ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
font
標準

レースハイライト

第64回 クイーン賞 JpnⅢ

2018年12月12日(水) 船橋競馬場 1800m

一騎打ちを制し重賞初制覇 地元生え抜き馬も3着健闘

 2018年最後の船橋開催メインイベントは、全国から強豪牝馬が集ったクイーン賞JpnⅢ。馬たちの息もだいぶ白くなり、関東にも本格的な冬シーズンが到来した。
 昨年の覇者プリンシアコメータが単勝2.4倍の1番人気で、2走前に1600万条件を勝ち上がったアイアンテーラーが2.5倍の2番人気で、人気を分け合った。その他の上位人気も中央馬と元中央馬だった。
 第1レース前に雨は上がったが、前夜から降り続いたことで、水が浮くほどのビチャビチャの不良馬場。同型がそろい先行争いも見どころと思われたが、濱中俊騎手のアイアンテーラーがスーッと先頭に立った。2002年東京プリンセス賞の勝ち馬サルサクイーンの愛娘サルサディオーネが2番手につけ、ブランシェクールやプリンシアコメータ、オルキスリアンなども続き、縦長の展開。
 3コーナー手前からアイアンテーラーにサルサディオーネが並びかけていくと、後続馬たちとの差は広がり、2頭の一騎打ち。サルサディオーネも食い下がったが、最後はアイアンテーラーが振り切って、3馬身差をつけての完勝。勝ちタイムは1分52秒7(不良)。
 アイアンテーラーは念願の重賞タイトルを獲得した。「渋太さがこの馬の持ち味なので、今日はそれを存分に発揮してくれました」と語った濱中騎手は、2013年から14年にかけメーデイアとのコンビで牝馬ダートグレード戦線で活躍。今後はアイアンテーラーと、どんなストーリーを作り上げていくのだろう。
 アイアンテーラーを管理している飯田雄三調教師は、「直線あれだけ離すというか、余力があるとは思いませんでした。まだ重賞キャリアも浅いのに、よくこれだけ走ってくれたと思います。力はつけていますね」と愛馬の奮闘を称えていた。まだまだ底知れぬ能力の持ち主のようで、先行力と渋太さを武器に、この路線での更なる活躍が期待される。
 なお、地方最先着の3着に入ったのは、女傑ロジータの孫娘オルキスリアンだった。5番手追走から粘り込む競馬で、6番人気ながらも上位に食い込んだ。「前に乗せていただいた時よりも力まないでうまく走ってくれました。力もつけていて、まだまだこれから楽しみだと思いますよ。僕も2日間節制して51キロで乗ることができたので、その成果も出てよかったです(笑)」と、コンビを組んだ今野忠成騎手からもジョークが飛んだ。
 オルキスリアンを管理する張田京調教師は、騎手時代に地方通算2600勝を挙げた名手だったことでも知られている。調教師となって4年目。船橋生え抜きのオルキスリアンが一歩一歩成長を遂げていて、張田調教師の今後の手腕発揮にも期待したい。

地方最先着の3着に入ったのは、女傑ロジータの孫娘オルキスリアン
取材・文:高橋華代子
写真:国分智(いちかんぽ)

コメント

濱中俊騎手

スタートがよければ逃げたかったです。道中もリズムよく思い通りの競馬をすることができました。重賞を勝ったことで、今後も牝馬ダート重賞路線に出走できるようになったと思います。ここを勝って弾みがつきました。この路線を盛り上げていって、もっと大きなレースを勝ちたいですね。

飯田雄三調教師

冬場なので毛も伸びて状態面はわからなかったですが、結果的にはよかったことになるでしょうね。デビューして途中でソエが出て間隔が空いたりしましたが、濱中君が乗るようになってから順調に勝ち進んで、オープンレースを勝たずに重賞を勝つことができました。今後についてはオーナーと相談します。