第39回 秋風ジュニア 8/28(木) 笠松 1400m
名馬たちが制してきた2歳準重賞・秋風ジュニア(笠松)は、移籍初戦のアジュディミツオー産駒ティープリーズが勝利!
過去の優勝馬にオグリキャップやライデンリーダーといった歴史的名馬が名を連ねる笠松伝統の2歳オープン「秋風ジュニア」。準重賞ながら、1着賞金250万円が用意されているJRA認定競走だ。今年は笠松デビュー組が7頭、ホッカイドウ競馬でデビューして笠松へ移籍してきた馬が3頭、計10頭の2歳若駒によって、その栄誉あるタイトルが争われた。
出走メンバーの中には、話題の新種牡馬ヴァーミリアン、カネヒキリ、2日前に産駒が門別の2歳重賞(ブリーダーズゴールドジュニアカップ)を制したサムライハート、また地方競馬で大活躍を収めて種牡馬となったアジュディミツオー、ミツアキタービンなどの産駒も含まれ、その出馬表を眺めているだけでもワクワクしてくる。特にミツアキタービンは、当時ダートグレード競走だった「オグリキャップ記念(GⅡ)」を含め、笠松の重賞で6勝(通算では重賞7勝)を挙げた地元の英雄。現2歳の2012年生まれ産駒は2頭しかおらず、そのうちの1頭ミツアキター(牡)が「秋風ジュニア」の出走表に名を連ねていることだけでも、当時を知るファンにとっては感慨深いものがあるのではなかろうか。
そんなメンバーの中、1番人気に支持されたのは、このレースが笠松へ移籍しての初戦となるティープリーズ(牝、父アジュディミツオー)。6月末にホッカイドウ競馬でデビューして門別で3戦し、2着、1着、4着という戦績。デビュー戦で負けたミラクルフラワーは重賞のフルールCへ駒を進め、3戦目で敗れた相手は栄冠賞4着馬ルージュロワイヤル。強い相手と戦ってきた実績が評価され、1.8倍の圧倒的な支持へとつながった。2番人気(3.1倍)には、約1ヶ月前のデビュー戦で5馬身差の圧勝を収めたカミノアシ(牝、父カネヒキリ)。3番人気(6.5倍)に、2010年のグランダム・ジャパン3歳女王エレーヌの半妹にあたるカツゲキグロリア(牝、父サムライハート)と地元デビュー組がつづき、この3頭が10倍を切るオッズ。移籍初戦の馬、キャリアの浅い馬が人気を集め、レース展開や各馬の位置取りを予想するのも難しい一戦となった。
ゲートが開いて、最内枠スタートのキュアソング(牝、父モルフェデスペクタ)がダッシュよくハナを奪い、外からカミノアシ、インヘリットライン(牝、父ヴァーミリアン)らがそれにつづく。1番人気のティープリーズは4~5番手につけて、前を見ながらのレース運び。カツゲキグロリアは後方から徐々にポジションを上げていく。3~4コーナーで先行馬が1頭、また1頭とバテていく中、内にコースをとったインヘリットラインと、外をまわして上がってきたティープリーズ、カツゲキグロリアの3頭が並んで直線へ。一進一退の激しい叩き合いが繰り広げられたが、最後はティープリーズがクビ差抜け出し、追いすがるカツゲキグロリアを退けて優勝。第39代の秋風ジュニアチャンピオンに輝いた。
ティープリーズは、父アジュディミツオー、母イエスプリーズ、母の父スペシャルウィークという血統。祖母のオースミサツキがナリタルナパーク(中山牝馬S優勝、秋華賞2着)の全姉にあたるほか、ティープリーズの1歳上には、ホッカイドウ競馬から南関東へ移籍して桜花賞5着、東京プリンセス賞3着、関東オークス8着と今年の南関東牝馬クラシックに皆勤したイエスアイキャンがいる。姉同様に、新天地での大躍進が期待される逸材だ。
鞍上の尾島徹騎手、笹野博司調教師のコンビは、昨年のパドドゥにつづいて「秋風ジュニア」を連覇。尾島徹騎手にいたっては、3年前のマルヨコンバット、4年前のマルヨサイレンスでも当レースを制しており、5年で4勝と抜群の相性を誇っている。笠松のエースジョッキーが、今後のレースでティープリーズをどんな馬に成長させていくかという興味も湧いてくる。
また2着のカツゲキグロリア、3着のインヘリットラインも差のない競馬で実力を証明しており、10月31日の「ジュニアクラウン(笠松)」、さらに10月22日の未来優駿「ゴールドウィング賞(名古屋)」へ向けて、東海地区2歳馬の熱い勢力争いが繰り広げられていきそうだ。
文:浜近英史(うまレター)