第13回 鎌倉記念 10/15(水) 川崎 1500m
南関東最初の2歳重賞・鎌倉記念(川崎)は、
タイムパラドックス産駒オウマタイムが快勝!
タイムパラドックス産駒オウマタイムが快勝!
南関東競馬で今年初めてとなる2歳重賞は、川崎競馬場1500mを舞台に行われる「鎌倉記念」。優勝馬には12月17日(水)の2歳頂上決戦「全日本2歳優駿(JpnⅠ)」への優先出走権が与えられる地方競馬全国交流競走だが、近5年はホッカイドウ競馬からの遠征馬が3勝(ナンテカ、ニシノファイター、ニシノデンジャラス)と気を吐いている。南関東勢も、2010年優勝のキスミープリンス(浦和)はのちに東京ダービー3着、ジャパンダートダービー(JpnⅠ)4着とクラシックレースで好走し、2012年優勝のインサイドザパーク(船橋)は、のちに東京ダービーを制して世代の頂点に立っている。来年の南関東クラシック戦線を占う意味でも、重要な一戦となることに間違いはない。
今年は北海道から3頭、笠松から1頭の遠征馬を、7頭の南関勢が迎え撃つ形となったが、ティープリーズ(牝、笠松、父アジュディミツオー)とオウマタイム(牡、船橋、父タイムパラドックス)は北海道からの移籍馬で、ウインバローラス(牡、川崎、父スターリングローズ)は中央からの移籍馬。よって、南関東デビュー組5頭vs北海道デビュー組5頭vs中央デビュー馬1頭の対決という見方もでき、その力関係を見極めるためにも見逃せない一戦になったと言えるだろう。
それぞれに見どころのある経歴を踏んできた11頭だが、その戦績が際立っていたのはデビューから4戦4勝の無敗馬ラッキープリンス(牡、浦和、父サイレントディール)。4戦ともに後続を寄せ付けないぶっちぎり勝ちの内容でここへ駒を進め、約2ヶ月ぶりの実戦ながら1.7倍の圧倒的1番人気に支持された。
2番人気(5.4倍)は、これが中央からの移籍初戦となるウインバローラス。前走は芝のオープン・クローバー賞(札幌)で僅差3着しており、強い相手と戦ってきた経験という意味ではメンバー中1番かもしれない。3番人気(6.5倍)は、デビュー2戦目から3連勝中のブルーマイスキー(牡、川崎、父フサイチコンコルド)。前走の準重賞・ゴールドジュニアー(大井)では、後方待機から豪快な追い込みを披露してライバルたちを蹴散らしている。
10倍を切るオッズはこの3頭だったが、4番人気(11.7倍)サダムリスペクト(牡、北海道、父キンシャサノキセキ)、5番人気(13.1倍)プレミアムトーク(牡、北海道、父トワイニング)、6番人気(14.8倍)クールテゾーロ(牡、船橋、父スペシャルウィーク)、7番人気(15.1倍)オウマタイムもそれほど差がなくつづき、各馬ともラッキープリンスを負かして初タイトルを奪ってやろうという意気込みに溢れていた。
雨が降ったり止んだりの不安定な空模様のなか、重馬場での実施となった第13回鎌倉記念。各馬一斉のスタートから、ハナを主張したのは北海道からの遠征馬タイセイスウォード(牡、北海道、父スウェプトオーヴァーボード)。好スタートを切ったラッキープリンスもこれを追いかける。少し離れてオウマタイムとウインバローラスがつづき、道中でクールテゾーロとサダムリスペクトも前との差を詰めていく。3~4コーナーでオウマタイムが馬なりのまま先頭に並びかけ、内に閉じ込められるのを嫌ったラッキープリンスが強引に外へ持ち出そうとするところで少し置かれるような形となった。直線に入ると同時にオウマタイムが抜け出し、内をロスなくまわってきたクールテゾーロと、外へ進路を取って態勢を持ち直してきたラッキープリンスが並んでこれを追いかける。しかしオウマタイムの脚色は衰えを見せず、最後まで追いつめたクールテゾーロを3/4馬身退けて先頭でゴールイン。1番人気ラッキープリンスは最後に力尽きて、2馬身離された3着を確保するのがやっとだった。
オウマタイムは、父タイムパラドックス、母ケイウンブルーム、母の父ジョリーズヘイローという血統。昨年夏の北海道サマーセールにて250万円(税別)で取り引きされ、今年5月に北海道・川島洋人厩舎からデビュー。ホッカイドウ競馬では4戦1勝だったが、船橋へ移籍して初戦の大井1400m戦を6馬身差で楽勝し、移籍2戦目で重賞初勝利を飾った。
オウマタイムの馬主は、一昨年の当レース優勝馬インサイドザパークと同じ山口裕介氏。父タイムパラドックス、船橋・林正人厩舎所属というのもまったく同じで、どうしても両馬のイメージを重ねてしまう。インサイドザパークはその後、平和賞にも優勝して全日本2歳優駿(JpnⅠ)へ駒を進め、掲示板を確保する5着に健闘。翌年のクラシックでも羽田盃3着、東京ダービー優勝、ジャパンダートダービー(JpnⅠ)4着と輝かしい成績を収め、2013年度のNARグランプリ「3歳最優秀牡馬」に選出された。オウマタイムに同様の活躍を期待するのは当然だが、陣営は「インサイドザパークの忘れ物=JpnⅠのタイトル」を同馬で獲りにいこうとしているのかもしれない。まずは同じ川崎競馬場が舞台の「全日本2歳優駿」へ、地方競馬の代表として万全の状態で臨んでほしい。
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繁田健一騎手コメント オウマタイムにはテン乗りでしたが、パドックや返し馬の背中でいい馬だなと感じていました。林先生から前につけるように指示があったので、良いポジションでレースが進められるようにと考えて乗りました。初めての左回りも問題なくこなし、気性も素直で距離が伸びても大丈夫だと思います。自分も久しぶりの重賞勝ちなので、とてもうれしいです。 |
林正人調教師コメント 前走の内容がよかったので、急きょここを使うことにしました。馬体重も増え、良い状態で出走できたと思います。道中は理想的なポジションにつけ、3~4コーナーでも余力がありましたね。道営時代から叩き合いに強く、他馬にひるまない根性を持っており、インサイドザパークにも負けない素質を感じています。次走はオーナーと相談して決めたいと思います。 |
文:浜近英史(うまレター) 写真:前田祥久 |