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レースハイライト

第42回 京浜盃

2019年3月20日(水) 大井競馬場 1400m

力強く抜け出し初タイトル クラシック有力候補へ名乗り

 春の陽気に包まれた大井競馬場で、羽田盃の前哨戦といえる京浜盃が行われた。過去5年の優勝馬のうち4頭がクラシックホースに輝いており、この後の三冠を占う意味でも重要な一戦だ。
 今回のメンバーの中で大きなポイントは、北海道から転入初戦となるウィンターフェルの存在だろう。北海道2歳優駿JpnⅢ・2着、全日本2歳優駿JpnⅠでは地方馬最先着の5着と実績は最上位。南関東既存勢力との力関係がどうなのか注目が集まった。このウィンターフェルが、単勝1倍台の時間帯もあったのだが、最終的には3.1倍で2番人気。1番人気(単勝2.6倍)に推されたのは、南関東で重賞2勝を挙げているヒカリオーソだった。前走の雲取賞を勝ったことですでに羽田盃の優先出走権を獲得しているが、意欲的な参戦だ。この2頭が人気の中心で、以下、ステッペンウルフ、ホールドユアハンド、カジノフォンテンまでが単勝10倍を切っていた。
 先行争いはやや激しくなったが先手を取ったのはレベルフォーで、2番手にホールドユアハンド、その後ろをヒカリオーソとウィンターフェルが並ぶように追走。5、6番手にステッペンウルフ、カジノフォンテンがつけ、有力馬たちは前でレースを進めていた。
 4コーナーでは前と後ろの差が詰まり、直線では各馬が横に広がる混戦。その中から馬群を割って先頭に立ったのがステッペンウルフだった。外からウィンターフェルも伸びていたが、ステッペンウルフが押し切って1着ゴールイン。ウィンターフェルは半馬身差の2着となり、さらに1馬身半差の3着には大外から猛追したホワイトヘッドが入った。
 3コーナーあたりで後退したヒカリオーソは鼻出血を発症したとのことで14着に終わった。
 優勝したステッペンウルフは昨年、北海道から船橋に移籍し3、2、1、1着という勢いのまま今回重賞初制覇を飾った。佐藤賢二調教師は「中間も思った通りに調教ができて内心は勝ち負けになるんじゃないかと思っていました」と満面の笑顔。NARグランプリ年度代表馬を2年連続で送りだしたこの厩舎の実力を改めて実感させられる。
 初コンビとなった御神本訓史騎手は「抜け出す時は力強いですが、少しフワッとするところがあるので、その辺を気をつければクラシック路線でも活躍してくれると思います」と評価した。まだまだ課題はあるようだが、それは伸びしろのある証拠。3歳戦線で一躍主役候補に名乗りを上げたといえよう。
 一方、悩ましげな表情だったのがウィンターフェルの森泰斗騎手。「力はあります。距離も延びた方が良さそうです。ただ、かなりソラを使う馬で集中して走っていません。馬が横にいても気持ちが切れてしまっていて。乗り役泣かせですね。どうしたらいいものか」と首をかしげた。
 北海道から転入初戦のもう1頭、ホワイトヘッドは大幅な体重増が嫌われたのか12番人気と低評価だったが、北海道2歳優駿JpnⅢ・4着の実力を示した。「外を回らされたけど3コーナーの感じが凄かったです。勝つと思いました。プラス20キロでも太くなくて成長分だと思います。距離は延びて大丈夫そうです」と本橋孝太騎手は振り返った。
 この上位3頭が、4月24日に行われる羽田盃への優先出走権を獲得した。約1カ月後から始まる南関東三冠で今年はどんなドラマが見られるだろうか。
取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

御神本訓史騎手

スタートも良く、すごくいいリズムで1コーナーに入れました。有力馬が前にいたので動きを見ながら4コーナーまで進み思ったようなレース展開でした。直線で抜け出してからソラを使ったので一生懸命追っていました。レースが上手で力んで走らないので距離が延びても大丈夫だと思います。

佐藤賢二調教師

馬体重はマイナス7キロでしたが馬体の張りも状態も良かったので、あとは御神本騎手に委ねました。3、4番手につけたいと作戦を立て、上手く脚をためて終いは弾けてくれたので良かったです。精神面の成長と、馬体がもう少し大きくなるといいですね。羽田盃ではフロックでないところを見せたいです。