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2018年1月24日(水) 大井競馬場 1800m

控える作戦で直線抜け出す
ダート3戦目で重賞初制覇

 2日前に関東を襲った大雪の影響で、前日の大井競馬は開催中止。TCK女王盃JpnⅢ当日は、第1レースから3レースまでが取り止めとなった。その間の関係者の懸命な努力により馬場が整備され、無事にメインレースを迎えることができた。
 昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠの1着馬から3着馬までが顔を揃えた今年のメンバー。注目は、JBCで壮絶な競り合いを繰り広げたララベルとプリンシアコメータの再戦だ。今回、女王ララベルは斤量57キロで休み明け。一方、プリンシアコメータは斤量55キロで、さらに12月のクイーン賞JpnⅢを圧勝という実績が加わった。そんな理由もあってか、プリンシアコメータの単勝オッズは1.4倍と圧倒的な人気となった。その2頭の間で2番人気に支持されたのが、ダートに転向し好走しているミッシングリンクで単勝5.0倍。ララベルは3番人気で単勝5.6倍と続いた。
 ゲートが開くと、2番枠のオールポッシブルが先手を主張した。2番手にララベルがつけ、ミッシングリンクが好位の外で前をマーク。逃げも予想されていたプリンシアコメータは6番手を追走していた。向正面半ばあたりで中団にいたブランシェクールが進出し、外から好位集団にとりついた。
 3~4コーナーでララベルとミッシングリンクが並びながら逃げ馬を交わすと、大外を回ってブランシェクールがその2頭についていき、直後のプリンシアコメータは内に進路を狙っている様子。そして、直線に入りその4頭の追い比べから抜け出したのはミッシングリンクだった。そのまま差を広げると力強くゴールまで駆け抜け先頭でゴールイン。2馬身差の2着に最後までしぶとく伸びたブランシェクールが入り、大外から鋭い末脚を見せたラインハートが1馬身半差の3着に押し上げた。
 1番人気のプリンシアコメータは6着に敗れた。横山典弘騎手は「状態は良いと思いましたが今日は走りませんでした。寒い時期のせいなのか……敗因は分かりません」とコメントを残した。
 優勝したミッシングリンクはこれが嬉しい重賞初制覇。2走前からダートに転向し、いずれも逃げて3着、1着と結果を残していた。「ハナに行くスピードはありますが、今日は内が重いということもあり、行く馬を見ながらレースを進めようと先生と話しました」と戸崎圭太騎手。大井コースを知り尽くしている鞍上が作戦通りに導き、それにミッシングリンクもしっかり対応できたということだろう。また、齋藤誠調教師の「思ったより強かったです」との言葉からも4歳馬の成長力も感じられた。今後は、ダート交流重賞も選択肢として考えていくとのことで、その動向に注目が集まる。
 地方馬最先着のラインハートは、牝馬ダートグレードで3回目の3着となった。笹川翼騎手は「前走は早めに動いて不発に終わりましたが、今回は末脚に徹したのでやっぱり伸びてくれました」と振り返った。このメンバーでも通用する武器を持っているだけに「なんとかタイトルを獲らせてあげたい」と強い思いも口にした。
 ララベルは最後伸びきれず4着という結果。「いい感じでレースは進めましたが、不良馬場と57キロも影響したと思います」と真島大輔騎手。荒山勝徳調教師によると、この後はフェブラリーステークスGⅠに向かい、それが引退レースになるそうだ。これまで多くの感動を与えてくれたララベルの最後の挑戦を、しっかりと目に焼き付けたい。
 
戸崎圭太騎手
気持ち良くレースを進められて強い勝ち方でしたね。道中もリズム良くスイスイと走ってくれて、手応え十分で直線を迎えられました。追った時の反応も良かったので凌いでくれると思いました。レースセンスもあり、地方の馬場でも結果を出してくれましたので、これからも活躍してくれると思います。
齋藤誠調教師
大井の深い馬場向きだと思って連れてきましたが、今日の馬場は軽くなってしまいました。でも馬は力をつけているようですね。直線はみんなで声をあげて応援しました。最近は馬が大人になって体もしっかりしてきたので状態は良かったです。賞金も加算できましたし今後についてはゆっくり考えます。

3着には大井のラインハートが入った

取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)