レースハイライト
第30回 かしわ記念 JpnⅠ
2018年5月2日(水) 船橋競馬場 1600m
スタートを決めゴール前差し切る
ダートの新王者へジーワン3勝目
1989年から重賞として行われているかしわ記念も、今年でちょうど30回。今年度から船橋競馬が通年ナイターになったのにともない、初めてナイターで実施された。場内はお祭りムード一色で、たくさんの来場者でにぎっていた。
それは売上げにも表れて、かしわ記念JpnⅠ及び船橋競馬単レースの売得金レコードを更新。さらには1日当たりの売得金額でも、2010年11月3日のJBC船橋開催でのレコードを更新するなど、非常に活気ある1日になった。
そのかしわ記念JpnⅠには超豪華メンバーが集結。単勝1番人気は、悲願のGⅠ/JpnⅠ勝ちを狙うインカンテーション。ダートグレード6勝を挙げており、前走のフェブラリーステークスGⅠは僅差の3着。2番人気がフェブラリーステークス、チャンピオンズカップというJRAの両GⅠを制しているゴールドドリーム。3番人気が今年のフェブラリーステークスGⅠを優勝して復活を遂げたノンコノユメ。さらには、モーニンやベストウォーリア、オールブラッシュと、ダート競馬ファンにとっては名前を聞くだけでもワクワクするような馬たちが顔をそろえた。
迎え撃つ地方勢の筆頭は、昨年のNARグランプリ年度代表馬に輝いたヒガシウィルウィン。
結果的にはゴールドドリームが格の違いを見せつける形で優勝した。クリストフ・ルメール騎手とは初コンビだった。
レースは、オールブラッシュが逃げて縦長の展開を作ると、モーニンやベストウォーリアが続き、ヒガシウィルウィンは内の4番手をキープ。差なくゴールドドリームやインカンテーションが追走し、ノンコノユメも中団から進出した。
最後の直線に入っても、オールブラッシュのリードは変わらず。しかし、ゴールドドリームが馬体を併せて上がってきたインカンテーションをまずは競り落とすと、メンバー中最速の上り37秒0の末脚を繰り出し、粘り込みを図るオールブラッシュをもゴール前で抜き去った。1600メートルの勝ちタイムは1分39秒2(良)。
「初めて乗りましたが、すごくいい馬です! ゴールドドリームのいいところは瞬発力ですね。フェブラリーステークスもチャンピオンズカップも、残り200メートルからの速さがよかったですが、今日もすごくいい脚を出せました」とルメール騎手はニッコリ。
今後は秋のダート戦線に向けて帝王賞JpnⅠなども選択肢のひとつにあるようだ。「ダートのマイル王の座は取り返せたので、今度はダートのチャンピオンの座を狙いにいきます」と、平田修調教師はレース後に力強く語った。
ホッコータルマエやコパノリッキーが引退し、混とんとしていたダート王の座。3つ目のGⅠ/JpnⅠタイトルを獲得したゴールドドリームが、この路線の王者として新たな時代を築いていくことになるのだろうか。
一方、地方最先着はヒガシウィルウィンだった。今回は放牧休養明けの初戦。森泰斗騎手が手綱を取り、道中は内の4番手から進めていくも、最後の直線で中央馬たちから離され7着でゴール。
「休み明けで緩さみたいなものは感じましたが、仕上がってはいたと思います。一発狙って内にこだわって、勝負どころでも手応えはありましたが、中央馬はまたあそこから頑張るんですよね。今日に関しては相手が強かったですが、ここに出てきている馬たちは古馬として揉まれてきているので、ヒガシもこれを糧にまた強くなってくれればいいですが」(森騎手)。
4歳になって最初のレースがこの舞台になったが、これから様々な経験を積んでいきながら、NARグランプリ年度代表馬がどんな成長を遂げていくのか見守っていきたい。
地方競馬全国協会理事長の副賞として畜産品が贈呈された
ヒガシウィルウィンは中央馬たちから離され7着でゴール
取材・文:高橋華代子
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
今日はいいスタートを切っていいポジションを取れました。道中もすごくリラックスしていて、直線でいい脚を使ってくれました。すごくいいポテンシャルのある馬で、元々がGⅠを勝っている馬ですが、この船橋競馬場でも強かったです。またGⅠで乗りたいですね。ごっつぁんです(笑)
毎回ゲートに問題のある馬です。普段は暴れん坊ですが、南部杯の時にはおとなしくてゲートで結構遅れたので、今日もおとなしかったので心配していましたが出てくれました。道中は中団前にいて、直線を向けば何とかなるかなと思って見ていました。人気になっていたので勝ててホッとしたのが一番です。