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2015年4月14日(火) 船橋競馬場 1600m

58キロを背負っても女王の貫録
目指すは牡馬相手のタイトル

 マリーンカップJpnⅢ当日。船橋競馬場では4月1日付で調教師となった張田京元騎手、山田信大元騎手、山下貴之元騎手の引退式が行われた。山田元騎手と教養センター時代の同期(54期長期)だった岩田康誠騎手が、花束を持って駆け寄るシーンも見られ、地方・中央と所属が離れた今も同期の絆の深さを垣間見た温かい光景だった。
 マリーンカップJpnⅢは、その岩田騎手がエスコートをした1番人気サンビスタが、砂の女王らしい貫録たっぷりの強さを披露。連日の雨で馬場一面に水が浮いている不良馬場の中でも、牝馬にとっては過酷な58キロを背負っていても、どんな状況下においても強い馬には関係がないことを改めて証明してくれた。
 レースは、サマリーズが二の脚速く先手を取っていくと、サンビスタは2番手の外目。そのうしろには、トロワボヌールや中央からの移籍初戦となったマーチャンテイマーなどが追走し、スタートで躓いた8歳牝馬アクティビューティは中団付近を追走。先頭から最後方まで縦長の展開となった。
 勝負どころでほんどの騎手の手が激しく動くなか、岩田騎手はサンビスタにちょっと気合いをつけると、あとは抜群の手応えで前に並びかけていった。「利口な馬なので、ゴーサインを出したら自分でペースを上げていって、成長していると思います」(岩田騎手)。
 4コーナーを回って岩田騎手の指示に瞬時に反応して先頭に立つと、そのまま力強く後続馬を突き放していき、2着のトロワボヌールに4馬身差をつける圧勝となった。「58キロを背負っていましたが関係なく前につけられたし、自分の競馬で勝つことができました」(岩田騎手)。勝ちタイムは1600メートル1分38秒4(不良)。
 サンビスタは、JBCレディスクラシックJpnⅠをはじめ、これで4つ目のタイトルを奪取。今後の具体的な予定は馬の状態を見て決めていくそうだが、再び牡馬への挑戦も視野に入れていくという。
 チャンピオンズカップGⅠでは、優勝したホッコータルマエから0秒4差の4着。フェブラリーステークスGⅠでは、勝ったコパノリッキーから0秒4差の7着。牡馬とも互角に戦えるという手応えがあるからこその挑戦だろう。以前、角居調教師は「牡馬と戦った効果もあって強くなっています」と言っていたが、これからサンビスタはどこまで強くなっていくのだろうか。
 地方最先着は5着に入った繁田健一騎手のマーチャンテイマーだった。中央では5勝し、昨年のブリーダーズゴールドカップJpnⅢでは優勝したサンビスタから0秒8差の3着に入った実力馬が、川崎・高月賢一厩舎に移籍しての初戦だった。
 道中は中央勢に食らいついて4番手から進めていき、勝負どころでやや遅れたが、それでも最後まで渋太く食い下がり、4着のサマリーズをクビ差まで追い詰めた。転厩初戦でのこのパフォーマンスには厩舎サイドも今後に向けての手応えをつかんだ様子。
 この後は、今年から地方全国交流となったしらさぎ賞(浦和)と、川崎マイラーズを視野に入れていくそうだ。しらさぎ賞には南関東の現女王ノットオーソリティも参戦予定。南関東牝馬戦線でマーチャンテイマーがどんな存在感を示していくのか楽しみだ。
岩田康誠騎手
この馬はどの位置取りでも走れるので、スタートだけ気をつけて、あとは行く馬は行かせてそのうしろからと思っていました。(今回はJBCレディスクラシック優勝以来の騎乗で)すごく落ち着いて走っていました。力があるからこういうパフォーマンスを見せられると思うので今後にも期待します。
角居勝彦調教師
ゲートもスムーズに出ていい位置につけてくれて、58キロも克服してくれましたね。馬房や調教で以前はヤンチャな仕草が多かったですが、今は落ち着いて成長していると思います。のんびりしているので大丈夫なのかな?とも話していたのですが、古馬になって貫録をつけてきたのかもしれません。


取材・文:高橋華代子
写真:国分智(いちかんぽ)