レースハイライト タイトル
dirt
2013年11月20日(水) 浦和競馬場 2000m

状態アップで久々のタイトル
早めに動いて人気2頭を振り切る

 雲ひとつない快晴に恵まれたこの日は、浦和競馬の秋の大一番を見ようと早くから多くのファンで賑わいを見せた。浦和記念JpnⅡに騎乗するJRA所属騎手は4人全員が元地方競馬所属騎手ということもあり、パドックでは声援が飛び交っていた。
 1番人気は、重賞4勝の実績馬シビルウォーで単勝1.5倍。2番人気は前走白山大賞典JpnⅢを勝ったエーシンモアオバーで2.1倍と、この2頭が少し抜けた支持を集め、日本テレビ盃JpnⅡ・3着のランフォルセが3番人気で7.2倍と続いた。浦和記念JpnⅡは地方勢と中央勢が互角に戦ってきた歴史があるが、結果的には昨年から2年連続でJRA勢が上位を独占することになった。人気馬2頭をランフォルセが抑えたのだが、3連複の配当は130円。いかにこの3頭が人気を占めていたかがわかる。
 ゲートが開き先手を取ったのはマグニフィカで、「ゲートで待たされたぶん、タイミングが合わなかった」(岩田騎手)というエーシンモアオバーは2番手から。その直後にグランシュヴァリエ、ランフォルセ、ダイショウジェットなどが一団となり、シビルウォーはその集団の後ろに位置取った。
 向正面に入るとレースが一気に動いた。逃げていたマグニフィカが後退しはじめ、エーシンモアオバーが交わしていこうとするその後ろで、ランフォルセが内からするすると前に進出、外からシビルウォーもスパートをかけた。この2頭が一緒に上がっていくと、3コーナーではすでにランフォルセが先頭に立ち、半馬身後ろにシビルウォーがぴったりとつけて一騎打ち。そして、後続を大きく突き放しての追い比べを制したのはランフォルセだった。懸命に追いすがるシビルォーを1馬身差で振り切り、戸崎圭太騎手の右手が上がった。人気の1頭エーシンモアオバーは2着のシビルウォーから8馬身離された3着だった。
 「悔しい!」と感情を露わにしたのはシビルウォーの内田博幸騎手だ。作戦では残り800メートルあたりで一気に仕かけることを考えていたそうだが、2コーナーで空いた内をランフォルセに楽に進まれ、先手を打たれてしまった。「馬は勝てる状態にはありました。相手に展開が向いた部分はありますが、それを上回る動きをしなくてはいけなかったわけですから自分の責任です」と潔くその場を後にした。
 ランフォルセは2012年のダイオライト記念JpnⅡ以来、3つ目のタイトルを手にした。4戦続けてコンビを組んだ戸崎騎手は「着々と調子が上がっていたので、今日は楽しみにしていました」と期待通りの結果に笑顔がはじけた。これまで重賞での着外は2戦のみと堅実な成績を残してきたランフォルセ。近走は実力馬相手になかなか結果が出なったが、状態の良さと地力の高さで久々の勝利を手に入れた。
 地方馬最先着は、高知のグランシュヴァリエで4着。浦和記念JpnⅡは3度目の挑戦で、2011年は8着、昨年は7着だったが、今年はさらに着順を上げて掲示板を確保した。繁田健一騎手は「前回乗った時より調子は良かったです。前々で競馬をしてくれという指示だったので好位の位置取りになりました。最後は流れ込むような形になりましたが、このメンバー相手によくがんばってくれましたよ」と労った。JRA勢が圧倒的な人気を占め、自身は最低人気の評価だったのだが、全国を知り尽くす古豪の意地を最後まで見せてくれた。

戸崎圭太騎手
逃げたい馬もいましたが自分の馬も行き脚がつけばハナに行こうと思っていたくらい状態が良かったです。キレるというより、じわっと長い脚を使ってくれる馬なので、早めに動いていくイメージで乗りました。直線はシビルウォーが隣にきていましたが、こちらもいい手応えでしたし、がんばってくれましたね。
萩原清調教師
馬体重も戻って状態は前走より良くなっていました。戸崎騎手がうまく乗ってくれました。この馬の良さは、精神面が強いところですね。次走は状態を見て決めたいと思います。

ゲートが開き先手を取ったのはマグニフィカ

取材・文:秋田奈津子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)