レースハイライト
第29回 東京スプリント JpnⅢ
2018年4月18日(水) 大井競馬場 1200m
直線差を広げ鮮やかに逃げ切る
8歳でますます充実の重賞4勝目
トゥインクルレース開幕に合わせイルミネーションなどがリニューアルされた大井競馬場。この日は7000人以上のファンが訪れ、ナイター競馬を楽しむたくさんの笑顔で溢れていた。
そんな大井競馬の2018年度開幕を彩る重賞は短距離のダートグレード、東京スプリントJpnⅢ。JRAからは昨年のJBCスプリントJpnⅠの覇者ニシケンモノノフや、韓国のGⅠコリアスプリント優勝の実績を持つグレイスフルリープ、芝もダートもこなすネロやスノードラゴンなど個性豊かな面々が参戦。地方からは、NARグランプリ2017最優秀短距離馬のブルドッグボス、昨年の東京盃JpnⅡを制したキタサンミカヅキ、岩手のトップホース・ラブバレットなど実力馬が揃った。
人気は拮抗していて、最終的にはブルドッグボスが単勝3.7倍と1番人気に支持され、2番人気はニシケンモノノフで3.8倍、3番人気はネロで5.3倍と続き、5番人気までが単勝オッズ10倍を切る混戦ムードが漂っていた。
前日からの雨の影響により馬場コンディションは水の浮いた不良。そんな中ゲートが開くと、先手を取ったのは前走の黒船賞JpnⅢでも逃げたグレイスフルリープだった。好位にブルドッグボス、ネロ、キタサンミカヅキなどがつけ、大外8枠のラブバレットとニシケンモノノフは中団の外を追走した。
3~4コーナーでは馬群から置かれた2頭以外が一団となって最後の勝負へ。直線に入ると、先頭のグレイスフルリープが少し差を広げ逃げ切り態勢。一方、後続は横に広がりながら前をめがけて懸命に追い出していた。しかしグレイスフルリープの脚色は衰えず、そのまま押し切って1馬身半差でゴールイン。2着は末脚を伸ばしたキタサンミカヅキで、3着にはネロが入った。人気の中心だったブルドッグボスは5着、ニシケンモノノフは8着だった。
鮮やかな逃げ切り勝ちを披露した8歳馬グレイスフルリープはこれで重賞4勝目。橋口慎介調教師によると「ここにきて追切りのタイムもベストを更新していて、非常に充実しています。この年齢ですが今が一番いい状態です」ということだから驚きだ。2016年のサマーチャンピオンJpnⅢから地方のダートグレードに参戦し、韓国にも遠征したが、大井競馬場は今回が初参戦。「遠征は全く苦にしません。飼い葉を残したこともないんですよ」という話からも、心身共に非常にタフな馬だということが窺える。この後は、浦和のさきたま杯JpnⅡに進む予定で、今年の大目標は韓国のコリアスプリント連覇とのこと。そしてその後のJBCスプリントJpnⅠでも注目の存在となるだろう。
2着のキタサンミカヅキは、これまで後方待機というレースが多かったが今日はいつもより前でレースを進めた。繁田健一騎手は「少し押していったら噛んでしまい、そのぶん3~4コーナーで脚がなくなってしまった。直線でもう一度伸びてくれたが、現状ではもう一列後ろからのほうが良さそうです」と、思い通りのレース運びではなかったようだが、それでも最後はさすがの末脚だった。
そして、4着サブノジュニア、5着ブルドッグボス、6着ラブバレットまでが、2着馬から0秒3秒差以内の大接戦。惜しくも馬券に絡むことはできなかったが、地方の実力馬たちが見せ場を作った。馬場や展開しだいでは……、と期待も膨らむ内容であり、この後のスプリント戦線での活躍がますます楽しみだ。
2着は末脚を伸ばしたキタサンミカヅキ
取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
馬の状態が良さそうでしたし好スタートが切れたら先行したいと思っていました。前走は少しリズムが良くなかったのですが、今日はとても良い感じで走ってくれて、直線を向いた時は押し切れると思いました。少し気難しい面がありますがこの馬の力が発揮できた時は非常に強い勝ち方をしてくれますね。
今日は装鞍所から元気が良くて状態は良かったです。内枠だったのでスタートがポイントでしたが凄く良いスタートが切れてテンも速くて今日は勝てるかもと思いました。大井の直線は長いので最後はずっと力が入っていましたね。今日の強さを見たら現状では1200メートルの方があっているのかもしれません。