先手を主張しライバルを完封
2度目の骨折を克服し連覇達成
JBCレディスクラシックJpnⅠ、JBCスプリントJpnⅠとも、単勝1倍台の人気を集めた馬が2着に敗れ、内枠からスタートした3番人気または4番人気馬が勝つという結果。二度あることは三度あるのか、それともその流れを単勝1.4倍のホッコータルマエが止めるのか。不良馬場というコンディションも含めて、ファンには悩ましい選択になっていたようだ。その不良馬場を味方につけたのはコパノリッキー。15番枠からのスタートでも1コーナーでは主導権を握り、向正面ではマイペースの走りで息を入れ、最後の直線でもセーフティリードを保つという横綱相撲で完勝。昨年の盛岡に続き、JBCクラシックJpnⅠ連覇を達成した。
しかしコパノリッキーは前走の日本テレビ盃JpnⅡで、骨折休養明けとはいえ差のある3着に敗れていた。今回、パドックでの雰囲気はその前走とそれほど変わらないように見えたし、馬体重の増減もなし。村山明調教師も「まだ良くなる余地があると思っていたので、あまり自信はありませんでした」と振り返っていた。加えて大井競馬場ではこれまで2戦とも2着。4歳以降に挙げた5勝はいずれも左回りでのもの。昨年4歳時に制したフェブラリーステークスGⅠは骨折休養明けから3戦目だったが、今回は休み明け2戦目でこれだけのパフォーマンスを見せたのだから、そのポテンシャルの高さを改めて証明することになったといえる。
対してホッコータルマエは、前走の帝王賞JpnⅠなどと同じく、先頭から差のない位置でレースを進め、3コーナーでは2番手に進出。しかしそこからは差を詰められず、逆にゴール前では中団から伸びてきたサウンドトゥルーに交わされて、3着に敗れるという結果になった。
「去年よりは順調だと思っていたんですが。でも久しぶりが響きましたね」と、幸英明騎手。西浦勝一厩舎の調教スタッフも「みんなここに向けて仕上げてきているわけですし、そう甘くはないですよ」と、次のチャンピオンズカップGⅠに向けて気持ちを切り替えているようだった。
2着に入ったサウンドトゥルーは、日本テレビ盃に続いての好走。「初めての2000メートルでしたが、いいリズムで運ぶことができました」と大野拓弥騎手。JBCレディスクラシックJpnⅠに続き、騎手、厩舎ともにJBCを同一年に2勝するという快挙はあと一歩で逃したが、力を出し切ったという手応えはあっただろう。
地方勢は、大井のハッピースプリントがクリソライトにハナ差の5着で最先着。大井のユーロビートが6着、船橋のサミットストーンが7着と善戦まで。そして今年のJBCは、3レースすべて、4着までJRA勢が独占という結果になった。
それでも地方競馬からの出走馬が伏兵として人気を集めたこともあって、勝馬投票券の売り上げは大いに伸びた。JBCクラシックの売上額は、昨年の盛岡の数字を大きく上回る15億941万1800円。1日の売上額も過去最高の48億4980万5050円(SPAT4LOTO含む)となった。
地方馬最先着が5着だったというのは残念ではあるが、盛り上がりに一役買っていたことは間違いない。来年のJBCは川崎競馬場での開催。そこで地方競馬のスターホースが輝いてくれることを期待したい。
武豊騎手
大一番ですし、どうしても勝ちたい気持ちが強かったのですが、馬の状態がよかったですし、向正面では気持ちよく走ってくれて、4コーナーでの手応えも抜群。早め早めの競馬をして押し切ろうかなと思っていたのですが、そのとおりにできました。骨折を乗り越えて、いい走りをしてくれたと思います。
村山明調教師
レース前の印象は、前走よりは良くなっているかなという感じでしたが、僕が思っていたより走ってくれましたね。普段はあまりレースで声を出したりしないんですが、今日はさすがに出ました。ホッコータルマエに負けて悔しいことが多かったので、本当にうれしいです。次はチャンピオンズカップの予定です。