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2017年11月23日(祝・木) 浦和競馬場 2000m

早め先頭から6馬身差圧勝
地方初参戦で重賞初制覇

 南関東二冠馬ヒガシウィルウィンが、この浦和記念JpnⅡから始動した。ジャパンダートダービーJpnⅠ優勝以来、約4カ月ぶりの実戦。最終的に単勝1番人気になったのは、川崎記念JpnⅠの覇者オールブラッシュだが、2番人気のヒガシウィルウィンが直前まで1番人気に支持されたのは、地方競馬ファンの期待の現れでもあっただろう。
 中央勢4頭の中でもっとも人気薄だったのは、柴田大知騎手がエスコートした5番人気マイネルバサラ。補欠からの繰り上がりだったが、地方初参戦で真価を見せつけることになった。
 前夜からの激しい雨は昼頃には上がったものの、水が浮くほどの不良馬場。「砂の粒子が細かい方がキックバックで受けた時に気にしないので、もっと降って欲しいなぁと思っていたくらいです。いろんな幸運が重なりました」とマイネルバサラを管理する松山将樹調教師は話していたが、運を味方につけるのも強さのひとつ。
 レースは、浦和のタマモホルンが先手を取ると、2番手にヒガシウィルウィン、3番手に昨年の東京ダービー馬バルダッサーレがつけ、差なく4番手の外目にマイネルバサラが追走。ナムラアラシやオールブラッシュ、クリノスターオーなども続いていった。
 「スタートも良くていい位置を取れました。この馬の良さは長くいい脚を使えることなので、後ろの馬たちに脚を使わせるような競馬になってうまくいきましたね」(柴田大知騎手)。
 3コーナー手前でマイネルバサラが一気に先頭に立つと、ヒガシウィルウィンをはじめナムラアラシやオールブラッシュなども追いかけたが、その差は縮まらず、直線ではさらにリードが広がった。マイネルバサラは2着のヒガシウィルウィンに6馬身差をつける圧勝。勝ちタイムは2分8秒2(不良)。3着にオールブラッシュが入った。
 なお、2周目の3~4コーナーでグランディオーソが落馬、ポイントプラスも巻き込まれる形となり、2頭が競走中止となった。
 勝ったマイネルバサラはこれが重賞初制覇。管理する松山調教師にとっても厩舎初出走から10年目での念願の重賞初勝利となった。この後は東京大賞典GⅠに登録するそうで、成長著しい4歳馬が今後どんな姿を見せていくことになるだろうか。
 ヒガシウィルウィンは2着だったが、非常に内容の濃いものになった。休み明けで初めての古馬相手がダートグレードの舞台、決して楽な条件ではなかったはずだ。道中も3コーナー手前で早々とマイネルバサラに交わされ手応えが怪しくなったようにも見受けられたが、他の中央勢も進出してくると食らいついて競り落とし、再びマイネルバサラを追いかけたレースぶりには見応えがあった。
 森泰斗騎手は、「いい競馬だったと思います。まだ完成されていないので、競馬が上手な古馬にスーッとまくられましたが、その後もくじけずに頑張っていました。この後もっと良くなると思います」と、収穫を得た様子。
 次走は東京大賞典GⅠを視野に入れているという。最近の中・長距離を舞台にしたダートグレードレースは中央勢の独壇場だったが、この路線で通用する可能性のある地方生え抜き馬が出てきてくれたことは素直にうれしい。
柴田大知騎手
前走からかなり状態は上がっていたので、この強い相手とどのくらいやれるのかなと正直思っていましたが、終わってみたら強かったですね。最後はあんなに離しているとは思わなかったのでびっくりしました。どんどん力をつけている4歳馬なので、これから交流重賞でどんな走りをしていくのか楽しみです。
松山将樹調教師
年齢的にも落ち着きが出て力みなく力を発揮できるようになりました。デビュー時は体も小さかったので、ここまで出世してくれるとは思いませんでしたね。真面目で手を抜かないのがこの馬のいいところです。開業して10年を一区切りとして重賞を勝ちたいと思っていたので、今年中に達成できて良かったです。

2着だったヒガシウィルウィン

取材・文:高橋華代子
写真:国分智(いちかんぽ)