dirt
2016年3月9日(水) 船橋競馬場2400m

先手を主張し後続を寄せ付けず
得意の舞台で人気にこたえ連覇

 冷たい雨が降り続いたダイオライト記念JpnⅡ。前日は初夏を感じさせるような汗ばむほどの陽気だったが、一転して凍てつくような寒さ。馬場は水が浮くほどの不良馬場となった。
 この日は、中央から船橋に移籍し重賞2勝を挙げたスターシップが、船橋競馬場の誘導馬としてのお披露目となった。芦毛ながらも馬体とタテガミが真っ白で、現役時代からその美しいルックスは目を引いたが、今後は船橋競馬場の顔として第二の馬生を歩んで欲しい。
 そんなスターシップにエスコートされながら、ダイオライト記念JpnⅡに出走する12頭が登場。先週のエンプレス杯JpnⅡではアムールブリエとのコンビで優勝した武豊騎手が騎乗したクリソライトが単勝1.3倍の1番人気に支持された。単勝一桁台にストロングサウザー、クリノスターオー、マイネルバイカと続き、中央勢4頭が上位人気を独占。
 結果、この路線で百戦錬磨の戦いを続けてきたクリソライトの完勝に終わり、今後に向けても弾みをつけた形だ。
 好スタートを切ったクリノスターオーを横目に見ながら、クリソライトとサミットストーンが先手を主張したが、クリソライトが単騎で逃げる形で落ち着いた。「スタート次第でしたが、枠も内の方だったので、中途半端なポジションよりも先手を取りました。道中もいい感じで走ってくれましたね」(武騎手)。続いてサミットストーンやクリノスターオー、クラージュドールなどが追走していく縦長の展開。
 そのままクリソライトが快調に逃げ、最後の直線に入ってからも抜群の手応えで後続との差を広げていき、2番手に上がったクリノスターオーが食らいついていこうとするもその差は縮まらず、1馬身半差をつけたところがゴール。2400メートルの勝ちタイムは2分36秒4(不良)。
 クリソライトは3歳時にジャパンダートダービーJpnⅠで優勝すると、その後はこの船橋で日本テレビ盃JpnⅡを制し、ダイオライト記念JpnⅡはこれで連覇達成。古馬のダートGⅠ/JpnⅠではあと一歩で涙を呑んできたが、「ジーワンはいつも目標にしてきているので何か獲らせてあげたい」と音無秀孝調教師も話していたように、悲願のGⅠ/JpnⅠ獲りが待ち望まれるところ。
 一方、地方勢最先着は3着に入ったユーロビートだった。吉原寛人騎手が手綱を取り、道中は中団付近から進めていって勝負どころから押し上げてきた。「3コーナーから(ペースが)速くなった時に馬が自分からハミを取ってくれたので、行く気になってから追い出すとしっかり伸びてくれました。今日はいい形で進められました」(吉原騎手)
 普段は茨城県のミッドウェイファームでトレーニングを積んでいる外厩馬。今後は昨年と同じように、大井記念から帝王賞JpnⅠ、マーキュリーカップJpnⅢ連覇を目指していくようだ。昨年はマーキュリーカップJpnⅢを圧倒的な強さで制しながらも、NARグランプリ年度代表馬を手にすることができなかっただけに、今年はその悔しさを晴らすことができるか注目していきたい。
武豊騎手
骨折明けでも返し馬に乗った時から感じは良かったです。先週(エンプレス杯を勝ったアムールブリエ)に続いてどの新聞を見ても◎ばかりだったので、プレッシャーもありましたが勝ててホッとしています。地方交流で結果を出している馬だし、またいいレースもありますので一緒に勝てるといいなと思います。
音無秀孝調教師
前の方で競馬をさせるとは言っていましたが、逃げることは聞いていなかったので、豊君の臨機応変な対応ですね。(浦和記念回避のあとは)このレースを目標にしてきました。具体的な予定は決めていませんが、かしわ記念は距離が短いので使いませんが、中央のGⅢなどを使って帝王賞は使いたいです。

地方勢最先着の3着に入ったユーロビート
取材・文:高橋華代子
写真:築田純(いちかんぽ)