レースハイライト タイトル
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2013年12月1日(日) JRA阪神競馬場 ダート1800m

直線外から抜群の伸び
3連勝でダートの頂点へ

 14回の歴史を刻んだジャパンカップダートGⅠだが、来年には中京競馬場のダート1800メートルに舞台を移し、国際レースではあるものの“招待”ではなくなり、それにともないレース名もチャンピオンズカップに変更されることが発表された。最後のジャパンカップダートには、4年ぶりにアメリカから1頭の参戦があり、しかし地方所属馬は08年のフリオーソ(7着)を最後にこれで5年連続で出走なしとなった。
 枠順が発表されたあとのスポーツ紙で「戦国ダート」という見出しがあったが、昨年このレースを制したニホンピロアワーズ以降のダートGⅠ/JpnⅠ勝ち馬で、残念ながら川崎記念を制したハタノヴァンクールだけはJBCクラシックで浅屈腱炎を発症して引退してしまったが、2歳戦を除いてそのすべての馬が集結した。とりわけ、1カ月前に行われたJBC・3レースの勝ち馬、クラシックのホッコータルマエはもちろんのこと、レディスクラシックのメーデイア、さらにはスプリントのエスポワールシチーまで揃って出走してきたことは記憶にとどめておきたい。
 しかし勝ったのは、前走・武蔵野ステークスGⅢが重賞初勝利だったというベルシャザール。並み居るGⅠ馬に比べて実績では目立たなかったものの、単勝3番人気とダートでの素質は高く評価されていた。
 内からメーデイアが行く気を見せたが、これが引退レースと言われているエスポワールシチーが1コーナーを回るところでハナを取り切った。単勝1.9倍と断然の支持を受けたホッコータルマエがぴたりと2番手につけ、連覇のかかるニホンピロアワーズも続いた。
 直線を向いて先頭に立ったのはホッコータルマエだったが、残り50メートルでこれをとらえて交わしたのが、道中は中団を追走していたベルシャザールだった。
 惜しかったのはワンダーアキュートで、ベルシャザールのうしろからメンバー中唯一上り3ハロン36秒を切る末脚で追い込んだもののクビ差及ばずの2着。直線を向いたところで勢いをなくしかけていたテスタマッタを交わすときに外に切り替える場面があり、「結果的にテスタマッタの内に入れたほうがよかったかも」と武豊騎手。前走JBCクラシックJpnⅠでも内にサイモンロードがいて、終始外々を回らされての2着。やや不運な感じでの2着続きだが、そうしたことも含めての競馬だ。
 ホッコータルマエは、直線で幸英明騎手に懸命に追われたものの半馬身差で3着。直線で早めに先頭に立ったため、後続に目標にされてしまったということもあった。とはいえ昨年8月のレパードステークスGⅢ(1着)以降13戦連続で3着以内という、相変わらず堅実な走りを見せている。
 勝ったベルシャザールは、3歳時はクラシック三冠に出走した素質馬。スプリングステークスGⅡではオルフェーヴルに3/4馬身差の2着と食い下がり、日本ダービーでは3着と好走。菊花賞での大敗はDDSP(軟口蓋背方変位)の影響とされており、その後にノドの手術。復帰した4歳時には、今度は骨折があって1年2カ月にも及ぶ休養。そして今年、準オープンからの再スタートではダートに路線変更。4戦目でオープン特別のブラジルカップを制すると、武蔵野ステークスGⅢで重賞初制覇、さらに今回のジャパンカップダートGⅠ制覇と、一気に頂点まで駆け上がった。この路線変更に関して、管理する松田國英調教師は次のように語った。
 「過去にキングカメハメハとかタニノギムレットとかクロフネとか、ずいぶんすごい馬に恵まれて調教させていただいきましたが、GⅠを勝たせるとなると、どうしても馬を壊してしまう。ベルシャザールもダービー3着の実力ですから、種牡馬にするためにもGⅠを勝たせたい。それでも壊さないでGⅠを勝たせるにはどうしたらいいか、十分留意しました」。その結論が、ダートだったというわけだ。
 今後の目標については、少し無理をさせたため一息入れ、フェブラリーステークスGⅠになるだろうとのこと。
 今シーズンのダートGⅠ/JpnⅠ戦線では、ホッコータルマエが3勝を挙げて一歩抜け出したかに思えたが、ベルシャザールも「戦国ダート」の頂点を争う1頭として名乗りを挙げた。


ルメール騎手
松田国英調教師


取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)