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レースハイライト

第8回 JBCレディスクラシックJpnⅠ

2018年11月4日(日) JRA京都競馬場 1800m

直線一騎打ちで人気馬を競り落とす 今年にかける意欲が生んだJpnⅠ制覇

 2018年JBC競走のラストを飾るJBCレディスクラシックJpnⅠ。地方から出走したのは4頭で、そのうちジュエルクイーン、ブランシェクール、ラインハートが大井所属、ディアマルコが高知所属で、いずれもレディスプレリュードJpnⅡに出走していた。そこで2着に入ったブランシェクールが単勝52.9倍で10番人気。ほかの3頭は300倍以上となった。
 それでもパドックには熱心なファンがたくさん。ディアマルコに騎乗する佐原秀泰騎手の応援幕は、福山競馬場で使われていたもの。笹川翼騎手の応援幕も張られていた。
 人気の中心はJRA馬。今年のブリーダーズゴールドカップJpnⅢを制したラビットランが1番人気に支持され、重賞実績があるクイーンマンボが2番人気。フォンターナリーリは初の重賞挑戦だった前走が4着でも、京都競馬場で3着内率100%という実績が評価されたようで3番人気。前年のこのレースでアタマ差2着に敗れたプリンシアコメータが4番人気で、ここまでが単勝10倍以下となった。
 16時25分の発走時刻はまさに夕景。この日の京都競馬場ではこのレースだけ、普段は大井競馬場で演奏している東京ブラススタイルのメンバーがファンファーレを生演奏して盛り上げた。それとともに始まった各馬のゲート入りは、プリンシアコメータは時間がかかったものの、それ以外の15頭はスムーズ。そして横一線のスタートになった。
 先手を主張したのはアイアンテーラーで、その後にカワキタエンカ、サルサディオーネと続き、プリンシアコメータは4番手。大外枠だったアンジュデジールは1コーナー手前でインコースに進路を見つけて5番手につけた。ラビットランはその直後につけ、ブランシェクール、クイーンマンボ、フォンターナリーリなどがそのうしろ。ジュエルクイーンとラインハートは後方に構え、ディアマルコは馬群から離れた最後方を進んだ。
 そのペースは、2ハロン目が10秒9と速くなった以外、残り1ハロンまで12秒台で緩みが少ない流れ。先行した4頭は4コーナーで苦しくなってしまった。
 代わって台頭してきたのがアンジュデジールとラビットランで、その2頭は最後の直線で一騎打ち。長く2頭の馬体は並んでいたが、最後はインコースのアンジュデジールがアタマ差で競り勝った。
 アンジュデジールは前走のレディスプレリュードJpnⅡで大きく出遅れたが、今回は「スタートから気分よく走ってくれました」と横山典弘騎手。「前に行く馬が何頭かいるのでペースは流れてくれるだろうと思っていましたし、1コーナーでちょうどいいところに入れました。最後は(ラビットランに)前に出られるところもありましたが、よく盛り返してくれました」と笑顔だった。
 2着惜敗のラビットランは、ミルコ・デムーロ騎手が「最後は苦しくなってしまいました」とコメントを残した。3着には後方から差を詰めてきたファッショニスタが入り、クイーンマンボは4着。地方馬の最先着は、9着のジュエルクイーンで、ブランシェクールは11着。ラインハートは14着で、ディアマルコは15着だった。
 JBC競走は実施される競馬場が年によって違うだけに、馬場が向く、向かないがあるのは仕方がないところ。「来年のJBCは浦和ですからね。軽い馬場が得意なタイプですし、(タイトルを)今年取ってしまいたかった。大外枠を引いたのでどんな競馬になるのかと思っていましたが、いい位置を取れましたね」と昆貢調教師。京都の舞台を最大限にいかしての勝利となった。

地方馬最先着は9着のジュエルクイーン(大井)と岩田康誠騎手

普段は大井競馬場で演奏している
東京ブラススタイルのメンバーがファンファーレを生演奏
取材・文:浅野靖典
写真:いちかんぽ(桂伸也・早川範雄)