レースハイライト
第20回 かきつばた記念 JpnⅢ
2018年4月30日(振・月) 名古屋競馬場 1400m
逃げ馬マークで早め先頭から押し切る
キャリア10戦目の重賞初挑戦で優勝
ハンデ戦という要素はあるにしても、今年のかきつばた記念JpnⅢは単勝オッズ的にかなりの混戦模様。ダートグレードレースでは上位人気馬と下位人気馬がはっきりと分かれるケースが多く見られるが、出走12頭のうち、単勝100倍以上は1頭だけ。JRA所属のキングズガードが3.0倍、サクセスエナジーが3.8倍で1、2番人気だったが、そのあとに続いたのは浦和のブルドッグボスと地元所属のカツゲキキトキトで6倍前後。さらにトウケイタイガーとエイシンヴァラーの兵庫2頭も10倍台と支持を集め、12頭のうち8頭が20倍未満という、最近ではなかなか見られない分布になっていた。
開催初日のこの日は、前半戦から逃げた馬の粘り込みが多い状況。しかしながら昨年のこのレースを逃げ切ったトウケイタイガーは、それを考慮することなく逃げるのみ。昨年と同様に好スタートを切り、内ラチ沿いに進路を定めて先手を取った。
ただ、単騎逃げで進められた昨年とは違い、今年はサクセスエナジーにマークされる形。その直後にはエイシンヴァラーも勢いよく追走していった。
向正面でもトウケイタイガーの直後にサクセスエナジーがいるという位置関係は変わらず。先頭から最後方までの差もそれほど大きくなかった。
その流れはトウケイタイガーにとって厳しい形。3コーナーでサクセスエナジーが先頭に立ち、中団からレースを進めた馬たちの動きも激しくなった。コパノチャーリー、ブルドッグボスなどは外を回り、さらにその外からキングズガードが追い上げを開始。エイシンヴァラーとサンライズメジャーはインコースを選んだ。
直線を向いて残り200メートル付近でのサクセスエナジーのリードは2馬身ほど。その後ろからキングズガードなどが一気に差を詰めてきたが、ゴール地点でも3/4馬身差をキープして、サクセスエナジーが重賞初挑戦での優勝を成し遂げた。
キングズガードは黒船賞JpnⅢに続いての2着。「3~4コーナーで大外を通るのも作戦どおり。最後は58キロが響いたかな」と、管理する寺島良調教師。藤岡佑介騎手も「こういう脚質なので……」と話していた。
クビ差の3着には9歳にして初ダートに挑んだサンライズメジャーが入った。大野拓弥騎手が「砂に関しては全く問題なし。選択肢が広がりましたね」と興奮気味に話す表情からは、確かな手ごたえが読み取れた。
3着から半馬身差の4着にはエイシンヴァラーが入線。「返し馬が前走よりも良い感じで、『また今日も勝つのかな』と思ったくらいです」(下原理騎手)と、9番人気で制した黒船賞JpnⅢがフロックでないことを窺わせた。
一方、3番人気に推されたブルドッグボスは5着。「いつもは向正面でガツンという手ごたえがあるのですが、それが今日はいまひとつでした」と左海誠二騎手。それでも大崩れをしていないあたりは、重賞戦線で結果を残している底力を感じさせた。
勝ったサクセスエナジーはまだ4歳で、キャリア自体も10戦のみ。北出成人調教師も松山弘平騎手も「幼い面があります」とコメントしていた。それだけに今後の伸びしろは大きいはず。これから先のダートグレード戦線で中心的存在に成長していく可能性は十二分にあるだろう。
地方馬最先着は4着のエイシンヴァラー
取材・文:浅野靖典
写真:宮原政典(いちかんぽ)
コメント
スタートよく2番手が取れて、ハミのかかりも良くて真剣に走ってくれました。砂をかぶると心配なところがあるので、そこには気をつけて乗りました。3コーナーあたりでは手ごたえがよすぎて早めに先頭に立つ形になりましたが、しっかりと勝ちきってくれましたね。こういうコースも向いていると思います。
前走の6着は、もまれ弱さが出たのが敗因。今日は強引にでも前に行こうとジョッキーに話しました。でも道中は掛かるくらいの勢いだったので大丈夫かなと思っていましたが、早め先頭からよく粘ってくれました。こういう展開のほうが合っているように感じますね。次走は様子を見ながら検討していきます。