師走の牝馬ハンデ重賞
暮れの船橋で開催される牝馬のハンデ重賞。地方馬の健闘も多く見られ、19・20年は大井所属のクレイジーアクセル、サルサディオーネと地方馬が2連勝中。ここでは、過去10年の結果から傾向を探っていく。
JRAが勝率、連対率、3着内率ともに抜けているが、JRA馬による上位独占は14年のみで、地方馬の食い込みが目立っている。特に19、20年はクレイジーアクセル、サルサディオーネが逃げ切りを決め、大井所属馬による連覇を達成。地方馬で勝利を収めた3頭の共通項としてはダートグレード競走で3着以上の実績があった(11年クラーベセクレタはジャパンダートダービーJpnIで3位入線も失格)。過去の傾向から地方馬の軽視は禁物だ。[表1]
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
JRA | 7 | 8 | 4 | 21 | 17.5% | 37.5% | 47.5% |
大井 | 2 | 1 | 1 | 11 | 13.3% | 20.0% | 26.7% |
川崎 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
船橋 | 1 | 1 | 2 | 23 | 3.7% | 7.4% | 14.8% |
浦和 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
地方他地区 | 0 | 0 | 2 | 36 | 0.0% | 0.0% | 5.3% |
3、4、6歳の活躍が目立つが、6歳で連対した4頭を見てみるとJBCレディスクラシックJpnIで2着歴、もしくは船橋のダートグレード競走を勝っていたトップクラスの馬だけだった。15年のディアマイダーリン(3歳・JRA)はダート初挑戦、JRA3勝クラスを2走前に制していたアイアンテーラー(4歳・JRA)が18年にタイトルを獲得していることを考えると、フレッシュな3、4歳のほうが優勢。7歳以上は出走頭数が少ないこともあるが2着が2回のみ。6歳と同様にJBCレディスクラシックJpnIで3着以内がある実力馬によるものだった。[表2]
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
3歳 | 3 | 2 | 2 | 19 | 11.5% | 19.2% | 26.9% |
4歳 | 4 | 4 | 4 | 20 | 12.5% | 25.0% | 37.5% |
5歳 | 0 | 1 | 2 | 35 | 0.0% | 2.6% | 7.9% |
6歳 | 3 | 1 | 2 | 15 | 14.3% | 19.0% | 28.6% |
7歳 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
8歳以上 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1番人気は18、19年こそ振るわなかったが、それ以外の年はすべて連対する優秀な成績で5勝、2着3回。2、3番人気は各6回の馬券圏外があるように信頼がおけるとは言いにくい。6番人気以下の人気薄の馬券絡みは6頭。率こそ高くはないが、好走した馬は全て53kg以下の軽ハンデだった。[表3]
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
1番人気 | 5 | 3 | 0 | 2 | 50.0% | 80.0% | 80.0% |
2番人気 | 1 | 1 | 2 | 6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
3番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 2 | 2 | 1 | 5 | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 1 | 1 | 4 | 73 | 1.3% | 2.5% | 7.6% |
馬番別では、1~4番が4勝、1~5番では13頭が3着以内に入っている。ただし、17、18年のように少頭数の年がありながら2桁馬番は10年のうち7頭が連対、のべ9頭が馬券に絡む活躍を見せている。傾向のうえでは内外で大差がないだけに、当日の枠の並びや展開が鍵を握るとみてよさそうだ。[表4]
年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 |
頭数 | 14頭 | 14頭 | 13頭 | 14頭 | 14頭 | 14頭 | 9頭 | 11頭 | 12頭 | 14頭 |
1着 | 11 | 1 | 4 | 7 | 9 | 12 | 2 | 7 | 1 | 9 |
2着 | 10 | 14 | 1 | 13 | 1 | 5 | 5 | 10 | 10 | 8 |
3着 | 1 | 5 | 13 | 5 | 3 | 13 | 6 | 2 | 7 | 7 |
3着以内馬の前走を見てみると半数以上の16頭がJBCレディスクラシックJpnIからの参戦だった。着順は2着から12着までと、そこまで成績は気にしなくていい。ちなみに、20年の3着馬サルサレイア(川崎)も2走前に同レースを走っていた。また7頭が馬券圏内に好走している3歳を分析してみると、5頭に関東オークスJpnIIかロジータ記念で連対歴があり、そのうち4頭は勝利を挙げていた。川崎のダートグレード競走との関連性も高い。
『前走JBCレディスクラシックJpnIからの参戦組で、1番人気』に推されるようなら信頼度は高い。3、4歳の勢いを評価したいところだが、6歳以上でも牝馬トップクラスの力を持つような馬ならチャンスはある。『3歳なら川崎のダートグレード競走でV歴』があればこのレースへの適性があると判断したい。
(前田 恒)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。