dirt
2017年8月15日(火) 盛岡競馬場 1200m

地方転入2戦目でグレード初制覇
地元の期待馬も見せ場十分の走り

 クラスターカップJpnⅢは2011年から現行の別定重量戦になり、グレードレースの実績馬、特にGⅠ/JpnⅠ馬には厳しい負担重量が課せられるようになった。しかし今年の出走馬で基本的な馬齢重量から増量となったのは、GⅢを1勝しているキクノストーム(55キロ)のみ。昨年優勝のダノンレジェンド(60キロ)のような超大物は不在であり、キクノストーム以外が勝てば、いずれもが初グレードタイトルとなるメンバー構成となった。ニュースターの誕生が期待され、JRAでダート路線に転向後4戦4勝のサイタスリーレッドが単勝2.1倍の1番人気。ここ2走ダートグレードで3、2着のショコラブランが2番人気。一昨年のさきたま杯JpnⅡからダートグレードに参戦すること10回、うち6回で入着しているラブバレットも、地元勢久々のグレードタイトル獲得の期待がかかって3番人気の支持を集めた。
 レースはファンの声が聞こえる場所で観戦した。「小細工しないで正攻法の逃げ」(高倉稜騎手)の戦法をとったサイタスリーレッドをピッタリ追走し、直線の入口で並びかけ、そして一旦は抜け出したラブバレットを見て、スタンドからは「(山本)トシヤ、トシヤ」の声援があちこちから飛び始めた。その声が大歓声となってゴールを迎えるところだったが、その声がゴール寸前で消える。道中3番手の内を追走したブルドッグボスが直線に入って鋭い脚を繰り出し、クビ差交わしてゴール。ラブバレットは「逃げた本命馬をマークしたが、思ったより止まるのが早かった」(山本聡哉騎手)と振り返った。
 ブルドッグボスはこの4月までJRAで走っていた馬であるが、前走の習志野きらっとスプリントから浦和所属となっており、2015年浦和記念JpnⅡ(ハッピースプリント-サミットストーン)以来となる地方勢ワン・ツーフィニッシュとなった。昨年の2、3着馬が新興勢力を完封する形になったが、その昨年に60キロを背負って2頭を圧倒したダノンレジェンド(引退)の強さも改めて認識する結果になった。
 ブルドッグボスを管理する小久保智調教師にはまだ半信半疑のような面もあったようで、「(JRA所属時の)昨年2着の数字は見ないようにしていた」とも。「どのように仕上げればと考えていたので、このレースまでに1回使いたかった」とのことだが、その1回使った習志野きらっとスプリントの結果を踏まえて、すぐに結果につなげてきた。今後のローテーションは?と問うと、早くも「(8月30日の)アフター5スター賞から、(テレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢ、東京盃JpnⅡを経て)JBCスプリントJpnⅠまでノンストップで行きます」と。JpnⅢのクラスターカップからどこまで勢いを増していくのか注目したい。
左海誠二騎手
スタートは上手くない馬ですが、ある程度ポジションを取ろうと前へ出していきました。馬の力はあるので信じて乗っていきましたが、伸びそうな雰囲気はありました。直線は後ろからの馬が怖かったですが、足音は聞こえなかったですし、強かったです。
小久保智調教師
これだけ力のある馬に携わることはなかったので、まず1回使ってどのように仕上げれば良いかと考えていました。今回はセーブ気味の仕上げでしたが、馬体重は思った通り。昨年2着の数字は見ないようにしていました。今後はアフター5スター賞からJBCまでノンストップで行きます。