好時計で圧巻の逃げ切り勝ち
短距離路線にスター候補誕生
かきつばた記念JpnⅢが行われたこの日の第5レース後に、かねてから公募されていた“新ファンファーレ”を発表するイベントが実施された。一般戦と特別戦のファンファーレは、5月5日から新しいものになるとのことだ。そのイベントで演奏を披露したブラスバンドが、メインレースのファンファーレの演奏も担当。その音色にファンから拍手が贈られるなか、JRAのエーシンビートロンが出走を取消して11頭立てとなった、かきつばた記念JpnⅢのゲートが開かれた。
その瞬間、いち早く先手を取ったのはコーリンベリー。逃げ切りで3連勝中のメイショウコロンボは無理せずに2番手追走という位置取りを選んだ。その直後に地元のアイファーソングがつけ、初のダートグレードの舞台に立った兵庫のエナエビスは4番手からレースを進めていった。
メイショウコロンボは、1コーナーでも速い流れでレースを引っ張るコーリンベリーを前に見ながら走る形。しかしダート戦で挙げた勝利がすべて逃げ切りという同馬にとって、この展開はやはり厳しかったのかもしれない。3コーナーあたりからレーザーバレットが徐々に上位との差を詰め、4コーナーではインコースを回ってメイショウコロンボを競り負かした。
しかしその前にはコーリンベリーの姿が。とはいえレーザーバレットは、前走から中1週、コーナー4つの短距離戦が初めて、さらに「この開催は最内の砂がちょっと重く感じる」(愛知所属騎手)という場所を通っての好走だけに、今後の選択肢が広がる内容になったといえるだろう。
逃げ切り勝ちをおさめたコーリンベリーは、翌日のかしわ記念JpnⅠに出走するのが第一希望だったが、出走枠の関係でそれは叶わず、この舞台に進んできたとのこと。伸び盛りの4歳牝馬でもあり、今後の視界が大きく開ける勝利になった。
3着のメイショウコロンボから3馬身差の4着に入ったのは、地元所属のピッチシフター。昨年と同じ着順に川西毅調教師は、「いつもどおりのレースができたと思います。直前になってフケが来たのが誤算でしたが」と、悔しさをにじませた。それでも「徐々に状態は上がっていますし、川崎のスパーキングレディーカップ、佐賀のサマーチャンピオンを目指していきますよ」と、このあとのプランを明かしてくれた。
ダートグレード初挑戦のエナエビスは5着。田中範雄調教師は「厳しい展開のなか、よく頑張りました」と、この路線での手ごたえを感じた様子。「夏があまりよくない」とのことで、このあとはしばらく休養させて、秋から再び重賞戦線に挑んでいくそうだ。
浦和から遠征したジョーメテオは、エナエビスとはクビ差で6着。鞍上の内田利雄騎手は「時計が速かったですね」と振り返った。ダートグレードで3戦連続の掲示板とはならなかったが、それでもこの馬らしい追い上げる脚を見ることはできた。
結果的には、圧倒的な人気を集めたJRAの3頭が上位を独占ということにはなったが、出走馬の多くがそれぞれの持ち味を見せた、内容の濃い一戦だった。
松山弘平騎手
前に行きたいという馬が多いことは気にしていましたが、スタートがよかったので先頭を取りにいきました。前走は控える競馬で勝ちましたが、今日はほかの馬がついて来られないぐらいの走りができましたね。道中の手ごたえもずっとよかったです。これからもまだまだ成長していくと思います。
柴田政見調教師
メイショウコロンボより内枠に入ったので、ジョッキーには最初のゴール板まで飛ばして、競られるようなら控えるようにと指示しました。前走が差し切り勝ちだったことも自信につながりましたね。湿った馬場もよかったですし、4コーナー手前で逃げ切れると思いました。次走は馬の様子を見てから検討します。