従来、単独の競馬場で行われてきた女性騎手招待競走を、複数場で施行することにより、シリーズ化(3ラウンド6レースの総合ポイント制)。2006年(平成18年度)から現在の形態で実施されている。女性騎手のみで行われるレースは年間を通じて当シリーズのみで、注目度も高く、日本一決定戦の側面だけではなく、普段の競馬場では見られない華やかな雰囲気とお祭り感も特徴の一つとして親しまれている。
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
地元ファンに見せた連勝の逆転劇
寒空の太陽が最後に照らしたのは…
寒空の太陽が最後に照らしたのは…
レディースジョッキーズシリーズ2010、最終決戦の地は、荒尾競馬場。金沢、名古屋ラウンド共に晴天に恵まれたのだが、この日の荒尾市は空一面雲に覆われ、最高気温は4度という、今季一番の寒さ。ピリッとした空気が女性騎手たちに緊張感を与え、厳しく激しい戦いを予感させた。
そんな荒尾ラウンドには、実にドラマティックな展開が待ち受けているのである。
第5戦のアフロディテ賞は、断然の1番人気ヤマイチハジメと岩永千明騎手(荒尾)が、好スタートから先手を取った。向正面に入ると前の8頭が一団になったが、ペースを上げた岩永騎手に後続がついて行けず独走態勢。直線では後ろを振り返る余裕を見せ、8馬身差の圧勝となった。懸命に伸び脚を見せた池本徳子騎手(福山)とスターペスゲンズイが2着。好位でレースを進めた皆川麻由美騎手(岩手)とタイオトシが3着を確保した。
「いい馬に乗せてもらったので、負けられないというプレッシャーがありました」と安堵の表情で語る岩永騎手。前日は緊張して眠れなかったそうだが、何度もレースのイメージトレーニングをして臨んだという。プレッシャーをはねのけて、ここ一番で20ポイントを勝ちとった。
さて、最終戦を残しポイント争いが一層激しくなった。5位までが10ポイント差以内という大混戦。次のレースを勝った騎手が……という空気が検量室前に漂っていた。
迎えた第6戦のニケ賞。ハナを切った平山真希騎手(浦和)とトキメキセイコーが快調に飛ばし、やや縦長の展開。3〜4コーナーで平山騎手が引き離しにかかる中、後方から一気に2番手まで進出したのが岩永騎手とサンデイルック。勢いそのままに直線では外を豪快に伸び、差し切ったのであった。地元岩永騎手が見せたこのパフォーマンスに、場内は大興奮、大きな歓声に包まれた。
2連勝という快挙を成し遂げた岩永騎手は、嬉しさで涙が溢れた。過去のLJSでは、競走中止のレースがあるなど、不本意な結果に悔しい思いをしてきた。また、毎年開催される荒尾ラウンドで地元騎手としてのプライドもあった。それだけに、今回、地元ファンの目の前で結果を出せたことは最高の喜びであったであろう。
「嬉しい嬉しい」と何度も繰り返し、笑顔で語る岩永騎手を、真っ赤な夕日が照らしだした。太陽は最後の最後で姿を現し、今年の女王を輝かせたのであった。
劇的な展開の荒尾ラウンドは、岩永騎手のひとり舞台。その岩永騎手が大逆転で初めての総合優勝を手にした。シリーズを通して大崩れのなかった池本騎手が総合2位。惜しくも1ポイント差で、荒尾ラウンド2位の皆川騎手が総合3位という結果でLJS2010は幕を閉じた。
怪我のため不参加だったが、3ラウンドすべてに応援にかけつけた森井美香騎手(高知)はこんな感想を話してくれた。「今年は、無理な競り合いが見られなかったです。みんな戦い方が分かってきたんですね」
すっかりファンに定着したLJSは、当の騎手たちにも優勝するための戦法が見えてきたようだ。とすると、来年はもっとドラマティックな争いが見られるかもしれない。そんな期待を胸に、一年後、また彼女たちに会えるのを楽しみに待ちたい。
そんな荒尾ラウンドには、実にドラマティックな展開が待ち受けているのである。
第5戦のアフロディテ賞は、断然の1番人気ヤマイチハジメと岩永千明騎手(荒尾)が、好スタートから先手を取った。向正面に入ると前の8頭が一団になったが、ペースを上げた岩永騎手に後続がついて行けず独走態勢。直線では後ろを振り返る余裕を見せ、8馬身差の圧勝となった。懸命に伸び脚を見せた池本徳子騎手(福山)とスターペスゲンズイが2着。好位でレースを進めた皆川麻由美騎手(岩手)とタイオトシが3着を確保した。
「いい馬に乗せてもらったので、負けられないというプレッシャーがありました」と安堵の表情で語る岩永騎手。前日は緊張して眠れなかったそうだが、何度もレースのイメージトレーニングをして臨んだという。プレッシャーをはねのけて、ここ一番で20ポイントを勝ちとった。
さて、最終戦を残しポイント争いが一層激しくなった。5位までが10ポイント差以内という大混戦。次のレースを勝った騎手が……という空気が検量室前に漂っていた。
迎えた第6戦のニケ賞。ハナを切った平山真希騎手(浦和)とトキメキセイコーが快調に飛ばし、やや縦長の展開。3〜4コーナーで平山騎手が引き離しにかかる中、後方から一気に2番手まで進出したのが岩永騎手とサンデイルック。勢いそのままに直線では外を豪快に伸び、差し切ったのであった。地元岩永騎手が見せたこのパフォーマンスに、場内は大興奮、大きな歓声に包まれた。
2連勝という快挙を成し遂げた岩永騎手は、嬉しさで涙が溢れた。過去のLJSでは、競走中止のレースがあるなど、不本意な結果に悔しい思いをしてきた。また、毎年開催される荒尾ラウンドで地元騎手としてのプライドもあった。それだけに、今回、地元ファンの目の前で結果を出せたことは最高の喜びであったであろう。
「嬉しい嬉しい」と何度も繰り返し、笑顔で語る岩永騎手を、真っ赤な夕日が照らしだした。太陽は最後の最後で姿を現し、今年の女王を輝かせたのであった。
劇的な展開の荒尾ラウンドは、岩永騎手のひとり舞台。その岩永騎手が大逆転で初めての総合優勝を手にした。シリーズを通して大崩れのなかった池本騎手が総合2位。惜しくも1ポイント差で、荒尾ラウンド2位の皆川騎手が総合3位という結果でLJS2010は幕を閉じた。
怪我のため不参加だったが、3ラウンドすべてに応援にかけつけた森井美香騎手(高知)はこんな感想を話してくれた。「今年は、無理な競り合いが見られなかったです。みんな戦い方が分かってきたんですね」
すっかりファンに定着したLJSは、当の騎手たちにも優勝するための戦法が見えてきたようだ。とすると、来年はもっとドラマティックな争いが見られるかもしれない。そんな期待を胸に、一年後、また彼女たちに会えるのを楽しみに待ちたい。
取材・文:秋田奈津子
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR
総合 優勝
荒尾ラウンド 優勝
岩永千明騎手
荒尾ラウンド 優勝
岩永千明騎手
嬉しくてたまりません。涙が出ました。LJSはこれまで悔しい思いをしてきたので今年勝てて嬉しいです。勝ちたいという気持ちが強くて、昨日は緊張で眠れませんでした。お客さんの応援もたくさん聞こえたし、地元で2勝できたことが本当に良かったです。今年は不調だったので、人生悪いこともあれば、良いこともあるんだなぁと実感しました。賞金で父と母に、時計をプレゼントしたいです!
総合 2位
荒尾ラウンド 3位
池本徳子騎手
荒尾ラウンド 3位
池本徳子騎手
今までで一番上の順位というのは良かったですが、満足はしてはないですよ。でも今年は一番リラックスしてレースに臨めました。大きく崩れることはなかったので、それが結果につながったのかもしれません。今日は母が見に来ていたので、気合を入れて騎乗しました。
総合 3位
荒尾ラウンド 2位
皆川麻由美騎手
荒尾ラウンド 2位
皆川麻由美騎手
第5戦では、かなりかかってしまい大変だったんですが、なんとか3着に食い込めたのが良かったですね。でも、また総合3位というのが嬉しいし悔しいし、切ないです。今年は、名古屋ラウンドで好調だったので、今回こそはと思っていたんですが……。来年こそは優勝です!!