前年の覇者との一騎打ちを制す
高みを目指す実績馬が貫録の勝利
昨年の浦和記念JpnⅡはサミットストーンが優勝し、2着にグランディオーソ、3着にトーセンアレスが入り、地方馬が1着から3着までを独占。大いに沸いた瞬間から1年が経った。今年の浦和記念JpnⅡも、例年以上に豪華な地方馬が集結。昨年の覇者でNARグランプリ年度代表馬サミットストーンをはじめ、マーキュリーカップJpnⅢを勝って今年地方馬で唯一の古馬ダートグレードレースを制しているユーロビート、昨年の南関東二冠馬でNARグランプリ3歳最優秀牡馬を受賞したハッピースプリント。この3頭の直接対決だけに、NARグランプリ年度代表馬の行方も気になるところ。
中央からドコフクカゼ(1番人気)やソリタリーキングなども参戦したが、今年も地方勢に軍配。ハッピースプリントが優勝し、2着にはサミットストーンで、地方勢のワンツーフィニッシュとなった。
レースは、逃げ宣言を出していたリアライズリンクスが大逃げを打ち、前半600メートル通過が36秒5、1000メートル通過が61秒5のペースで進めていった。2番手にはサミットストーンがつけ、前を見る形でハッピースプリントが追走。
3コーナーではサミットストーンが一気にリアライズリンクスを交わし先頭に立つと、ハッピースプリントもすかさず取りついていき、4コーナーからは2頭の一騎打ちとなった。直線半ほどでハッピースプリントがサミットストーンに並んで交わすと瞬時に突き放し、2馬身差をつけてのゴール。勝ちタイムは2分5秒9(良)。さらに2馬身差の3着にソリタリーキングが入った。
ハッピースプリントとコンビを組んだ宮崎光行騎手は、「南部杯のときはスタートで躓いて結果が悪かったのでそこだけを注意して、予定通りいい位置につけられました。今日は負けられない一戦だったので、早め先頭に立つ気持ちで勝つ競馬に徹しました」と語ったとおり、ハッピースプリントは終始貫録を感じさせる走りだった。休み明け3戦目で状態が上向いていたことや、高みに向かって戦い続けてきたことが結果として証明された形だろう。
そもそもはチャンピオンズカップGⅠに挑戦することを表明していたのだが除外対象となったため、ここに矛先を向けてきた。この浦和記念JpnⅡが昨年の東京ダービー優勝以来1年半ぶりの勝利となった。
「まずはホッとしましたね。なかなか勝つのが難しいレースばかりを選んできたんですが、そういう中でも1着を獲らなくてはいけない馬だと思ってきました。勝って弾みをつけたかったし、ここからさらに調子を上げていけば、次の東京大賞典では、ここまで戦ってきた上位馬との差ももう少し詰まると思います。いい状態で次に向かえるように努力をしていきたいです」(森下淳平調教師)。
東京大賞典GⅠにはハッピースプリントをはじめ、サミットストーンやユーロビートも参戦を予定している。サミットストーンは復調の兆しを十分に見せる結果。まさかの9着に敗れたユーロビートは、浦和コースの相性がイマイチのようで、得意の大井コースで巻き返しは十分にあるだろう。
次の大一番で地方勢がどんな走りを見せるのか、そんな夢を感じさせてくれた浦和記念JpnⅡだったように思う。
宮崎光行騎手
うれしいですね。今まで戦ってきた相手よりもメンバーが楽だったので、ここは勝たなくてはいけないレースだと思っていました。浦和競馬場は初めて乗ったので出たとこ勝負だったんですが、馬を信用して乗りました。今度は暮れの東京大賞典で中央のさらに強い馬たちと戦うのでいい競馬をしたいです。
森下淳平調教師
秋3戦の中では一番走れる状態だったので、力は出してくれるだろうと思っていました。地方のジーワンを勝って、JRAに乗り込んで勝つというのをずっと目標にやっています。馬は年齢を重ねるごとにしっかりしてきて伸びしろは感じるし、来年さらにしっかり作っていけるだろうなという手応えがあります。