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レースハイライト

第68回 川崎記念 JpnⅠ

2019年1月30日(水) 川崎競馬場 2100m

直線競り合いから抜け出し快勝 充実を見せ7歳でのJpnⅠ初制覇

 2018年チャンピオンズカップGⅠはルヴァンスレーヴ、東京大賞典GⅠはオメガパフュームが勝ち、明け4歳世代の活躍が目立つダート戦線。そんな中、2019年最初のダートJpnⅠ・川崎記念には歴戦の古馬たちが集結した。
 1番人気は連覇を狙う6歳馬ケイティブレイブ。昨年のJBCクラシックJpnⅠの優勝馬で、重賞9勝という実績は断トツ。人気を集めるのは当然で、単勝1.2倍と圧倒的な支持を受けた。2番人気は2017年の覇者、7歳馬のオールブラッシュで5.6倍。前走の浦和記念JpnⅡでは田邊裕信騎手の好騎乗も光り圧勝。その復活劇を演じたコンビで挑んできた。3番人気はこちらも7歳のミツバで7.0倍と続き、3頭が単勝10倍を切っていた。
 ゲートが開くと、好ダッシュのサルサディオーネが予想通り先手を取りマイペースでレースを運んだ。それを警戒したオールブラッシュが1周目のスタンド前で中団から一気に進出し2番手まで上がった。3番手にコパノチャーリー、その後ろの内にケイティブレイブ、外にアポロケンタッキーがつけ、ミツバが6番手を追走していた。
 向正面に入るとペースが上がり、地方勢は大きく離される状況に。3コーナー手前では中央勢6頭が固まり最後の勝負へと向かった。
 4コーナーでオールブラッシュが先頭に立ち、それを追いかけたのはケイティブレイブとミツバ。直線に入るとこの3頭の追い比べとなり、内のオールブラッシュ、外のケイティブレイブの間をこじ開けるようにミツバが割って入った。この熾烈な争いを制したのはミツバで、最後は2馬身半突き放して勝利を手にした。
 期待を集めたケイティブレイブは2着。福永祐一騎手は「メンタル面がチャンピオンズカップ(11着)の時のようだった。なかなか進んでいかないし気持ちが乗らない感じ。それでも促して力を出せる位置取りに持ち込めたのですが、直線でも並んだ馬にファイトしませんでした。もともと肉体的にはタフな馬ですが、メンタルはそうではない。そのような面が出てしまったようです」と首を傾げながら振り返った。
 3着オールブラッシュの田邊騎手は「浦和記念のようなレースをしたかったけど、まわりがケイティブレイブを意識しすぎていて、前も残りそうなペースだったので早めに仕掛けました。直線を向いても粘っていましたが、最後の最後は余力の差。今後も流れ次第だと思います」とコメントを残した。
 優勝したミツバはこれが重賞3勝目、嬉しいジーワン初制覇を飾った。最後の直線の攻防について和田竜二騎手は「外を狙ったんですが、今日は馬が内でもいけそうな雰囲気があったし、反応してくれたので狭いところを行ってくれました」とのこと。加用正調教師は「今までは委縮するようなところがあったんですが、今日はこじ開けてくれた。状態も精神面も良くなっているからできたのだと思う」とミツバの成長を喜んだ。加えて「うちの厩舎は高齢で活躍しているダート馬が多いんですが、ミツバはまだ6歳くらいの雰囲気で、若いですよ」と語った。今が充実の経験豊富なベテラン馬が、若い世代を相手にこれからどんな存在感を示してくれるのか楽しみである。次走は未定だが、上半期は帝王賞JpnⅠも視野に進めていきたいとのことだ。
 なお、地方馬最先着は6着だった笠松のカガノカリスマ。4年連続で5着までを中央勢が独占する結果となった。特に中長距離戦線では中央馬の層の厚さを実感するところではあるが、2019年、地方馬たちの奮闘にも期待したい。

地方最先着は6着のカガノカリスマ(笠松)
取材・文:秋田奈津子
写真:築田純(いちかんぽ)

コメント

和田竜二騎手

返し馬から気合がのっていたし、ゲート裏でもしっかりスタートが切れそうな雰囲気がありました。いろいろシミュレーションしたけど一番良い形で進められました。気難しいのが良いところではあるので、毎回こういう競馬ができるとは限らないですが、気配が抜群に良かったので走ってくれると思いました。

加用正調教師

感無量です。ペースがすぐに落ち着いてしまって5、6番手の内に入った時は少し嫌な感じがありましたが、和田騎手もうまく馬の良さを引き出してくれました。直線は2頭の間で挟まれましたが、よく凌いで勝ってくれましたね。名前からもファンの多い馬ですし、これからも応援よろしくお願いします。