直線先頭に立って突き放す
女王の貫録で4歳初戦を快勝
冬晴れの下で行われた第19回TCK女王盃JpnⅢ。明け4歳馬やダートグレード初参戦の馬など、昨年とはガラリとメンバーが変わり、2016年のダート牝馬戦線がスタートした。昨年3歳でJBCレディスクラシックJpnⅠを制したホワイトフーガがここから始動。2着だったサンビスタが、その後チャンピオンズカップGⅠを快勝し、4着だったアムールブリエが名古屋グランプリJpnⅡを優勝したことでホワイトフーガの評価はさらに高まり、もちろん今回は断然の1番人気。単勝オッズは1.2倍を示していた。そして、「負けられない一戦」という陣営の想いにもしっかりと応え、女王らしい圧倒的なパフォーマンスを披露した。
ゲートが開くと、予想通り最内枠のノットオーソリティが先手を取った。大外枠からセキショウが2番手を確保し、ホワイトフーガは外の3番手となった。「作戦では、もう1列か2列後ろの予定だったが、スローの流れだったので」と大野拓弥騎手。そのうしろに2番人気のディアマイダーリンが追走し、中団うしろに、パワースポットや3番人気のタマノブリュネットなどが続いた。
直線入口で早くも先頭に立ったホワイトフーガ。大野騎手の追い出しとともに後続を突き放しにかかると、ゴール前はパワースポットが外から伸びてきたが、最後まで脚色衰えず先頭でゴールイン。初めての斤量56キロもまったく問題なく、力の違いを見せつける結果となった。
直線で鋭い末脚を使ったパワースポットは1馬身1/4差の2着。初コンビの真島大輔騎手は「8歳だけど若いですね。今回は相手が強かったが、とてもキレる脚を持っているので展開が向けば巻き返しがあると思いますよ」と好感触の様子だった。3馬身差の3着にタマノブリュネットが続き、JRA勢が掲示板を独占した。
昨年12月のクイーン賞JpnⅢで3着に好走し、今回も期待された船橋のノットオーソリティは9着。「大井コースで小細工なしの逃げは厳しかったです。3~4コーナーで一気にまくられてレースをやめてしまいました。力は出し切れていないので、次走に期待します」と吉原寛人騎手はコメントを残した。
今年のダート牝馬戦線は、この馬が主役だろうと確信づけるような走りを見せたホワイトフーガだが、高木登調教師によると、今後は牡馬相手の重賞に挑むことになるようだ。次走はフェブラリーステークスGⅠを予定しており、春はかしわ記念JpnⅠを視野に入れているとのこと。「パワーがあるので牡馬相手でも大丈夫」「1600メートルのほうが流れが向く」などと陣営の見通しも十分。昨年は、JBCスプリントJpnⅠやチャンピオンズカップGⅠで牝馬が優勝しているだけに、ホワイトフーガの存在が注目されることは間違いないだろう。そして、高木調教師と大野騎手のコンビといえば、もう1頭、東京大賞典GⅠの覇者サウンドトゥルーがいる。それぞれのレースの使い分けも気になるところだが、この本格化を迎えた2頭が、2016年のダート界をどれだけ盛り上げてくれるのか楽しみだ。
大野拓弥騎手
今年初戦を勝ててホッとしています。力んで走っていたので心配でしたが、上がり37秒台前半でしっかりまとめてくれましたね。パワースポットは以前乗ったことがあり、キレる脚だと分かっていたので気をつけていました。以前はトモの踏み込みに左右差があったのですが最近はバランスが良くなりました。
高木登調教師
1本かぶりだったので勝ててホッとしています。前に馬が置けなかったぶん、終始ハミを噛んでいたので少しひやひやしました。直線は相手が伸びていたので固まって見ていました。1800メートルは少し長いですし、フェブラリーステークスの流れは向くと思います。女王としてタイトルを獲っていきたいです。