従来、単独の競馬場で行われてきた女性騎手招待競走を、複数場で施行することにより、シリーズ化(3ラウンド6レースの総合ポイント制)。2006年(平成18年度)から現在の形態で実施されている。女性騎手のみで行われるレースは年間を通じて当シリーズのみで、注目度も高く、日本一決定戦の側面だけではなく、普段の競馬場では見られない華やかな雰囲気とお祭り感も特徴の一つとして親しまれている。
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
優しい太陽がレディースを熱戦に
思い切った逃げで勝利をつかむ
思い切った逃げで勝利をつかむ
LJS2010第2ラウンドの舞台は、4年ぶりの名古屋競馬場。今日から12月というのにもかかわらず、この日は最高気温が20度近くになる、まさに小春日和の競馬日和。金沢ラウンドの晴天といい、どうやら今年の太陽は女性騎手たちに優しいらしい。最高のコンディションを演出し、熱戦を楽しみに待つファンもスタンドに大勢集まった。
そんな名古屋競馬場に集結した女性騎手たちはというと、はじめ、地元の騎手たちと談笑する姿も見られ和やかな雰囲気だったのだが、紹介式を終えると、一人また一人と足早に装鞍所に向かって行った姿が非常に印象的だった。この第2ラウンドの戦いが大事なのだと言わんばかりに、真剣な面持ちが気迫を感じさせた。
さて、この日の名古屋競馬は前半から先行有利の馬場。内の先行馬が粘り切るレースが目立っていた。それでもLJSは、慣れないコースに加え、それぞれの馬には初騎乗、そして各騎手の思惑も働くこともあり、意外な展開になりやすい。しかしながらこの日は、そうした馬場の傾向を生かした騎手が勝利を掴みとることとなった。
第3戦のアテナ賞は、池本徳子騎手(福山)のハンサムケンタと平山真希騎手(浦和)のカイゼンとの先行争い。何が何でもという構えの池本騎手が気合をつけペースを握った。直線では、中団から徐々に上がってきた別府真衣騎手(高知)のエイコウトップが猛追したが、池本騎手が最後まで粘り通した。
「ゴール前ではいっぱいだったし、差されると思った」と静かに語る表情には、大切な1勝を手にしたと共に、1番人気の役目を果たせたという安堵の様子がうかがえた。
改めて先行馬が残るという印象を受けた直後の第4戦デメテル賞も、やはり逃げ切り勝ちだった。山本茜騎手(名古屋)のゴールドロザリーが先手を取るかと思いきや、1コーナーで皆川麻由美騎手(岩手)のサンキンカミカゼが勢いよく前に出た。結局そのまま後続を寄せ付けず2馬身差で逃げ切り快勝となった。2着には好位につけた平山騎手のスズカアリュール。3着は2番手に控えた山本騎手となり、先行勢が上位を占めた。
「よっしゃー」と雄叫びを上げた皆川騎手。ゴール直前ではガッツポーズの準備をしていたというほど待ち遠しい勝利だった。今年は4月の落馬負傷により5カ月ほど戦列を離れ、復帰後は地元で4着が最高という成績だった。「勝ちたくて仕方なかった。本当に嬉しい」と、岩手の元気娘の喜びがさく裂し、周囲の笑顔を誘った。
名古屋ラウンドは、1着、5着の池本騎手と、5着、1着の皆川騎手が29ポイントで並んだが、規定により第4戦で勝利した皆川騎手がこのラウンド1位。4着、3着にまとめた山本騎手が24ポイントで3位となった。表彰式には、昨年までこのシリーズに参加していたJRAの西原玲奈元騎手がサプライズプレゼンターとして登場し、場内を沸かせた。
総合ポイントでは、安定感のある別府騎手が57ポイントで1位をキープ。池本騎手(48ポイント)が2位、皆川騎手(47ポイント)が3位につけた。5位の山本騎手でも44ポイントと、やはり大混戦模様である。
皆川騎手が最後にこんなことを言っていた。「おもしろいですね、LJSって!」そう、騎手自身が楽しんでいる姿に、私たちファンは魅了されている。荒尾の最終決戦が楽しみだ。
そんな名古屋競馬場に集結した女性騎手たちはというと、はじめ、地元の騎手たちと談笑する姿も見られ和やかな雰囲気だったのだが、紹介式を終えると、一人また一人と足早に装鞍所に向かって行った姿が非常に印象的だった。この第2ラウンドの戦いが大事なのだと言わんばかりに、真剣な面持ちが気迫を感じさせた。
さて、この日の名古屋競馬は前半から先行有利の馬場。内の先行馬が粘り切るレースが目立っていた。それでもLJSは、慣れないコースに加え、それぞれの馬には初騎乗、そして各騎手の思惑も働くこともあり、意外な展開になりやすい。しかしながらこの日は、そうした馬場の傾向を生かした騎手が勝利を掴みとることとなった。
第3戦のアテナ賞は、池本徳子騎手(福山)のハンサムケンタと平山真希騎手(浦和)のカイゼンとの先行争い。何が何でもという構えの池本騎手が気合をつけペースを握った。直線では、中団から徐々に上がってきた別府真衣騎手(高知)のエイコウトップが猛追したが、池本騎手が最後まで粘り通した。
「ゴール前ではいっぱいだったし、差されると思った」と静かに語る表情には、大切な1勝を手にしたと共に、1番人気の役目を果たせたという安堵の様子がうかがえた。
改めて先行馬が残るという印象を受けた直後の第4戦デメテル賞も、やはり逃げ切り勝ちだった。山本茜騎手(名古屋)のゴールドロザリーが先手を取るかと思いきや、1コーナーで皆川麻由美騎手(岩手)のサンキンカミカゼが勢いよく前に出た。結局そのまま後続を寄せ付けず2馬身差で逃げ切り快勝となった。2着には好位につけた平山騎手のスズカアリュール。3着は2番手に控えた山本騎手となり、先行勢が上位を占めた。
「よっしゃー」と雄叫びを上げた皆川騎手。ゴール直前ではガッツポーズの準備をしていたというほど待ち遠しい勝利だった。今年は4月の落馬負傷により5カ月ほど戦列を離れ、復帰後は地元で4着が最高という成績だった。「勝ちたくて仕方なかった。本当に嬉しい」と、岩手の元気娘の喜びがさく裂し、周囲の笑顔を誘った。
名古屋ラウンドは、1着、5着の池本騎手と、5着、1着の皆川騎手が29ポイントで並んだが、規定により第4戦で勝利した皆川騎手がこのラウンド1位。4着、3着にまとめた山本騎手が24ポイントで3位となった。表彰式には、昨年までこのシリーズに参加していたJRAの西原玲奈元騎手がサプライズプレゼンターとして登場し、場内を沸かせた。
総合ポイントでは、安定感のある別府騎手が57ポイントで1位をキープ。池本騎手(48ポイント)が2位、皆川騎手(47ポイント)が3位につけた。5位の山本騎手でも44ポイントと、やはり大混戦模様である。
皆川騎手が最後にこんなことを言っていた。「おもしろいですね、LJSって!」そう、騎手自身が楽しんでいる姿に、私たちファンは魅了されている。荒尾の最終決戦が楽しみだ。
取材・文:秋田奈津子
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)、NAR
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)、NAR
名古屋ラウンド
優勝
皆川麻由美騎手
優勝
皆川麻由美騎手
第4戦は無理してでも逃げてくれという指示があったし、思いきって行きました。直線では勝ちたすぎて後ろを振り向きすぎました(笑)。ビジョンを見て大丈夫だと思ったのでガッツポーズの準備をしたんですよ。今年4月に怪我をして復帰してから、まだ馬券にも絡んでなかったので今日は本当に嬉しい勝利です。荒尾では1位を取らなきゃなりませんね。おもしろいです、LJSは。地元でも勝てるようにがんばりたいです。
名古屋ラウンド
2位
池本徳子騎手
2位
池本徳子騎手
第3戦は、内枠だったし逃げてくれという指示がありました。平山騎手に競りかけられましたが、譲らずにハナを奪いました。最後はいっぱいになって、後ろから差されそうだなぁと思いましたが、なんとか粘ってくれましたね。第4戦はなんとか5着に入れました。今回の名古屋ラウンドは4年前より馬も良かったし乗りやすかったですよ。でも、同点で2位は悔しいですね。荒尾でもがんばります。
名古屋ラウンド
3位
山本茜騎手騎手
3位
山本茜騎手騎手
第3戦は、スローペースでも後ろから行った方がよさそうな馬だったので、気持ちよく走らせることに専念しました。第4戦は、2番手でも大丈夫ということを聞いていたので控えました。勝った馬は強かったですが、本当は逃げたかったですね。地の利を生かして地元で勝ちたかったですが残念です。荒尾は勝ちます。