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レースハイライト

第51回 ハイセイコー記念

2018年11月14日(水) 大井競馬場 1600m

スタート決めて末脚発揮 ダービーを目指せる逸材

 若駒の魅力は、1戦ごとに違った走りを見せるところにある。それだけに馬券予想としては難しいのだが、成長の過程を見続け、変化を見守るという作業は楽しく感じられる。
 デビュー当初から素質の高さを買われていたラプラス。ただ、レースぶりは粗削りで、ここまで3戦すべてで出遅れを喫し、道中でも集中を欠くような面を見せていた。とはいえ、それでも2勝、2着1回。中間の調教でもB級の古馬を上回る動きを見せ、陣営は能力の高さを再確認したという。もちろんゲート練習も積み、最善を尽くしてこのレースを迎えた。
 ゲートオープン――。タイトルがかかるこの一戦で、ラプラスは初めて五分のスタートを切った。先団の外を追走し、早めの競馬を展開。出遅れから末脚勝負を選択せざるを得なかったこれまでとは違い、道中は余裕さえ感じられた。3コーナーで3番手まで進出すると、直線でも息の長い末脚を発揮。内を突いたシビックヴァーゴを1馬身だけ退け、初タイトルを手にした。
 デビューから手綱をとる矢野貴之騎手は「幼さを残していて、道中も走る気を見せないから不安なところがある」と苦笑い。それでも、しまいの脚は確実なだけに、「あの位置につけられれば」と自信を持ちながらの騎乗。その期待に応えるようにして、ラプラスは豪快にゴール板を駆け抜けた。
 今年から大井所属馬には米国・サンタアニタダービーへの遠征枠が設けられているが、今回の勝利でラプラスは、選定要素となるポイントを180まで伸ばした。選定のボーダーラインが200ポイントだけに、このまま順調なら海外の舞台も視野に入ってくる。藤田輝信調教師は「次走も含め、海外遠征もオーナーとの相談次第」と慎重な構えを見せたが、遠征に対して、これだけ道筋が整っているのであれば、期待せずにはいられない。
 一方、前走でラプラスを2着に負かしていたシビックヴァーゴだったが、今回は相手に完璧な競馬を演じられ2着に敗れた。笹川翼騎手は「出遅れたし、1コーナーで窮屈になる場面もあった。スタートは課題だね」と、レース序盤で後手を引く展開になったことを悔やんだ。ただ、「最後はいい脚を使っているし、マイルも大丈夫」と前を向き、今後への期待を口にした。
 また、デビューから5戦続けて連対し、1番人気に推されたトーセンボルガは4着。「理想的な競馬ができたと思う。でも、右回りと初コースを少し気にした感じだったね。慣れてくれば」と森泰斗騎手。それで4着なら上々で、ジョッキーの言葉通り経験を重ねていけば、この舞台でも結果を残せそうだ。
 今回の一戦は、結果的にすべてがかみ合ったラプラスに軍配が上がったが、それぞれが課題を克服し、成長を続けていけば、また勢力図も変わるはず。その推移を、各馬の成長とともに楽しみにしたい。

取材・文:大貫師男
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

矢野貴之騎手

デビューから3戦すべて出遅れていましたが、きょうはポンと出てくれて良かったです。3~4コーナーあたりでは交わせる雰囲気でしたが、まだ遊びながら走っていましたね。デビュー当初から、来年の東京ダービーを目標にできる馬だと思っていたので、これからも成長していってもらいたいと思います。

藤田輝信調教師

ゲートをしっかり出てくれて、初めてまともな競馬をしてくれました。しまいの脚は抜群なので、直線では勝ったなと思って見ていました。距離が延びたら、もっといいパフォーマンスを見せられると思います。次走は全日本2歳優駿も視野に入れつつ、オーナーと相談して決めたいと思います。