レースハイライト
第45回 北海道2歳優駿 JpnⅢ
2018年11月1日(木) 門別競馬場 1800m
地元2頭の一騎打ちはハナ差で決着 両馬とも全日本2歳優駿を視野に
北海道2歳優駿JpnⅢが行われたこの日は、北海道胆振東部地震復興支援競走として騎手交流の“門別グランシャリオジョッキーズ”も実施された。それもあったためか、この日の本場入場者数は1496名で、前日の400名から一気に増加。場内は早い時間から混雑し、メインレースのパドックで出走馬13頭に視線を送る人垣も厚いものになった。
今年の北海道2歳優駿JpnⅢに出走するJRA所属馬は4頭で、そのうちの3頭が前走で初勝利を挙げ、もう1頭は2走前が初勝利。その顔ぶれならホッカイドウ勢にチャンスありというのが地元の新聞各紙の論調で、門別で5戦5連対のウィンターフェルが3.1倍で単勝1番人気。しかし2番人気から4番人気まではJRA勢で、3.8倍の2番人気にはミヤケ、3番人気と4番人気には6倍台でイルジオーネ、トイガーと続いた。
この日の門別競馬場の馬場状態は稍重で、逃げた馬が粘り込むケースが多く見られるコンディション。となれば、2番枠を引いたイグナシオドーロが最近3戦と同様に先手を取りに行ったのは当然だろう。
2番手にはマイコートが続き、リンノレジェンドが3番手。その展開は、逃げた阿部龍騎手が「いい流れに持ち込めました」というペース。向正面の中央付近でも馬順は変わらなかったが、3コーナー手前になると後続各馬が徐々に差を詰めてきた。
そのなかで勢いがよかったのはウィンターフェル。4コーナーでは逃げるイグナシオドーロに接近し、最後の直線ではその2頭のマッチレース。残り200メートルあたりからは完全に馬体が並び、イグナシオドーロが少し前に出たかと思うと、ウィンターフェルがまた伸びるという攻防は、ゴール地点ではまったくの同時通過と思われた。
レース直後の検量室では「内じゃないか?」「いや、わからないよ」などという声が錯綜。本馬場から戻って1着の枠場に入ったのはイグナシオドーロで、2着のところで騎手が下馬したのはウィンターフェルだった。しかし発表された写真判定の結果は逆で、ウィンターフェルが1着、イグナシオドーロが2着。ただし、その着順は翌日になって誤審であることが主催者から発表された。
鞍上の両騎手はゴールの瞬間、どちらが勝ったかわからなかったそうで、イグナシオドーロの阿部騎手は「最後の直線では並ばれましたけれど、ウィンターフェルは遊ぶ面があるのでそこを狙っていたら、実際に遊び始めて『しめた』と思って追いました」と話し、ウィンターフェルの井上俊彦騎手は「向正面ではいい手応えがあったのに、3コーナーあたりから追いどおし。この馬はすぐに走るのをやめようとするんですよ。まともなら突き抜けているはずなんですけれど」と苦笑い。とはいえ、スタンドから見た2頭の一騎打ちは壮絶なもので、3着のミヤケに5馬身をつけた勝負は場内を大いに沸かせた。
2着はウィンターフェル(北海道)
取材・文:浅野靖典
写真:浅野一行(いちかんぽ)