3番手追走から直線突き抜ける
別定58キロでも女王の貫録示す
今年のマリーンカップJpnⅢには、中央からダート牝馬戦線でお馴染みの、女王ホワイトフーガ、ワンミリオンス、タイニーダンサーが参戦。そしてダート初挑戦となる秋華賞2着馬パールコードという、魅力あふれる馬たちが出走してきた。地方勢では、大井・荒山勝徳厩舎のララベルとリンダリンダが迎え撃つ形。結果的には、メンバー中一番重い斤量58キロを背負いながらも、女王ホワイトフーガの貫録勝ちとなった。レースは、ララベルが逃げる形になり、2番手にリンダリンダが続いた。ホワイトフーガは3番手外目を追走。手綱を取った蛯名正義騎手の話では、スタートはよかったものの躓いてしまったことで、その後は行きたがったそうだ。
ララベルのペースで流れていくも、最後の直線を向いて、リンダリンダ、ホワイトフーガと3頭が横一線。残り200メートルを切ってホワイトフーガが突き放し、ララベルに3馬身差つけてのゴール。勝ちタイムは1分41秒3(重)。
勝ったホワイトフーガは道中で口を割るようなシーンもあったが、それでも押し切ったことで、あらためてその能力の高さを見せたと言えるだろう。
母のマリーンウィナーは、亡き川島正行厩舎所属として船橋競馬場を中心に走った馬。そんな母の思い出の詰まった場所で初めて肩掛け姿を披露。通算6つ目の重賞勝ちとなった。
一方、荒山厩舎ではララベルが2着、リンダリンダが3着。女王の牙城は崩せなかったものの、他の中央勢に先着した姿は頼もしく映った。
ララベルは2歳時と3歳時にNARグランプリ最優秀牝馬を受賞している実力馬。ダートグレード初挑戦となった昨年のレディスプレリュードJpnⅡでは、最後の直線で舌がハミを越してしまうアクシデントに戸惑いながらも、勝ち馬から0秒4差の4着。全国区の力があることはすでに証明していた。その後はリズムを崩したが、放牧休養で立て直しを図っての復帰戦だった。
主戦の真島大輔騎手が病気療養中のため、初めて手綱を取ることになった森泰斗騎手は、「いい馬ですね。返し馬までは緩くてクタクタしていましたが、ゲートの中に入ると背中にグッと力が入って切り替えがすごいと思いました。マイペースで逃げられたし、最後まで真面目に一生懸命に走ってくれたので、勝ちたかったですね」と振り返っていた。
今回は前走クイーン賞JpnⅢから25キロ増の567キロでの出走になったが、この期間でさらに背が伸び、胴も長くなり、その成長分もあったそうだ。5歳でもさらに成長を見せているというのも興味深い。
リンダリンダは課題でもある折り合いを欠くシーンも見られたが、それでも3着に入り、常に安定して結果を残している。
ララベル、リンダリンダとも、大目標はJBCレディスクラシックJpnⅠ。現段階でホワイトフーガにつけられた差を、約半年後にどこまで詰められるのか、さらに逆転できるのか……見守っていきたい。
蛯名正義騎手
TCK女王盃で負かされた馬もいましたが、勝つことができてよかったです。2カ月ぶりの実戦でしたが、いい感じで仕上げてもらいました。掛かり気味でも強い競馬をしてくれたのは、状態もよかったし力があるからです。常に目標にされますが、JBCレディスクラシック3連覇ができたらいいですね
高木登調教師
調教の感じから雰囲気はよかったです。蛯名騎手が乗り方を十分に理解してくれているので任せました。斤量58キロで、道中ハミも噛んでいましたが、力で押し切ってくれました。勝ってくれてホッとしています。この後はさきたま杯を視野に入れて、最大目標はJBCレディスクラシック3連覇です。