2017年11月22日(水) 笠松競馬場 1400m

抜群の手応えで後続を突き放す
好相性の笠松で能力発揮し3連覇

 前開催のラブミーチャン記念に続いて、2開催連続での地方全国交流となる、笠松グランプリ。今年も地方馬限定の重賞としては高額の1000万円の賞金を目指して、全国各地から名うてのスプリンターが笠松に集結、豪華なメンバー構成となった。
 1番人気に支持されたのは岩手のラブバレット。「連覇ができて良かったです。各地に遠征した効果か心身ともに強くなってます」と山本聡哉騎手が語ってから1年。この間も勝利こそ地元でしか挙げていないが、かきつばた記念JpnⅢ、さきたま杯JpnⅡでそれぞれ5着と、短距離路線なら中央勢とも互角に渡り合ってきた。メンバー的にも、レースとの相性のよさからも3連覇の期待は高まった。僅差の2番人気、兵庫のトウケイタイガーは今年のかきつばた記念JpnⅢの覇者。ラブバレットに先着した実績があり勝機も十分。3番人気には中央オープン勝ちの実績馬、同じく兵庫のエイシンヴァラーが推されていた。
 そんなハイレベルな顔ぶれの一戦を制したのはラブバレット。各馬が押して好ポジションを取りに行く中、1頭だけ馬なりで逃げるトウケイタイガーの2番手を難なく確保。3コーナーで先頭に並びかけた時には抜群の手応えで、直線を向いてからも後続を離す一方の圧倒的な勝利で3連覇を飾った。
 「強かったですね。この馬は遠征の方が走りがいいけど、特に笠松は相性がいいみたい。最後の踏ん張りが地元とは全く違う」とレース直後の山本騎手。これだけ強豪がそろった中で3馬身差の圧勝は、単にコース相性の良さのみならず、体調面、地力ともに高いレベルにあってこそ。今後も短距離路線なら地方のトップクラスであることはもちろん、中央勢が相手でも通用すると確信できる内容だった。
 2着はエイシンヴァラー。「ある程度差す競馬は想定していたけど、先頭、2番手の馬はやっぱりテンに速いねえ。早めに外へ出せたのは良かったけど、結果的にはずっとインで脚をタメた方が楽に2着はあったかもしれない」と下原理騎手。最後は一杯の脚いろになったが、器用に脚を使って自在な競馬ができることは証明できた。
 3着は大井のプリンセスバリュー。「夏に乗ったころより、体調は上向いていたと思います。この相手では差す競馬になりそうだとも思っていたし、いい脚を使ってくれました。直線で寄られなければ2着はあったと思う」と吉原騎手は残念そうだったが、牡馬に混じって後方からの競馬で見せ場をつくれたことは今後の自信になりそう。
 2番人気のトウケイタイガーは4着に沈んだが、「多少、重かったかな。笠松の軽めの馬場も合わなかった面もあったかも。でも結果的には勝ち馬が強かった。逃げ馬はこういう時もあるよ」と語る川原正一騎手のサバサバした表情が印象的だった。
 4番人気に支持され地元の期待を集めたダイヤモンドダンスは5着。筒井勇介騎手は「まだ腰に緩さがある段階で、これだけやれればまずまずです。パンとすればもっとやれると思います」と今後の活躍を期待していた。
 終わってみれば3連覇を達成したラブバレットの強さばかりが目立ったが、1番人気→3番人気→6番人気の組合せで3連単10,770円の好配当。レベルが高い上に馬券的にもそこそこ楽しめ、JRAとの交流重賞とはひと味違う、地方競馬ファンを満足させるレースとしての存在意義を改めて感じさせる今年の笠松グランプリであった。
山本聡哉騎手
3連覇できてよかった。前走を叩いたぶん体調も良くなっていたと思うし、今の笠松はラチ沿いを通らない方がいいと聞いていたのでそのあたりも気をつけて乗りました。昨年も思ったけど、本当にこの馬は笠松だと走りがいいですね。
菅原勲調教師
前走時からデキは悪くないと思っていましたが、それにしても今日は予想していた以上に強い内容だった。順調ならこの後は昨年と同じローテーションで、兵庫ゴールドトロフィー(12月27日・園田)を目標にしていきたいです。


取材・文:竹中嘉康
写真:岡田友貴(いちかんぽ)