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レースハイライト

第64回 ダイオライト記念 JpnⅡ

2019年3月13日(水) 船橋競馬場 2400m

直線独走でJpnⅡ・2勝目 目指すはジーワンタイトル

 底を見せない強さというのは、やはり大きな魅力がある。特に競馬においては、展開のまぎれや馬場の巧拙、馬の精神面といった要素で、絶対能力の高い馬でも簡単に負ける。それだけに、堅実に走る馬には尊敬の念が強まるもの。ここまで9戦して5勝、2着と3着が2回ずつのチュウワウィザードも、そうした1頭に数えられる。
 ここには過去にGⅠ/JpnⅠ(2歳戦を除く)を制した馬も4頭出走していたが、のちのGⅠ馬インティの2馬身差2着に食い下がった東海ステークスGⅡの内容もあって、チュウワウィザードが単勝1.4倍と断然の1番人気。すでに同じ明け4歳世代が突きつけている印籠を、ここでもかざすことができるのか、注目を集めた。
 地元のヤマノファイトが競走除外となり、13頭立てでスタートが切られた。ハナを切ったのはオールブラッシュ。浦和記念JpnⅡでは中団から3~4コーナーで先頭に立ち押し切ったが、そうはいってもベストはやはり逃げ。1ハロン13秒台のゆったりとしたラップを刻んで、スタンド前を通過する。チュウワウィザードが2番手。他の有力どころもそのうしろにつけ、虎視眈々とチャンスをうかがっていた。
 しかし、馬への信頼が成せるわざなのだろう。チュウワウィザードの川田将雅騎手はオールブラッシュを無理に追いかけず、勝負どころでも軽く合図を送る程度。そのまま最後の直線に向き馬体を外へ持ち出すと、一気に加速してオールブラッシュを交わし、最後は独走劇を演じた。つけた着差は4馬身。ダートグレード路線の主役に名乗り出るには十分すぎる内容で、同時にこの世代のレベルの高さも誇示した。
 通算6勝目、そして2500メートルの名古屋グランプリJpnⅡ、2400メートルの今回を制したことで、ダート路線の長距離巧者としての地位は揺るぎないものとなった。ただ、1800メートルでも結果を出していることから、中距離でも飛躍する可能性は十分。
 大久保龍志調教師も「今後はジーワンへ。帝王賞あたりが目標になる」と話しただけに、同世代、そしてさらなる実績を誇る年長馬との戦いが楽しみになった。
 2着にはアポロケンタッキーが入線。1周目のスタンド前で徐々に位置取りを上げ、勝負どころからも息の長い末脚を発揮した。これで船橋コースは4戦4連対。復調気配もうかがえるだけに、今後のダートグレードでも好勝負を演じてくれそうだ。
 オールブラッシュは本来の逃げるかたちで3着。今回は勝ち馬の力が一枚上で難なく交わされてしまったが、他馬に対して見せた粘りには見どころがあった。コースや展開次第で、今後もチャンスが巡ってくるに違いない。
 地方勢では船橋のサウンドトゥルーが、じわじわと脚を伸ばしたものの5着まで。御神本訓史騎手は「ペースが遅かったし、外を回らされたのも響いた。距離ももう少し短いほうがいい」と話しており、2000メートル前後での巻き返しを期待したい。
取材・文:大貫師男
写真:国分智(いちかんぽ)

コメント

川田将雅騎手

無事に勝つことができて良かったです。すごくスムーズに、前半をいい位置で進めることができたなと思いますし、道中もリラックスして、すごくいい雰囲気で運べました。ここも無事に通過できましたから、もっと大きなところへチャレンジできる立場になったと思います。

大久保龍志調教師

初のナイターで戸惑っていましたが、対応能力が高く、1周まわってきたら普段通りの雰囲気になりました。ハナを切る展開は嫌だったのですが、行く馬がいたので、しめたと思いましたね。今後はジーワン路線を使っていくことになりますが、かしわ記念は少し短いので、帝王賞に向かうことになると思います。