従来、単独の競馬場で行われてきた女性騎手招待競走を、複数場で施行することにより、シリーズ化(3ラウンド6レースの総合ポイント制)。2006年(平成18年度)から現在の形態で実施されている。女性騎手のみで行われるレースは年間を通じて当シリーズのみで、注目度も高く、日本一決定戦の側面だけではなく、普段の競馬場では見られない華やかな雰囲気とお祭り感も特徴の一つとして親しまれている。
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
砂に刻まれる、3つのドラマ。
第三幕 レディースジョッキーズシリーズ 〜女性騎手に、太陽を〜
眩しい太陽に迎えられた金沢ラウンド
勝ちたい気持ちと初騎乗の難しさが交錯
勝ちたい気持ちと初騎乗の難しさが交錯
いよいよ始まったレディースジョッキーズシリーズ。全6レースで争われるこのシリーズは、毎年最終戦までもつれる大激戦が繰り広げられる。しかも今年から騎乗馬の決定方法が変更された。出走馬を近走の成績でグループ分けして抽選することで、今まで以上に熾烈なポイント争いとなることは必須であろう。
「女性騎手に、太陽を。」
冬の訪れを感じさせるひんやりとした空気の中、眩しいくらいの太陽の光が彼女たちを迎えてくれた。
第1ラウンドは2年ぶりの開催となった金沢競馬場。今年も全国から9名の女性騎手が参戦。昨年は不参加だった宮下瞳騎手(愛知)は韓国から一時帰国しての出場。残念ながら怪我のため欠場を余儀なくされた森井美香騎手も高知から応援に駆け付け、現役女性騎手10名が集合した。
このシリーズは誰もが勝ちたいという思いが強く攻めの姿勢になるためか、先行争いが激しくなることが多い。そういう中で、「惑わされずに落ち着いて乗りたい」というレース前の声も聞かれた。第1戦アルテミス賞を見事制したのは、セブンエナジーに騎乗した別府真衣騎手(高知)。絶好のポジションを追走した別府騎手は、早め先頭に立った平山真希騎手(浦和)を直線でとらえ、差し切った。「自信を持って乗りました」とほっとした表情を見せた別府騎手。ほどなく、弾ける笑顔とガッツポーズで喜びを表していた。
一方で、勝ちたいという思いが強すぎたのが、セイカペガサスに騎乗した平山騎手だったかもしれない。向正面で早めに先頭に立ったものの、惜しくも3/4馬身差の2着。最後までしぶとく粘っていただけに「早く仕掛けすぎた」と悔やんだ。3着には、直線で外に持ち出し末脚を伸ばしたシュウザンモモと皆川麻由美騎手(岩手)が入った。
このシリーズで騎手たちを悩ませるのは、やはり慣れないコースと、初めて乗る馬ということだろう。しかし、そのことが戦いを面白くもし、なおかつ明暗を分けることにも繋がる。第2戦のガイア賞は、ラチ沿いを追走し3〜4コーナーでも最内から進出したマツノグーセン笹木美典騎手(北海道)と、直線、馬場の真ん中を伸びてきたマルハチトドロキ別府騎手とのゴール前での激しい叩き合い。最後は笹木騎手がアタマ差でねじ伏せた。
実はこのマツノグーセン、かなり内にささる癖がある馬で、それを事前に聞いていた笹木騎手は直線で思い切って内に入れてしまおうと考えたそうだ。それが距離短縮にもつながり最後の粘りとなった。一方の別府騎手は、ゴール前で交わせると思った時にハミを抜かれてしまったとのこと。
初めてだからこそ思い切った騎乗をした笹木騎手と、初騎乗の難しさを感じた別府騎手。レース後の両者の表情がこのシリーズを戦う難しさを物語っていた。
金沢ラウンドは、35ポイントを獲得した別府騎手が優勝。2位は27ポイントの笹木騎手。3位は24ポイントで平山騎手となった。
1位と2位の差は8ポイント。「2戦とも勝っておきたかった」と呟いのは別府騎手。そう、これは決してセーフティーリードではない。ここで取りこぼしたポイントが後々大きく響いてくる可能性もあるのだ。
第2ラウンドは名古屋に舞台を移す。昨年総合優勝の山本茜騎手は4位という位置で虎視眈々と上位を狙っているだろう。最下位の宮下騎手もこのまま黙っているわけがない。ホームでの2人は怖い存在だ。
もちろん、まだまだ全員にチャンスがある。ここからの熱戦がLJSの醍醐味。12月1日、名古屋競馬場での戦いを楽しみに待とう。
「女性騎手に、太陽を。」
冬の訪れを感じさせるひんやりとした空気の中、眩しいくらいの太陽の光が彼女たちを迎えてくれた。
第1ラウンドは2年ぶりの開催となった金沢競馬場。今年も全国から9名の女性騎手が参戦。昨年は不参加だった宮下瞳騎手(愛知)は韓国から一時帰国しての出場。残念ながら怪我のため欠場を余儀なくされた森井美香騎手も高知から応援に駆け付け、現役女性騎手10名が集合した。
このシリーズは誰もが勝ちたいという思いが強く攻めの姿勢になるためか、先行争いが激しくなることが多い。そういう中で、「惑わされずに落ち着いて乗りたい」というレース前の声も聞かれた。第1戦アルテミス賞を見事制したのは、セブンエナジーに騎乗した別府真衣騎手(高知)。絶好のポジションを追走した別府騎手は、早め先頭に立った平山真希騎手(浦和)を直線でとらえ、差し切った。「自信を持って乗りました」とほっとした表情を見せた別府騎手。ほどなく、弾ける笑顔とガッツポーズで喜びを表していた。
一方で、勝ちたいという思いが強すぎたのが、セイカペガサスに騎乗した平山騎手だったかもしれない。向正面で早めに先頭に立ったものの、惜しくも3/4馬身差の2着。最後までしぶとく粘っていただけに「早く仕掛けすぎた」と悔やんだ。3着には、直線で外に持ち出し末脚を伸ばしたシュウザンモモと皆川麻由美騎手(岩手)が入った。
このシリーズで騎手たちを悩ませるのは、やはり慣れないコースと、初めて乗る馬ということだろう。しかし、そのことが戦いを面白くもし、なおかつ明暗を分けることにも繋がる。第2戦のガイア賞は、ラチ沿いを追走し3〜4コーナーでも最内から進出したマツノグーセン笹木美典騎手(北海道)と、直線、馬場の真ん中を伸びてきたマルハチトドロキ別府騎手とのゴール前での激しい叩き合い。最後は笹木騎手がアタマ差でねじ伏せた。
実はこのマツノグーセン、かなり内にささる癖がある馬で、それを事前に聞いていた笹木騎手は直線で思い切って内に入れてしまおうと考えたそうだ。それが距離短縮にもつながり最後の粘りとなった。一方の別府騎手は、ゴール前で交わせると思った時にハミを抜かれてしまったとのこと。
初めてだからこそ思い切った騎乗をした笹木騎手と、初騎乗の難しさを感じた別府騎手。レース後の両者の表情がこのシリーズを戦う難しさを物語っていた。
金沢ラウンドは、35ポイントを獲得した別府騎手が優勝。2位は27ポイントの笹木騎手。3位は24ポイントで平山騎手となった。
1位と2位の差は8ポイント。「2戦とも勝っておきたかった」と呟いのは別府騎手。そう、これは決してセーフティーリードではない。ここで取りこぼしたポイントが後々大きく響いてくる可能性もあるのだ。
第2ラウンドは名古屋に舞台を移す。昨年総合優勝の山本茜騎手は4位という位置で虎視眈々と上位を狙っているだろう。最下位の宮下騎手もこのまま黙っているわけがない。ホームでの2人は怖い存在だ。
もちろん、まだまだ全員にチャンスがある。ここからの熱戦がLJSの醍醐味。12月1日、名古屋競馬場での戦いを楽しみに待とう。
取材・文:秋田奈津子
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)
金沢ラウンド
優勝
別府真衣騎手
優勝
別府真衣騎手
2勝を狙っていたので第2戦で負けたのはとても悔しいです。前回(2008年)の金沢では苦い思い出があるので今年はビデオで研究をしました。みんなライバルですが、今年は自分との勝負、いかに落ち着いて乗れるかだと思います。
金沢ラウンド
2位
笹木美典騎手
2位
笹木美典騎手
すごく癖がある馬で内にささると聞いていて、ちょうどインも開いたので思い切って内を突きました。ゴールの瞬間は2着だと思いましたよ。LJSは初めての勝利、勝てて本当に良かったです。
金沢ラウンド
3位
平山真希騎手
3位
平山真希騎手
第1戦は攻めていきましたが、後ろから有力馬のプレッシャーがあり、仕掛けが早くなってしまいました。表彰台に上がれたのは良かったですが、正直悔しいです。年々順位を上げているので今年は優勝したいです。