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2015年11月3日(祝・火) 大井競馬場1200m

好ダッシュを決め一気に逃げ切る
牝馬が初めてダート短距離の頂点に

 Road to JBCの東京盃JpnⅡ、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠの優勝馬が揃って出走した今年のJBCスプリントJpnⅠ。本番と同じ舞台である東京盃JpnⅡを快勝したダノンレジェンドは、予想通りの断然人気で単勝は1.6倍。一方、昨年はJBCクラシックJpnⅠに参戦したベストウォーリアが、今年はスプリントを選択(福永祐一騎手が落馬負傷のため、川田将雅騎手に変更)。デビュー戦以来の1200メートルであはあるものの、対戦が少ないメンバーが相手だけにファンの注目度も高く、単勝3.1倍の2番人気に支持された。この2頭が人気の中心で、紅一点のコーリンベリーが単勝10.5倍で3番人気に続いた。
 ゲートが開くと、好スタート、好ダッシュを決めたコーリンベリーが先手を主張。15番枠からポアゾンブラックが押しながら2番手を確保し、ダノンレジェンドは3番手の外につけた。やや出遅れたベストウォーリアは6、7番手で、昨年の覇者ドリームバレンチンノは中団うしろの外目を追走していた。
 4コーナーから差を広げにかかって直線勝負に持ち込んだコーリンベリー。それを目がけて追い出した後続の中から、1頭抜け出して差を詰めてきたのはダノンレジェンドだった。しかし「直線は脚もたまっていたし、追ってからの反応もとても良かった」とコーリンベリーの松山弘平騎手。徐々に迫るその追撃を退け、1200メートルをまんまと逃げ切ってみせた。勝ちタイムは1分10秒9(不良)。
 ダノンレジェンドは3/4馬身届かず2着に敗れ、その2馬身差の3着にベストウォーリアが続いた。5着までを中央勢が独占し、地方馬最先着は、昨年2着だったサトノタイガー(浦和)で6着だった。
 今年で15回目となるJBCスプリントJpnⅠ、JBCクラシックJpnⅠで、牝馬の優勝は初めてという歴史に残る勝利でジーワン初制覇を獲得したコーリンベリー。そして、管理する小野次郎調教師と松山弘平騎手もジーワン初勝利を飾り、人馬ともに記念すべきレースとなった。今回が転厩初戦ということもあり、「これまで自分が手掛けてきた馬ではないので、とにかく責任を果たせてホッとしています」と小野調教師は安堵の表情を浮かべた。
 昨年はJBCレディスクラシックJpnⅠに出走したものの9着に終わったコーリンベリーだが、松山騎手は「去年と比べると馬体もひと回り大きくなり、何より精神面が強くなったことが大きい。男馬相手にすごい馬です」と、この1年コンビを組み続けてきたパートナーを称えた。小野調教師は「今の落ち着きであれば距離の融通性はある。1600メートルまでなら大丈夫だろう」とコメントしており、今後はフェブラリーステークスGⅠが目標になりそうだ。ダートスプリント界の頂点に立った快速牝馬コーリンベリー。今後もそのスピードで、並いる牡馬たちを翻弄することだろう。
 2着のダノンレジェンドは、最大目標だったこのレースに向けて、ここまで順調に結果を残してきただけに悔しい結果となった。「スタートも良くてポジションもうまく取れたけど、前が止まらなかった」とミルコ・デムーロ騎手。村山明調教師は「状態も良かったし、レースの位置取りも良かったけど、相手にうまく逃げられてしまった」と言葉少なに語った。
 3着だったベストウォーリアの川田騎手は「スタートで滑ってしまい、1200メートルのペースなのでなかなか前との差が縮まらなかった。後半は挽回したんですが…」とコメントを残した。
 そしてレース後、残念な出来事があった。兵庫のタガノジンガロが入線後(14着)、急性心不全のため他界した。通算成績40戦12勝(うち重賞4勝)。2014年のかきつばた記念JpnⅢを制し、今年も黒船賞JpnⅢ・3着、サマーチャンピオンJpnⅢ・2着など、地方競馬を代表するスプリンターとして交流重賞を盛り上げてくれた。その功績を称えると供に冥福を祈りたい。
松山弘平騎手
ずっと乗せていただいたこの馬でジーワンを勝てて感謝の気持ちでいっぱいです。今日はスタートも上手に出てくれて自分のペースで楽に逃げることができました。直線を向いて手前もしっかり変えてくれたのも良かったです。スピードがあって、直線でもう一段階脚が使えるというのがこの馬の強みですね。
小野次郎調教師
転厩初戦ですがここまで順調に調教もこなせました。前走出遅れたこともあり、今日も出遅れるようであれば無理をせずに新しい面を引き出してくれればと松山騎手には指示しましたが、好スタートで自慢のスピードを生かせましたね。この形で直線に入れば最後までがんばれそうだと思いながら見ていました。

地方馬最先着は、昨年2着のサトノタイガーで6着だった。

取材・文:秋田奈津子
写真:いちかんぽ(岡田友貴、国分智)、NAR

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(YouTube地方競馬チャンネル内)