持ち味の末脚発揮で重賞初制覇
絶対的信頼の戸崎騎手は連覇
この浦和開催前半はシルバーウィーク中ということもあり、家族向けのイベントが多く行われ、たくさんの人たちで賑わった。「お馬さん、ガンバレ!」「みんな、ガンバレ!」と、チビッコたちが大声で一生懸命に応援している姿が何とも微笑ましい。早いもので2015年もあと約3カ月。今年ここまでに地方馬がダートグレードレースを制したのは、マーキュリーカップJpnⅢのユーロビートただ1頭だ。高くそびえ立っている中央勢の牙城は、このオーバルスプリントJpnⅢでも崩すことができなかった。中央から出走した4頭がそのまま上位を独占。優勝したのは戸崎圭太騎手が初めて手綱を取った2番人気のレーザーバレットで、7歳にして待望の重賞初制覇を飾った。
ルベーゼドランジェが先手を取っていくと、2番手にはサウンドガガ、すかさずリアライズリンクス、タガノトネール、ジャジャウマナラシが続いていき、レーザーバレットは中団外目を追走していった。前半3ハロンのタイムは36秒5とゆったりしたペース。
「スタートを出て一歩目が少しのめるというか躓く(つまずく)感じになったんですが、その後はリズムを取り戻していいフットワークで行けました。ある程度行く馬が何頭かいたので、その後ろで競馬ができればいいなと思っていたのでイメージ通りの競馬ができましたね」(戸崎騎手)。
そのままルベーゼドランジェが快調に逃げていく中、勝負どころから3頭分の外を回って、レーザーバレットは進出。「乗りやすくて末脚も持っていると聞いていたとおり、いい脚を使ってくれました」(戸崎騎手)。
最後は一番の上がり37秒0の脚を繰り出し、前を行くライバルたちをゴール前で大外から一気に飲み込んだ。勝ちタイムは1分26秒3(良)。1馬身半差で2着が逃げ粘ったルベーゼドランジェ、3着は1番人気タガノトネールだった。
戸崎騎手は昨年のこのレースもキョウエイアシュラとのコンビで優勝している。キョウエイアシュラもこのレーザーバレットも、同じく7歳で嬉しい初タイトルを手にした。戸崎騎手の中央での活躍はもちろんのことだが、南関東での信頼度の高さは昔も今も変わらない。
地方最先着は5着のトーセンジャガー、6着にはジャジャウマナラシ、地方馬でもっとも人気を集めていたリアライズリンクスは8着(4番人気)に終わった。スタート直後に落鉄していたそうで、行きっぷりが本来のものではなかったそうだ。
上記3頭の管理馬を出走させた浦和の小久保智厩舎。昨年まで3年連続で南関東のリーディングに輝いており、今年も濃厚と見られている。しかし、南関東のトップでいることに満足せず、常に高みに向かって挑戦し続けている姿勢は、多くのファンの心を熱くさせている。もちろんこれでは終わらないだろう。今度はどんな挑戦をして、どんな結果を生み出すのか、追い続けたい。
戸崎圭太騎手
この馬に跨る(またがる)のは初めてだったので手探りの部分はあったんですが、先生から調子の良さは聞いていたし、返し馬で跨った瞬間からいい馬だなぁと感じたので、自信を持っていきました。これからもっといいパフォーマンスをしてくれる馬だと思いますよ。僕自身も2連覇を狙っていたし、相性のいいレースです。
萩原清調教師
重賞初制覇をすることができてうれしいですね。状態も良かったですし、瞬発力がいい馬なので、今日はその持ち味が出たと思っています。今後についてはオーナーと相談していきますが、JBCスプリントを視野に入れていきたいです。どんなコースでも競馬ができる馬だし、GⅠ馬に育てていきたいですね。