dirt
2017年8月16日(水) 佐賀競馬場 1400m

直線抜け出しアタマ差で凌ぐ
今年も新興勢力が重賞初制覇

 サマーチャンピオンJpnⅢが07年にハンデ戦となってから10年が経過したが、この間の優勝馬9頭(ヴァンクルタテヤマが08・09年連覇)のうち7頭がダートグレード初制覇だった。また、ここ3年は直近でJRAの準オープン特別やオープン特別を勝ち、ダートグレードは初参戦か2戦目という馬の勝利が続いている。
 今年のJRA所属馬5頭のうち、重賞勝ち馬は2頭のみ。ハンデ重量は、このレース連覇を狙うグレイスフルリープが57.5キロ、JpnⅢを3勝しているレーザーバレットが58キロ。しかし、新興勢力有利のレース傾向があるだけに、単勝人気は重賞未勝利のウインムート(55キロ)、ラインシュナイダー(54キロ)、タムロミラクル(55キロ)の順となった。
 逃げを打ったウインムートをレーザーバレットが追走し、ラインシュナイダーがその直後の3番手。佐賀のマサヤもこの先行集団についていったが、向正面で後退。3コーナーに入っても前3頭は一団だったが、中団からタムロミラクルが押し上げてきて4コーナーでは4頭の争いに。
 直線でラインシュナイダーが先頭に立った一方で、レーザーバレットは遅れだし優勝争いからは脱落。最後はラインシュナイダーとタムロミラクルの争いとなったが、ラインシュナイダーがアタマ差で凌いで勝利。そこから1馬身半差でウインムートが入って3着。3頭の争いからはやや離れたがレーザーバレットが4着、グレイスフルリープが5着と続き、JRA勢が掲示板を独占。高知のタッチスプリントが6着で地方最先着。佐賀勢はマサヤが勝ち馬から3秒4差の7着に終わり、出走5頭がそのまま下位5頭と残念な結果となった。
 優勝争いをした上位3頭は前述のように重賞未勝利で、2着のタムロミラクルは佐賀記念JpnⅢ、かきつばた記念JpnⅢで2着の実績があるものの、勝ち馬と3着馬はここがダートグレード初挑戦。これでサマーチャンピオンJpnⅢの勝ち馬は6年連続でここが重賞初制覇となった。
 勝ったラインシュナイダーは前々走で準オープン特別を勝利し、重賞は今回が初挑戦。管理する沖芳夫調教師は「1400メートルがベストですが、中央は夏場にこの条件がありません。準オープン勝ちがあるので、直近1年の成績枠で2分の1の抽選を通ってここに入れました」と語り、今後は未定だが、今回の賞金加算で地方の1400メートル戦を視野にいれていくとのこと。この距離で行われるオーバルスプリントJpnⅢ(浦和)や兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢ(園田)にも顔を出してくるかもしれない。
武豊騎手
スタートは良くなかったんですけど、枠順も良くて、思ったほどペースが前半速くなかったので、比較的いいポジションでレースができました。ベストは1400メートルのような気がしますね。今年に入って馬が充実していますので、まだ強くなりそうです。
沖芳夫調教師
内と外に速い馬がいるので、外で内側を見ながらの理想的な展開でした。デビュー当初はよく出遅れていたのですが、最近ようやく良くなってきました。前走は直線で壁ができて追い出しが遅れての5着でしたから、オープンで十分通用する感覚を持っていました。


取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)