控える競馬で直線抜け出し5馬身差
成長著しい3歳馬がダートの女王に
前哨戦のレディスプレリュードJpnⅡでは、他馬より重い別定重量を背負いながら圧勝ともいうべきレース内容で約半年ぶりの勝利を挙げたサンビスタ。予想紙にはズラリと◎が並び、ファンも連覇濃厚と見て断然人気となって、迎えた第5回のJBCレディスクラシックJpnⅠ。しかし勝ったのは、4番人気の3歳馬、ホワイトフーガだった。レディスプレリュードJpnⅡと同様、迷わず逃げたのは大井のブルーチッパーで、カチューシャ、キャニオンバレーと続き、人気の2頭サンビスタとアムールブリエは4番手で併走。レディスプレリュードJpnⅡではブルーチッパーの直後を掛かり気味に追走したホワイトフーガだったが、今回は有力2頭のうしろ6番手を追走した。
レース前、「ここ2走より控えてくれ」と鞍上に指示を出したという高木登調教師。ブルーチッパーの逃げたペースが1000メートル通過で59秒4。レディスプレリュードJpnⅡより1秒8も速い流れになったことで、高木調教師が授けた作戦がズバリと当たることになる。
3コーナーからアムールブリエが仕掛け、これを追ったサンビスタが4コーナーで並びかけ、この人気2頭が直線を向いて先頭に立ちかけたところ、内を突いて抜け出したのがホワイトフーガだった。
2番手以下との差はみるみる広がり、ホワイトフーガは2着のサンビスタに5馬身差をつけての圧勝。ホワイトフーガと道中同じような位置を進んでいたトロワボヌールが2馬身半差で3着に入り、アムールブリエは4着。離れて地方最先着の5着には、南関東B級で好走までという伏兵のリュウグウノツカイが入った。ハイペースで飛ばしたブルーチッパーは、レディスプレリュードJpnⅡ(6着)より着順を下げての8着だった。
ホワイトフーガの勝因はいくつか考えられる。まず3歳馬の定量53キロが、デビュー以来もっとも軽い斤量だったこと。前述のとおり、控える作戦が速い流れにピタリとハマったこと。3~4コーナーでラチ沿いをロスなく回ってきて、4コーナーで内を突いたという大野拓弥騎手の判断も見事だった。そして何より、「一戦一戦、古馬との力差が近づいているのがわかった」(大野騎手)という成長もあったのだろう。
一方、サンビスタの岩田康誠騎手は、「4コーナーで(アムールブリエに)並んでなんとかなると思ったけど、前回のような勝つ時の手ごたえとは違っていた」。アムールブリエの濱中俊騎手は、「(湿った)軽い馬場は合わないし、距離も2000メートル以上あったほうがいい。流れに乗れず力を出せなかった」とのこと。
前走からいくつものプラス要因があったホワイトフーガに対して、有力2頭は力が発揮できなかった、もしくは力を発揮できる状況にはなかった。それらのプラス・マイナスが、今回の大きな着差として結果に表れたといえそうだ。
いずれにしても、若い3歳馬からダートの新女王が誕生したことだけは間違いない。まだ5回と歴史は浅いが、このレースを3歳馬が制したのは初のこととなった。
大野拓弥騎手
今日はいつもよりポジション下げようと思って、そのとおりの競馬ができましたし、コースロスなくいい競馬ができました。手ごたえがすごくよくて、突き抜ける感じはありました。牝馬ですがすごいパワーがありますし、持久力もあります。一戦一戦強くなっているので、どこまで強くなるのか楽しみです。
高木登調教師
この中間も順調に来ていたので、あとは脚の使いどころだけということをレース前に大野と話しました。4コーナーで出られるかなと思って心配したんですが、脚色と手ごたえを見たら、来るなっていう感じはありました。古馬の壁はあるのかなと思っていたんですが、ジーワンで勝ててよかったです。