤岡修次騎手(高知)が同じポイントで並び、木村騎手も第1ステージの7位からトップに3ポイント差の3位に上昇と、勢力図が一変することになった。
2011年に同じ名古屋で首位と1ポイント差の2位に泣いた木村騎手は、「次が勝負やね」と、気を引き締め直して装鞍所に。第3戦で勝利をおさめた鮫島騎手は、最終戦を前にしてトップであることを確認してから次の騎乗へと向かい、トップタイの赤岡騎手は「前回、名古屋で優勝したときは未勝利でしたから、今回は勝ちたいですよね」と力を込めた。そう、今回のメンバーには「名古屋とは好相性」を自認する騎手がほかにもいる。2011年にこの地で優勝を決めた吉原寛人騎手(金沢)、今年3月の『東西対抗ジョッキー名人戦』で2戦2勝の成績を残した的場文男騎手(大井)。この2名もまた、優勝を狙えるポイントになっていた。となると、第4戦は多くの騎手が“勝ちにいく”競馬をすることになるのだろうか。
丸野勝虎騎手(愛知)のピースフルリバティが単勝1.5倍となった第4戦は、最内枠を引いた御神本騎手と大外枠の木村騎手が先手を主張。木村騎手はレース後に「勝ちに行く競馬をしましたよ。でもちょっと距離が長かったのかな……」と振り返ったが、レースの流れもまた、厳しかったのかもしれない。
その最終戦を制したのは、好位のインで脚を溜め、最後もインコースから伸びた赤岡騎手。2周目の3コーナーで進路を外に切り替えた鮫島騎手は、クビ差届かず2着となった。そして3着には的場騎手が最後方から差を詰めて入線と、第3戦終了時の上位4名のうち3名が1着から3着までを独占するという、珍しい結果になった。
それがそのまま最終的な順位になり、赤岡修次騎手が7年ぶり2回目の優勝。ワールドスーパージョッキーズシリーズの地方競馬代表騎手の選定方法が現在のシステムになってから初めての、複数回優勝騎手となった。
赤岡騎手は11月29日と30日に世界の名手を相手に躍動する。「東京競馬場で乗ったのは、南部杯(2011年)の日だけ」とのことだが、前回のワールドスーパージョッキーズシリーズのときから遠ざかっているJRAでの勝利に、大いに期待したいものだ。
第3戦を制した鮫島騎手は一気にジャンプアップし、首位で最終戦へ。
最終戦は、直線で赤岡騎手と鮫島騎手の一騎打ちに。
壮絶な叩き合いを制した赤岡騎手が、見事総合優勝を果たした。
取材・文:浅野靖典
写真:岡田友貴(いちかんぽ)
写真:岡田友貴(いちかんぽ)
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当日の様子はこちら
(YouTube地方競馬チャンネル内)
総合優勝
赤岡修次騎手
赤岡修次騎手
最終戦の馬は反応が悪いと聞いていたので、早めに仕掛けたらエンジンがかかったんですが、そのときに鮫島さんを見たら手応えがよくて。鮫島さんに負けたらダメだとわかっていたので、あとは懸命に追いました。前回のWSJSは右も左もわからず3位に入りましたが、今回はそれより上を目指したいです。
総合2位
鮫島克也騎手
鮫島克也騎手
ポイントは頭に入っていたので、最後のレースでは外を回して勝ちに行って、直線では無我夢中で追いました。でもちょっと届かなかったですね。悔しいです。それでも、名古屋の馬場も馬も研究して2位になれたので、成績的には納得しています。来年もまた、この舞台に戻ってきたいです。
総合3位
的場文男騎手
的場文男騎手
年齢的にも(SJTは)今年が最後かなと思って、渾身の騎乗をしたんですけどね。優勝してまたWSJSに行けたら夢だなあと考えていたんですが、でも楽しんで乗ることができました。南関東で4位以内に入るというのは、なかなかむずかしいんですよね。でもまた、頑張ろうと思います。