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2018年2月6日(火) 佐賀競馬場 2000m

直線抜け出し4馬身差で重賞初制覇
6歳ながら偉大な兄を追う第一歩

 先週末から到来した寒波は、前夜からこの日にかけてピークを迎え、北部九州でも広範囲に積雪。競馬開催への影響も心配されたが、早朝からのハロー掛けで馬場は保全。佐賀記念JpnⅢ出走予定の人馬も無事到着し、予定どおりの開催となった。しかし、当日午前中からの高速道路通行止めの影響で、鳥栖市近辺の一般道に大規模な渋滞が発生。佐賀競馬は車での来場者が大きな割合を占めるだけに、来場が困難となったファンも多かったのだろう。場内はダートグレード開催日としてはやや寂しい状態だったが、佐賀記念JpnⅢ発走の頃には、吹く風はまだ冷たいものの、晴れ間も見えるほどに天候は回復し、わずかに雪が残る程度となっていた。
 スタート直後は大外のコウザンゴールドが先頭をうかがったが、ほどなくコパノチャーリーがハナを奪い、その直後をJRA勢で重賞勝利実績のあるクリノスターオーとマイネルバサラの2頭が追走。重賞未勝利ながら単勝1番人気に推されたルールソヴァールは中団に構えた。
 2コーナーでマイネルバサラが先頭を奪い、ルールソヴァールも前へと進出。向正面でルールソヴァールがマイネルバサラに並びかけるあたりで3番手との差が徐々に広がり、優勝争いはこの2頭に絞られた感があった。4コーナーでルールソヴァールが先頭に立つと、直線で楽々と抜け出しての圧勝。2着争いは、直線粘り込みを図るマイネルバサラを、4コーナーで3番手まで進出していたトップディーヴォが交わしたが、ルールソヴァールとの差は4馬身開いていた。4着にキクノソル(兵庫)、5着にミッキーヘネシー(高知)が入り、JRA勢の掲示板内独占は阻止したが、3、4着の差は6馬身と大きな差をつけられていた。
 ルールソヴァールは、オープン入り初戦だった3走前のみやこステークスGⅢでテイエムジンソクから2馬身半差の2着に健闘。その後オープン特別の1勝を加え、重賞挑戦2戦目での重賞初制覇となった。この日の佐賀は「ハロー掛けの影響もあり、脚抜きの悪いパワーが必要な馬場で、内は特に悪い」(佐賀・川田孝好調教師)とのことで、管理する高木登調教師、幸英明騎手ともに「こういう馬場は得意とは言えない」と語っており、それだけに能力の高さが浮き彫りになる結果となった。
 2歳上の全兄で、昨年のJBCクラシックJpnⅠなどGⅠ/JpnⅠ・3勝のサウンドトゥルーは、5歳時に地方初出走だった日本テレビ盃JpnⅡで重賞初制覇を達成。その後はダート戦線の主役となっていっただけに、同じく地方初出走で初タイトルを掴んだルールソヴァールの今後にも大きな期待がかかるところだ。
 
幸英明騎手
鮫島克也騎手から「距離損になっても今日の馬場は外、外へ行った方がいい」とアドバイスを受けていましたので、思いっきり外へ回してこようと思って乗っていました。今本当に状態が良くて、上でもどんどんやれるんじゃないかなと感じています。
高木登調教師
地方の馬場は初めてで、最内枠も気になっていましたが、幸騎手が上手く乗ってくれて、こなしてくれました。秋のデカいところを狙っていくためにはまだ賞金加算をしなければならないし、馬の様子を見ながらレースを選んでいこうと思います。


取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)