TCK女王盃に続く春の牝馬ダートグレード競走
エンプレス杯はかつて夏場に実施。2003年に初春のこの時期になってからは、このレースを引退レースとする牝馬の活躍馬も少なくない。2024年からは5月上旬に移動するため、この時期の実施は今回が最後。その一戦の傾向を、13~22年の過去10年の結果をもとにみていくことにしよう。
所属別で好成績をおさめているのはJRA関西馬。過去10年で9勝、2着2回、3着7回で、3着内率は60%を超えている。対してJRA関東馬は延べ18頭が出走して、勝利をおさめたのは2019年のプリンシアコメータだけとなっている。一方の地方馬は2着が6回と健闘。そのうちの5頭は大井所属で、近4年連続で2着となっている。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA関西 | 9 | 2 | 7 | 11 | 31.0% | 37.9% | 62.1% |
JRA関東 | 1 | 2 | 3 | 12 | 5.6% | 16.7% | 33.3% |
大井 | 0 | 5 | 0 | 14 | 0.0% | 26.3% | 26.3% |
船橋 | 0 | 1 | 0 | 10 | 0.0% | 9.1% | 9.1% |
浦和 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
川崎 | 0 | 0 | 0 | 17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
地方他地区 | 0 | 0 | 0 | 18 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
単勝1番人気の3着内率が100%。ちなみに2007年以降の優勝馬はすべて4番人気以内となっている。ただし、過去10年では、2着には6番人気以下が3頭入っていて、その3頭はすべて大井所属。しかも19年(ブランシェクール=8番人気)、20年(ナムラメルシー=8番人気)、21年(サルサディオーネ=6番人気)と、最近になって結果を残している。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 7 | 2 | 1 | 0 | 70.0% | 90.0% | 100.0% |
2番人気 | 2 | 1 | 3 | 4 | 20.0% | 30.0% | 60.0% |
3番人気 | 0 | 2 | 3 | 5 | 0.0% | 20.0% | 50.0% |
4番人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 0 | 9 | 0.0% | 10.0% | 10.0% |
6番人気以下 | 0 | 3 | 2 | 65 | 0.0% | 4.3% | 7.1% |
出走数が多いのは4歳から6歳で、その3世代の成績はほとんど差がない。7歳も勝ち星こそないが、2着2回、3着1回で3着内率25.0%と上々の成績を挙げている。ただし8歳以上は苦戦ぎみで、好走例は2022年2着のサルサディオーネ(8歳)だけとなっている。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 3 | 2 | 3 | 21 | 10.3% | 17.2% | 27.6% |
5歳 | 4 | 2 | 5 | 26 | 10.8% | 16.2% | 29.7% |
6歳 | 3 | 3 | 1 | 26 | 9.1% | 18.2% | 21.2% |
7歳 | 0 | 2 | 1 | 9 | 0.0% | 16.7% | 25.0% |
8歳以上 | 0 | 1 | 0 | 8 | 0.0% | 11.1% | 11.1% |
過去10年の連対馬延べ20頭のうち10頭が、TCK女王盃から臨んだ馬。川崎記念からは延べ3頭と少ないが、そのうち2頭が連対している点は覚えておいてもいいだろう。前走がJRAのレースで3着以内に入った9頭のうち4頭は、愛知杯または東海ステークスからの臨戦。それ以外の5頭はすべて、条件クラスで1着から臨んでいた。[表4]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
TCK女王盃 | 5 | 5 | 3 | 24 | 13.5% | 27.0% | 35.1% |
川崎記念 | 1 | 1 | 0 | 1 | 33.3% | 66.7% | 66.7% |
上記以外の地方DG競走 | 2 | 1 | 1 | 6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
上記以外の地方レース | 0 | 2 | 0 | 48 | 0.0% | 4.0% | 4.0% |
JRAレース | 2 | 1 | 6 | 10 | 10.5% | 15.8% | 47.4% |
2005年から3年連続で船橋所属が勝利を挙げたが、08年以降の優勝馬はすべてJRA所属。そして関西馬のほうが優勢だ。優勝騎手もすべてJRA所属(短期免許のクリスチャン・デムーロ騎手を含む)で、リーディング上位の35歳以上の騎手が勝利を挙げるケースが多い。また、優勝馬延べ10頭のうち前走が1着だったのは、15年アムールブリエ(前走・雅ステークス)、17年ワンミリオンスと21年マルシュロレーヌ(ともに前走・TCK女王盃)の3頭のみ。敗戦から巻き返して優勝を飾るケースが多い傾向もある。
(浅野 靖典)
1着
2着
3着
【注記】2012年は競走取り止め。
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。