年末の大井競馬は3日連続の重賞開催。29日の東京大賞典ＧⅠは、地方競馬における1レース、そして1日の売上レコードを更新し大いに盛り上がった。30日は中日ではあるが場内は例年以上に賑わっている様子。この日のメイン、東京シンデレラマイルも1レース及び1日の売上レコードを更新した。
　地方所属馬のみで争われる南関東の古馬牝馬重賞は、4月のしらさぎ賞と東京シンデレラマイルの2つのみ。今回、しらさぎ賞の1着馬ラーゴブルー、2着馬ファイトユアソング、3着馬ニシノラピートが揃って参戦。11月15日に行われたトライアルレースもこの着順で決まっていた。それゆえ、ラーゴブルーが人気を集めるのは当然で単勝1.9倍と圧倒的な支持を受けた。2番人気は、ニシノラピートと、ロジータ記念の勝ち馬、3歳のクロスウィンドが6.5倍で並んだ。
　大方の予想はニシノラピートの逃げだったが、ゲートが開くとエターナルモールとワカチナが主張し、内枠を利してエターナルモールが先手を取った。「こういう展開も考えていた」（的場文男騎手）というニシノラピートは3番手のインに控え、ラーゴブルーはその外につけ、直後にクロスウィンドが追走していた。
　3コーナーを過ぎるとラーゴブルーが前に並んだ。直線入口で先頭に立ち、そのまま突き放すかと思われたが……。そうはさせじとニシノラピートが迫ってきた。ゴール前は見応えのある追い比べとなったが、最後まで抜かせなかったラーゴブルーがアタマ差で勝利を手にした。2着のニシノラピートから2馬身差の3着には、4番人気のコパノビジンが入った。
　優勝したラーゴブルーは約1年前にJRAから川崎に移籍し、これで重賞2勝目。前走のトライアルでは、逃げたニシノラピートの2番手でレースを進め、58キロを背負いながら3馬身差をつける快勝だった。「ニシノラピートが逃げると思っていたので考えていた展開とは違ったけど、操縦性の高い馬なのでうまく対応してくれました。最後はヒヤッとしたけど交わさせないのが強さですね」と御神本訓史騎手は振り返った。
　ラーゴブルーは、姉にJRA重賞2勝、ＧⅠ・2着2回の実績を誇るデニムアンドルビーなどがいる良血馬として注目を集めてきた。内田勝義調教師に聞くと「血統の良さは抜群にありますよ。一戦一戦力をつけていて成長力が全然違います」とのこと。これからどのように強くなっていくのかますます楽しみだ。次走は未定だが、今後はダートグレードで中央馬との戦いを見据えている。南関東の女王として来年の走りに期待が高まる。
　そして、最後大いに見せ場を作ったニシノラピートはこれがラストラン。もともとは昨年のこのレースで引退の予定だったが優勝したことで現役続行となり、この1年牡馬相手にも好走してきた。的場騎手は「勝たせてあげたかった。道中はとてもうまくいっていて、あと100メートルのところで交わせそうな手応えだったけどね。並んだら相手がまた伸びました」。そんな悔しさを滲ませながらも、「むちゃくちゃ頭の良い馬でした。無駄なことはしないし乗りやすいし。これから良い仔を出してほしですね」と、繁殖入りするニシノラピートにエールを送った。