レースハイライト タイトル
dirt
2013年12月29日(日) 大井競馬場 2000m

ゴール前抜け出し着差以上の完勝
ジーワン年間4勝で目指すはドバイ

 東京大賞典JpnⅠが12月29日の固定開催となって15年目。今年は有馬記念からちょうど1週間後の日曜日にあたり、また天候に恵まれたこともあってファンの出足もよく、メインレース近くになるとL-WINGの1、2階などはかなりの混雑だった。終了後、発表された入場人員41,410人は、前年比116.3%。近年のJBCの大井開催でも、07年が28,166人、11年が33,579人という数字だけに、場外やネット投票が売上げのかなりの割合を占めるようになった現在の4万人超は、かなりの盛況といっていいだろう。
 そして迎えた東京大賞典JpnⅠは、1頭が取消して9頭立て。中央枠の6頭も埋まらず、しかしその5頭のうちGⅠ/JpnⅠ勝ちがある4頭の実績馬に人気が集中した。
 スタート直前にアクシデントが。全馬がゲートに収まったあたりのタイミングで、ローマンレジェンドが脚をバタつかせた。一旦後ろ扉から出され、脚元を確認して、そのまま再度のゲートイン。またも脚をバタつかせていたが、それが収まったと思われたタイミングでのスタート。ローマンレジェンドはなおも態勢が悪く後方からになった。そして3コーナー過ぎで他の中央有力3頭が仕掛けていったあたりから置かれて圏外に。ゲートでのアクシデントの影響は、少なからずあったようだ。
 逃げたのは予想されたとおり、中央馬で唯一重賞勝ちのないサトノプリンシパルで、これを追いかける馬もなく、前半1000メートル通過が64秒9という超スローペース。2番手のワンダーアキュート以下がやや離される場面もあったが、ローマンレジェンド以外の人気3頭が3コーナー過ぎで併走する形になると、4コーナーではサトノプリンシパルを一気に交わし、勝負は直線に持ち込まれた。
 直線を向いてまず先頭に立ったのはワンダーアキュートだったが、1番人気のホッコータルマエが残り100メートルあたりで交わすと、ワンダーアキュートに1馬身半差をつけての勝利。直線を向いて一瞬遅れをとったのは、サトノプリンシパルをとらえるあたりで、躓いてトモを落とす場面があったため。「それでもしっかり走って勝ったので、着差以上に強かったと思います」と幸英明騎手。
 直線半ばから遅れたニホンピロアワーズは2馬身半差で3着。4着にサトノプリンシパルが入り、アクシデントのあったローマンレジェンド以外の中央馬が、やはり上位を独占する結果となった。
 勝ったホッコータルマエは、今年だけで、かしわ記念、帝王賞、JBCクラシック、そして東京大賞典とGⅠ/JpnⅠ・4勝を含めダートグレード7勝。に今年のダートグレード戦線で中心となった存在が、最後のGⅠを勝利で締めくくった。それでも「前走JCダートで負けたことに悔いが残りすぎて、馬に申し訳なかったと思います」と幸騎手。明けて5歳、今後の期待も大きいようだ。
 西浦勝一調教師は、JBCクラシックJpnⅠを勝った後にドバイを目指すと表明していたが、年明けは、川崎記念JpnⅠからフェブラリーステークスGⅠ、そしてドバイワールドカップというスケジュールを組んでいるとのこと。
 それにしてもワンダーアキュートは、この秋、ダートGⅠ/JpnⅠで3戦連続2着。通算では7度目のGⅠ/JpnⅠでの2着で、3着も4回あり、安定したレースぶりながら、なかなか勝ち切れない。
 さて、東京大賞典1レースの売得金額26億824万5900円は前年比116.3%、1日の売得金額47億873万500円は前年比115.8%。ともに地方競馬における1レースあたり、1日あたりのレコードを更新する結果となった。その要因としては2つ考えられる。
 まずひとつは、地方競馬IPATでの発売で、東京大賞典1レースの売得金額の27.0%、1日の売得金額の21.9%を占めた。
 もうひとつは、有馬記念からの間隔が、現状の申し合わせでは最大となる1週間あいたことも大きかったようだ。ちなみにこれまでの地方競馬の売得金額レコードは、1レースあたりが07年の東京大賞典で、1日あたりが02年の東京大賞典当日。それぞれの年の有馬記念の開催日は、23日、22日と、やはり東京大賞典までの間隔があった。
 今年は有馬記念が行われた中山競馬場でも前年比123.3%となる124,782名の入場があり、売得金額でも、有馬記念1レース、中山競馬場1日あたりが、ともに前年比で105%台と盛況だった。アベノミクスによる日本経済の回復とともに、競馬人気もこのままV字回復となることを期待したい。

幸英明騎手
前走では早めに抜け出してソラを使ってしまったので、今日は前を見ながらじっくり構えようと思っていたので、だいたい理想どおりの競馬ができたと思います。手ごたえ十分で直線を向いたので、これならという思いでした。今日、強い競馬ができたぶん、前走が悔やまれる気持ちもあります。
西浦勝一調教師
ジャパンカップダートは負けたんですけど、今年最後に勝つことができて、亡くなられたオーナーにもいい報告ができます。今日はスタートから安心して見ていました。ただ4コーナーでバランスを崩してちょっとヒヤっとする場面はありましたが、レース後も大丈夫だったので、ほっとしています。

4万人を超す観衆がこの熱戦を見守った

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄・岡田友貴)、NAR