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レースハイライト

第20回 兵庫ジュニアグランプリ JpnⅡ

2018年11月28日(水) 園田競馬場 1400m

絶好調の鞍上で1番人気に応える 地方勢は掲示板内に2頭と健闘

 これまで19回行われたこのレースを振り返ると、中央馬15勝、地方馬4勝と、中央馬が圧倒している。
 今年は当初、名古屋で6戦全勝のエムエスクイーンの参戦も噂されたが、結局回避。このレースが行われる45分前に出走した地元名古屋のレースでは後続を1秒5突き放す圧勝劇。中央勢との対戦が見たかったと思わされた。
 迎え撃つ兵庫勢は重賞で好走した有力馬はいずれも回避で、出走馬4頭の単勝はすべて400倍以上。園田屈指のレースだけに有力馬の回避は残念だった。
 人気は中央から参戦の5頭が、そのまま上位を形成。1番人気は、秋のGⅠで絶好調、昨年に続いて連覇を狙うクリストフ・ルメール騎手のデルマルーヴルで2.0倍。2番人気が2戦2勝のオルトグラフで3.1倍、3番人気にはエーデルワイス賞JpnⅢ・2着のデンバーテソーロ(6.5倍)、4番人気には園田初登場となるジョアン・モレイラ騎手のシングルアップ(6.9倍)が続いた。
 レース直前で降り始めた雨の中、ゲートが開くと、1番人気デルマルーヴルはホールドユアハンドと接触。位置取りを悪くした。1コーナーで北海道のリンゾウチャネルがハナに立った。人気のデンバーテソーロ、オルトグラフが好位。デルマルーヴルは中団を追走した。
 向正面で中団にいた浦和のトーセンガーネットが内から、デルマルーヴルが外から進出を開始。4コーナーではリンゾウチャネル、イッツクール、オルトグラフの3頭が並び、そのうしろでトーセンガーネットが内。デルマルーヴルが外へ。
 直線は5頭の追い比べの中、デルマルーヴルが1頭だけ違う脚色で抜け出し、2着オルトグラフに4馬身差をつけ1番人気に応える快勝。大外から伸びてきたデンバーテソーロが1馬身差の3着。内を突いたトーセンガーネットは4着、逃げて見せ場を作ったリンゾウチャネルだったが、5着に終わった。
 この秋、中央のGⅠ/JpnⅠレースで4週連続勝利を含め5勝のルメール騎手は、その勢いをそのまま園田に持ち込んだ。「鞭を使わなくても伸びたし、楽勝でした。自信を持って乗ってました」と傘の花が咲くウイナーズサークルの中心で満面に笑みを浮かべた。
 単勝2.0倍に応える快勝だったが、戸田博文調教師は「もう少し、楽に追走して前につけられると思っていたのに、うまくいいポジションが取れず、厳しいかなと思った」と振り返り、小回りでのコーナーリングも「馬が戸惑っていた」と話すように、決して想定通りの内容ではなかったことも明かした。とは言え、それを跳ね返しての勝利に「一戦一戦成長してくれている」と目を細めた。
 次走は12月19日川崎の全日本2歳優駿JpnⅠ(1600メートル)へ向かう。戸田調教師は「当初は川崎へ直行も考えたが、賞金面と状態から、園田を使うことにした」と明かした。距離は延びるが、「2000メートルは未知数だが、1800メートルまでなら問題ないと思う」ときっぱり言い切った。

地方競馬全国協会理事長賞の副賞として畜産品が贈呈された
取材・文:松浦渉
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

C.ルメール騎手

スタートは良くなかったし、1コーナーでも物見したけど、いいペースだったし、最後はポジションを上げられた。4コーナーでは2番人気馬(オルトグラフ)のうしろだったけど、勝つ自信はあった。まだ良くなる余地はあるし、絶対に上のクラスまで行ける馬。次走も楽しみです。

戸田博文調教師

前走は後手を踏んで包まれたけど、狭いところを抜けて、今後へメドの立つ競馬をしてくれた。小回りも対応できると思ったし、外枠も良かったが、思ったより前に行けず厳しいかもと思った。でも、騎手も馬もうまく走ってくれた。血統面から、これからもダートでと思っている。