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2017年9月27日(水) 船橋競馬場 1800m

瞬発力勝負のゴール前接戦を制す
目指すは秋のジーワンタイトル

 JRAから参戦の4頭はすべてGⅠ/JpnⅠ勝ちがあり、現在の国内ダート戦線を牽引する強豪。それに対して地方勢のタイトルウイナーは、2015年の早池峰賞(盛岡)を制したデュアルスウォードのみ。そのデュアルスウォードにしても近況は不振が続いており、ダートグレードの根源にある“JRA対地方”という構図には遠い一戦となった。
 当然、戦前予想もJRAの4頭が単勝ひと桁台。地方勢では地元・船橋の3歳馬キャッスルクラウンが82.1倍で、あとはすべて万馬券という圧倒的な差がついた。別定戦で極端な斤量差がつかないだけに仕方がなく、全馬休み明けというJRA勢の仕上がり具合と、その順位付けが焦点となった。
 レースはモーニンが逃げ、外にケイティブレイブとアポロケンタッキーがつける展開。その後ろには笠松のトキノベラトリクスがつけていたが、向正面でサウンドトゥルーがピッチを上げて4番手に進出すると、あとはJRA勢同士の争いとなった。
 4コーナーを一団で回り、一進一退の攻防を演じる4頭。一度は脚いろが鈍ったモーニンが盛り返し、アポロケンタッキーが持ち前の瞬発力を発揮して応戦。ケイティブレイブも懸命に食い下がり、外からサウンドトゥルーが自慢の末脚を繰り出す。GⅠ/JpnⅠ勝ち馬として、それぞれのプライドをかけた激しい戦いとなった。
 その結果、ゴール前で抜け出したのはアポロケンタッキー。3頭横並びの外を追走する厳しい展開ながら、東京大賞典GⅠを制したときのような抜群の瞬発力を見せて勝利した。ドバイワールドカップGⅠは9着、帰国初戦の帝王賞JpnⅠは5着に敗れていたが、この勝利で東京大賞典GⅠ勝ちがフロックではないことを証明し、完全復調を強く印象づけた。
 サウンドトゥルーは猛然と追い上げたものの、クビ差の2着まで。向正面で仕掛けたぶん最後のひと伸びを欠いた格好だが、他のJRA勢3頭が一団で先行した今回の展開では、早めに動かざるを得ない。惜しいクビ差ではあるが、大野拓弥騎手のロングスパートは絶妙だったといえる。
 1番人気のケイティブレイブは3着。スタートでつまずいた帝王賞JpnⅠと違ってスムーズに2番手を進んだが、最後の決め手勝負で、おくれを取った。ただ、休み明けとしては上々の内容で、使ったぶん、しまいの粘りも増してくるはず。この一戦だけで評価を落とすのは早計だろう。
 レース後、アポロケンタッキーを管理する山内研二調教師は「様子を見ながらになるけど」と前置きして、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠからJBCクラシックJpnⅠへ向かうプランを口にした。秋のダート戦線は、この馬を中心にまわっていくことになりそうだ。
内田博幸騎手
ドバイから帰国後に一度使って、状態は良くなっていました。外枠に入ったのも良かったと思います。直線に向いたところで前を捉えられると思ったし、これで後ろから差されたら仕方ないと思って追っていました。ここを使って、さらに良くなりそうな感じもあります。
山内研二調教師
前走よりもいい状態で出走できました。外を回らされたのがどうかなと思いましたが、最後に他馬に迫られたことが、かえって良かったのかもしれません。まだ5歳ですから、さらに良くなる余地もあると思います。今後は南部杯からJBC、もしくはJBC直行のプランを考えています。


取材・文:大貫師男
写真:早川範雄(いちかんぽ)