レースハイライト
第14回 笠松グランプリ
2018年11月22日(木) 笠松競馬場 1400m
自慢の末脚で直線突き抜ける 紙一重の勝負で人気馬に明暗
現在ダートグレードが行われていない笠松競馬場では、地方全国交流で1着賞金1000万円のこのレースは、いわば看板レース。例年他地区から有力馬が参戦するが、今年はさらに強豪が顔を揃えた。地元東海勢は重賞勝ち馬がサンデンバロンのみ、遠征5頭が上位人気を占めたことでもそれがわかる。中でもこのレース4連覇がかかる岩手のラブバレットに、サマーチャンピオンJpnⅢ(佐賀)を制して笠松で重賞実績(サマーカップ勝利)もあるエイシンバランサー、2頭の馬連複が1.6倍と人気が集中した。
レースは激しいものとなった。互角のスタートから名古屋のメモリートニックがハナを取ると、北海道のタイセイバンデット以下有力遠征勢がほぼ一団で追走した。
直線を向いて先頭に立ったのは高知のサクラレグナム。「ラブバレットが見えなかったので勝ったと思った」という赤岡修次騎手。しかし馬群の後方から内をうまく立ち回り、4コーナーで外に持ち出したエイシンバランサーが並ぶ間もなく差し切って快勝。サクラレグナムは2馬身差で2着。内で粘ったメモリートニックが3馬身差で3着に入った。
注目のラブバレットは4着。今シーズンは、大井、門別、夏は地元を使って、秋は再び門別に、JBC初挑戦となった京都。日本列島縦断の遠征続きだが、それが敗因ではない。レース前、菅原勲調教師は「遠征はまったく堪えていません」。前走JBC京都から馬体重マイナス3キロも「もう少し減っていてもよかった」と笑顔で話していたから状態は万全だったのだろう。
レース後、山本聡哉騎手は「うまく乗れませんでした」とひと言。スタートは互角だったが、行く気を見せたメモリートニックを先に行かせ、外に持ち出そうとしたところ、タイセイバンデット、サクラレグナム、ストーミーワンダーと、外枠の馬に次から次へと来られて外に出すタイミングがなく、馬群に包まれてしまった。ラブバレットのこれまでの3連覇を見ると、3年前が大外10番枠で、昨年が10頭立ての9番枠、2年前が3番枠だが抜群のダッシュで逃げた。いずれも馬群に包まれることなく逃げるか好位でスムーズにレースを進めていた。
3コーナー手前、位置取りを下げてようやく外に持ち出したラブバレットに対し、その直後を追走していったエイシンバランサーの下原理騎手は、「ラブバレットについていって外を回したらかなりロスがあると思ってイチかバチか内に行った。メモリートニックに手ごたえが残っていそうだったから、どうにか抜け出せました。紙一重でした。馬に力があるからできることですけど」と振り返った。
位置がとれず厳しいレースを強いられたラブバレットに対して、もともと直線勝負の脚質ゆえ、先行争いを前に見て進路を選択できたエイシンバランサー。レース展開と一瞬の判断で、1着、4着と明暗が別れた。
勝ったエイシンバランサーに、今回は8着と結果を残せなかった同厩舎のエイシンヴァラー、さらにサクラレグナム、ラブバレットと、いずれも次の目標は年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢとなるようだ。今度は中央馬も加わって、今回以上に厳しい戦いとなりそうだ。
馬事畜産振興協議会会長賞副賞として畜産品が贈呈された
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)
コメント
返し馬の感じもすごくよくて、強いメンバーが揃っていましたが、勝ててよかったです。思っていたよりうしろからになりましたが、馬の力を信じて乗りました。3~4コーナーで思い切って内に行って抜け出せたのがよかった。直線で脚を使う馬なので4コーナーで勝てると思いました。
調教過程も順調にきていましたし、前回笠松に来たとき(サマーカップ)も強い勝ち方をしていたので、今日も期待していました。道中ちょっと厳しいところにいたみたいですが、どこかを抜けてこられれば最後は弾けると思って見ていました。まだ馬が若いので、来年もいろいろな選択肢を考えていきます。