レースハイライト
第22回 マリーンカップ JpnⅢ
2018年4月11日(水) 船橋競馬場 1600m
意表を突く逃げの手で押し切る
厳しい条件を克服し重賞3勝目
南関東競馬初の通年ナイターが始まった船橋競馬場。新年度に入り最初の重賞レースは、牝馬たちが主役のマリーンカップJpnⅢだ。強風吹き荒れる中での厳しいコンディションになったが、意地とプライドが真っ向からぶつかり合う熱戦が展開された。
昨年11月のJBCレディスクラシックJpnⅠを右前脚挫跖で直前回避したクイーンマンボが半年ぶりの実戦。休み明けや初コース、初距離などもありながら単勝1.6倍の支持を集めたのは、昨年のレディスプレリュードJpnⅡでの圧勝劇を目のあたりにした衝撃もあるだろう。
スパーキングレディーカップJpnⅢとエンプレス杯JpnⅡの覇者アンジュデジールが3.7倍、TCK女王盃JpnⅢ優勝馬ミッシングリンクが4.0倍と、ここまでが単勝10倍以下。この3頭に続いたのは、重賞初挑戦のヤマニンアンプリメで11.3倍。前走のコーラルステークスでは優勝したモーニンに0秒2差の4着に入っている。最近ではよく見る光景だが、中央馬が上位人気を独占した。
「確固たる逃げ馬もいなかったので、元々自在な馬だし逃げることも考えていました。風も強かったのであまりごちゃつくところにはいたくなかったです」と、アンジュデジールの手綱を取った横山典弘騎手がレース後に振り返ったように、アンジュデジール自身初となる逃げる展開には場内が沸き、そのスピードが最後まで衰えることはなかった。
スタートを切ると、クイーンマンボや、ロジータの孫オルキスリアン、ニシノラピートらが前でけん制し合っていたが、アンジュデジールはそれらの間からスーッと二の脚を使って先手を奪った。差なくニシノラピートが2番手につけると、その後ろには、内にクイーンマンボ、外にはヤマニンアンプリメがつけ、ミッシングリンクは中団前を追走。馬群は想像以上にかたまっていたように思うが、それも徐々にばらけていった。
最後の直線に入ってからは、逃げるアンジュデジールに、内からクイーンマンボ、外からはヤマニンアンプリメも食らいつき、3頭の追い比べ。しかし、アンジュデジールがゴール前にひと伸び。2着のクイーンマンボに3/4馬身差をつけての優勝は、着差以上の強さを感じさせた。ヤマニンアンプリメがクビ差の3着。地方馬最先着の5着は、地元船橋のオルキスリアンだった。
今年4歳になったアンジュデジールは、これで3つ目の重賞タイトルを獲得。JBCレディスクラシックJpnⅠを大目標に置き、今後の予定を組んでいくそうだ。「今日は牝馬としては過酷な斤量57キロを背負って、馬場も乾いていたし、最後は向かい風で苦しい競馬になりましたが、歯を食いしばってよく頑張ってくれました。すごい馬だと思います」と、横山騎手もパートナーの力走には目を細めていた。
なお、休み明けだったクイーンマンボも力があるところは十分に示したと思う。クリストフ・ルメール騎手は、「休み明けにしてはよく頑張ってくれました。距離は1800メートル以上の方がいいです」と振り返っていた。
砂の女王として君臨してきたホワイトフーガやララベルが現役を引退した今、新女王の座につくのはどの馬なのか。これからも興味深い戦いが続いていきそうだ。
地方馬最先着の5着は、地元船橋のオルキスリアン
取材・文:高橋華代子
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
マイルくらいがベストかなと思っていましたが、前走(エンプレス杯)でビックリするような走りをしてくれたので、まだ決めつけずにいろんな距離を使っていきたいです。最初に乗せてもらった時からすばらしい馬で、順調にいってくれればいいなと思っていました。このまま無事にいって欲しいです。
ジョッキーはいろんなことをするのでびっくりはしませんでしたが、ハナに行くとは思いませんでした。前走勝った時はそこまでの仕上がりではなくて半信半疑だったので、次はもっと良くなると見ていました。今回は57キロを背負って横綱相撲をしてくれたので、状態は上がっていたと思います。