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レースハイライト

第20回 ジャパンダートダービー JpnI

2018年7月11日(水) 大井競馬場 2000m

直線大外一気で余裕の勝利
底知れない強さで他馬を圧倒

 3歳ダート頂上決戦、ジャパンダートダービーJpnⅠが大井競馬場で行われた。真夏のような蒸し暑さの中、約15,700人のファンが訪れ場内は熱気で溢れかえっていた。
 昨年は船橋・佐藤賢二厩舎のヒガシウィルウィンがJRA勢を撃破し、地方馬に7年ぶりの勝利をもたらした。今年も同厩舎のハセノパイロが東京ダービーを制し二冠に挑戦。そして佐藤厩舎には2連覇の期待もかかっていた。
 そのほか地方からは、九州ダービー栄城賞と高知優駿を制したスーパージェット、石川ダービー馬アルファーティハや、東京ダービー上位馬も参戦。
 JRAからは、全日本2歳優駿JpnⅠの覇者で前走ユニコーンステークスGⅢを勝ったルヴァンスレーヴや、北海道2歳優駿JpnⅢの優勝馬ドンフォルティス、兵庫チャンピオンシップJpnⅡを圧勝したテーオーエナジーなどハイレベルなメンバーが集結した。
 ゲートが開くと「逃げは想定内だった」(岩田康誠騎手)というテーオーエナジーが先手を取った。リコーワルサーが積極的に2番手につけ、3番手にクリスタルシルバー、その後にハーベストムーンやハセノパイロ、オメガパフュームなどが続いた。2番人気のドンフォルティスは中団の外を追走し、1番人気のルヴァンスレーヴはそれを見るような位置に控えていた。
 マイペースで逃げるテーオーエナジーとそれを追いかけるリコーワルサーが直線に入ると、後続勢も横並びになって追い出しにかかった。その中でひときわ末脚が目立っていたのがルヴァンスレーヴだ。大外からぐんぐん伸びて先行馬たちを一気に交わすと、鞍上のミルコ・デムーロ騎手は横を確認する余裕も。そのまま1馬身半差をつけて先頭でゴールを駆け抜けた。混戦の2着争いはオメガパフュームが制し、クビ差の3着にグレートタイム、さらにクビ差の4着にクリスタルシルバーが入った。
 2着オメガパフュームの川田将雅騎手はレース後「いい内容で走ってくれて直線では盛り返してくれましたが、勝った馬が着差以上に強かったです」とコメントを残した。また、その他の陣営からも「勝ち馬が強い」という話が聞かれたように、ルヴァンスレーヴの力がひとつ抜けていることを実感するレースだった。
 休み明けの伏竜ステークスこそ2着に敗れたが、その他はすべて圧巻のパフォーマンスを披露してきたルヴァンスレーヴ。デビューから(伏竜ステークス以外)手綱を取っているミルコ・デムーロ騎手はインタビューで「素晴らしい馬」という言葉を連呼。そして「後ろでも前でも、どんな距離でも何でもできる馬。頭がすごく良くて、気持ちは負けない」と絶賛した。それでも現状では体が緩くてまだまだ成長するというのだから、この馬の能力は計り知れない。これで2歳ダートチャンピオンの座に続いて、3歳ダートチャンピオンにも君臨。今後は歴戦の古馬相手に真のダートチャンピオンを目指すことになる。この後は夏休みに入り、年内の目標はチャンピオンズカップGⅠとのことだ。
 東京ダービー馬ハセノパイロは11着に敗れたが、地方勢では、東京ダービー2着馬クリスタルシルバーが的場文男騎手とのコンビで4着と大健闘。直線、JRA勢との激しい追い比べは見ごたえがあった。「前走より折り合いがついていたし、一瞬、おっと思ったよ。でも3着はあったなぁ、3着には入りたかったなぁ。だってお客さんが喜ぶでしょ、人気もなかったんだから。お客さんが喜ぶのが一番でしょう」と的場騎手らしいコメント。ファンのみなさんは、そんな気持ちのこもった騎乗を見ながら、この日のレースも楽しんでいたに違いない。ケガのため3週間ほどレースでの騎乗を休み、今開催で復帰した的場騎手。この日の第5レースで復帰後初勝利を挙げ、地方競馬通算最多勝利記録更新まであと8勝とした。

地方競馬全国協会理事長賞の副賞として
畜産品が贈呈された

地方勢最先着は4着のクリスタルシルバー(大井)
取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

ミルコ・デムーロ
騎手

ダービーはダービーですから最高です。今日は前走より400メートル長いのでゆっくり行こうと思っていました。2番人気のドンフォルティスや、前走自分が乗って勝ったオメガパフュームを見ながらずっと良い位置でした。3~4コーナーもばっちりの手応えで、最後まで凄く良い脚を使ってくれました。

萩原清調教師

今日は人気に推されていましたし勝ててほっとしています。いいパフォーマンスを見せてくれました。今日はそんなに危うさを感じないレースでしたね。最後の200メートルくらいからは力が入り、抜けてほしいという思いでした。今日は落ち着きもあって動きも良かったと思います。もっと成長できる馬です。